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第73話 家柄
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プノン町外れの住宅街。
「じいじ~」
「久しぶりだな。トワ、レーシャさん、ミーシャ」
僕はプノン町に住む父親に会いに来ていた。
昔の面影はなく、すっかり痩せこけてしまっていて顎髭もだらしなく伸びてしまっている。
孫の顔を見ると元気が出るようだ。
父は町中の借家で一人暮らをしている。
ワンルームで狭いので来るときは少人数で訪ねるようにしている。
今回は僕とレーシャとミーシャが顔を見に来ていた。
「もう、昔の事だし一緒に暮らしても良いと思うんだけど・・」
僕は少し前から父に言っているのだが。
「いや、追い出したのは俺だからな。できれば頼らずに生活したいんだよ。それにそっちに行ったら元嫁が押しかけてきそうだしな」
兄たちが国外追放になった時、母が直ぐ離婚したらしい。
その母親が僕の所に来るんじゃないかと心配しているのだ。
「まさか~そんな事はないでしょう」
「いや、アイツの事だからありえる。金のために結婚したみたいだからな」
もうあれから随分経つけど。
母親は、僕が領主になった事を知っているはずだから今更来ないとは思うけどね。
「お父様、意外と元気だったみたいですわね」
「病気とかもないみたいだし、僕らが行くと気持ちも上がるんだろう」
帰りの馬車の中、僕たちは話していた。
「そういえば、アルの子供たちは落ち着きましたの?」
「アルトは反省しているみたいだし、大丈夫だろ。悪戯好きは相変わらずだけどな」
あの魔石騒ぎから少し落ち込んでいたが・・。
クラスメートからは、逆に弄られるようになったらしくそれが嬉しいらしい。
あんまりキレイすぎても近寄りずらいのだろう。
「学校で楽しそうにしているみたいだから良かったよ」
*****アルト視点
「アルト、校庭行こうぜ」
クラスの男子からよく声をかけられるようになった。
最初は近づいてすら来なかったけど、魔石の事で迷惑をかけて謝ったりしてたら不思議と仲良くなったのだ。
今は昼休みで、各々自由に過ごしていた。
友達のニルスが声をかける。
「飛ぶのは無しでな、ボール蹴りしよう」
数名の仲がいい子達と遊ぶ。
貴族の子供が通う学校と聞いていたけど、遊ぶのは割と普通みたいだった。
「いいなぁ」
ぼそっと、ブリアンナさんが呟いた気がした。
気のせいか?
ブリアンナさんも友達が大勢いるだろうに。
教室を出るとき振り返ると、ブリアンナさんがクラスの女子に話しかけられていた。
「お前さ、フィールドさんとはどうなんだよ?」
「どうって?」
ブリアンナさんの事だ。
ぼくが勝手に頭の中で名前呼びしているだけだから。
「隣の席だし、たまに話すくらいだけど?」
「クラスの中でも人気があるんだぜ?解るとは思うけど家柄も良いし、美人だし申し分ない」
「家柄ねぇ」
クラスの人達の会話を聞くと貴族の位だの、家柄だのって言葉が出てくる。
大人になったのなら分かるけど、まだぼくたちは子供なのだ。
気にしなくて良いのではと思ったんだけど。
多分だけど、親が普段からそういう事を言っているのかもしれない。
うちの親は全くそういう事に無関心?だからなのかそんな言葉聞いたこと無かったからな。
「じいじ~」
「久しぶりだな。トワ、レーシャさん、ミーシャ」
僕はプノン町に住む父親に会いに来ていた。
昔の面影はなく、すっかり痩せこけてしまっていて顎髭もだらしなく伸びてしまっている。
孫の顔を見ると元気が出るようだ。
父は町中の借家で一人暮らをしている。
ワンルームで狭いので来るときは少人数で訪ねるようにしている。
今回は僕とレーシャとミーシャが顔を見に来ていた。
「もう、昔の事だし一緒に暮らしても良いと思うんだけど・・」
僕は少し前から父に言っているのだが。
「いや、追い出したのは俺だからな。できれば頼らずに生活したいんだよ。それにそっちに行ったら元嫁が押しかけてきそうだしな」
兄たちが国外追放になった時、母が直ぐ離婚したらしい。
その母親が僕の所に来るんじゃないかと心配しているのだ。
「まさか~そんな事はないでしょう」
「いや、アイツの事だからありえる。金のために結婚したみたいだからな」
もうあれから随分経つけど。
母親は、僕が領主になった事を知っているはずだから今更来ないとは思うけどね。
「お父様、意外と元気だったみたいですわね」
「病気とかもないみたいだし、僕らが行くと気持ちも上がるんだろう」
帰りの馬車の中、僕たちは話していた。
「そういえば、アルの子供たちは落ち着きましたの?」
「アルトは反省しているみたいだし、大丈夫だろ。悪戯好きは相変わらずだけどな」
あの魔石騒ぎから少し落ち込んでいたが・・。
クラスメートからは、逆に弄られるようになったらしくそれが嬉しいらしい。
あんまりキレイすぎても近寄りずらいのだろう。
「学校で楽しそうにしているみたいだから良かったよ」
*****アルト視点
「アルト、校庭行こうぜ」
クラスの男子からよく声をかけられるようになった。
最初は近づいてすら来なかったけど、魔石の事で迷惑をかけて謝ったりしてたら不思議と仲良くなったのだ。
今は昼休みで、各々自由に過ごしていた。
友達のニルスが声をかける。
「飛ぶのは無しでな、ボール蹴りしよう」
数名の仲がいい子達と遊ぶ。
貴族の子供が通う学校と聞いていたけど、遊ぶのは割と普通みたいだった。
「いいなぁ」
ぼそっと、ブリアンナさんが呟いた気がした。
気のせいか?
ブリアンナさんも友達が大勢いるだろうに。
教室を出るとき振り返ると、ブリアンナさんがクラスの女子に話しかけられていた。
「お前さ、フィールドさんとはどうなんだよ?」
「どうって?」
ブリアンナさんの事だ。
ぼくが勝手に頭の中で名前呼びしているだけだから。
「隣の席だし、たまに話すくらいだけど?」
「クラスの中でも人気があるんだぜ?解るとは思うけど家柄も良いし、美人だし申し分ない」
「家柄ねぇ」
クラスの人達の会話を聞くと貴族の位だの、家柄だのって言葉が出てくる。
大人になったのなら分かるけど、まだぼくたちは子供なのだ。
気にしなくて良いのではと思ったんだけど。
多分だけど、親が普段からそういう事を言っているのかもしれない。
うちの親は全くそういう事に無関心?だからなのかそんな言葉聞いたこと無かったからな。
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