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第59話 精霊族の村の困りごと
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*****アル視点
『アルビレス様』
『なんじゃ、オルトレスか。何かあったのか?』
『ここしばらく城に戻られていないじゃないですか。たまには戻ってきてくださいよ』
屋敷の庭で子供たちを見ていると、部下のオルトレスから念話が送られてきた。
部下と言っても一人しかいない魔族なんだが。
『ん~戻っても何もする事なかろう?』
『最近、精霊族の者たちが庇護を求めてやって来ているのです』
『初耳じゃが』
精霊族?何の用じゃろう。
魔族って言ってもわらわとアルビレス二人しか居らんし。
仕方ないので、トワにしばらく家を空けることをいう事にした。
子供たちは・・メイドが増えたから見てもらえばいいか。
「僕行かなくて大丈夫?」
「わらわの問題じゃからな。困ったことがあったら手を借りるかもしれんが」
トワも忙しいと思うのだが、心遣いが嬉しい。
「まぁ、早めに戻るようにはするがの」
わらわは、右手で空間を歪めて城へ直通の通路を開いた。
数カ月ぶりの我が家。
「久しぶりじゃの。やっぱり自室が落ち着くわい」
「ままーここどこ?」
「エ、エミリア?」
黒髪の娘がわらわのスカートの裾を引っ張っていた。
「しまった・・置いてくる予定じゃったのだが」
どうも感覚が鈍っているのだろうか。
付いてきてしまったようだ。
「アルビレス様のお嬢様ですか?」
「おお、オルトレス戻ったぞ」
わらわは、頭に二つの角がある肌が浅黒い美青年の魔族に声をかけた。
「まぁ付いてきたのなら仕方ない。一緒に行くとするかの」
エミリアの手を引いて、精霊族の里へ向かう事にした。
わらわは右手で空間を歪める。
一度行ったところは魔法で移動できるのだ。
一瞬にして緑豊かな森の中に入った。
「とりのこえがする~」
「鳥が囀っておるな」
「ここは精霊族の住む村じゃ。大人しくしていなさい」
「アルビレス様も優しいお顔されるんですね」
「一応母親じゃからな。わらわを何だと思っておるのじゃ」
緑色の髪をした門番の男がわらわを見て、頭を下げた。
「村長から話を聞いております。どうぞこちらへお越しください」
「それで?何かわらわに用事とは?」
単刀直入に訊ねた。
目の前の白髪交じりの老人が今の村長らしい。
絨毯に座って、話を聞くことにする。
エミリアは膝の上に乗っている。
「最近、人間たちが頻繁に村に入るようになっての。何とかならぬかと思って・・その間村人は隠れておるのだが」
精霊族は臆病なので昔から人間を避けてきた。
わらわと昔からの友人である精霊族は困ったことがあるとお互い助けるようにしているのだ。
「ふうん・・人間が入れるようになった原因は?」
「何処かに隙間が出来てしまったようで、塞ごうにも場所がよくわからなくての」
「本当に隙間なのか?」
「と、言いますと?」
「魔法で破って入って来たとか・・」
「まさか、そんな事はありますまい」
隠れて住むのも意外と大変だ。
だったらいっそ開け放ってしまえばいいとも思うのだが。
精霊族の性格上そうもいかないらしい。
一応わらわが調べることにした。
『探索』
どこか隙間があればこれで見つかるはずだ。
「ん?」
何か変な場所があるな。
オルトレスも気が付いたようだ。
「行ってみましょう」
『アルビレス様』
『なんじゃ、オルトレスか。何かあったのか?』
『ここしばらく城に戻られていないじゃないですか。たまには戻ってきてくださいよ』
屋敷の庭で子供たちを見ていると、部下のオルトレスから念話が送られてきた。
部下と言っても一人しかいない魔族なんだが。
『ん~戻っても何もする事なかろう?』
『最近、精霊族の者たちが庇護を求めてやって来ているのです』
『初耳じゃが』
精霊族?何の用じゃろう。
魔族って言ってもわらわとアルビレス二人しか居らんし。
仕方ないので、トワにしばらく家を空けることをいう事にした。
子供たちは・・メイドが増えたから見てもらえばいいか。
「僕行かなくて大丈夫?」
「わらわの問題じゃからな。困ったことがあったら手を借りるかもしれんが」
トワも忙しいと思うのだが、心遣いが嬉しい。
「まぁ、早めに戻るようにはするがの」
わらわは、右手で空間を歪めて城へ直通の通路を開いた。
数カ月ぶりの我が家。
「久しぶりじゃの。やっぱり自室が落ち着くわい」
「ままーここどこ?」
「エ、エミリア?」
黒髪の娘がわらわのスカートの裾を引っ張っていた。
「しまった・・置いてくる予定じゃったのだが」
どうも感覚が鈍っているのだろうか。
付いてきてしまったようだ。
「アルビレス様のお嬢様ですか?」
「おお、オルトレス戻ったぞ」
わらわは、頭に二つの角がある肌が浅黒い美青年の魔族に声をかけた。
「まぁ付いてきたのなら仕方ない。一緒に行くとするかの」
エミリアの手を引いて、精霊族の里へ向かう事にした。
わらわは右手で空間を歪める。
一度行ったところは魔法で移動できるのだ。
一瞬にして緑豊かな森の中に入った。
「とりのこえがする~」
「鳥が囀っておるな」
「ここは精霊族の住む村じゃ。大人しくしていなさい」
「アルビレス様も優しいお顔されるんですね」
「一応母親じゃからな。わらわを何だと思っておるのじゃ」
緑色の髪をした門番の男がわらわを見て、頭を下げた。
「村長から話を聞いております。どうぞこちらへお越しください」
「それで?何かわらわに用事とは?」
単刀直入に訊ねた。
目の前の白髪交じりの老人が今の村長らしい。
絨毯に座って、話を聞くことにする。
エミリアは膝の上に乗っている。
「最近、人間たちが頻繁に村に入るようになっての。何とかならぬかと思って・・その間村人は隠れておるのだが」
精霊族は臆病なので昔から人間を避けてきた。
わらわと昔からの友人である精霊族は困ったことがあるとお互い助けるようにしているのだ。
「ふうん・・人間が入れるようになった原因は?」
「何処かに隙間が出来てしまったようで、塞ごうにも場所がよくわからなくての」
「本当に隙間なのか?」
「と、言いますと?」
「魔法で破って入って来たとか・・」
「まさか、そんな事はありますまい」
隠れて住むのも意外と大変だ。
だったらいっそ開け放ってしまえばいいとも思うのだが。
精霊族の性格上そうもいかないらしい。
一応わらわが調べることにした。
『探索』
どこか隙間があればこれで見つかるはずだ。
「ん?」
何か変な場所があるな。
オルトレスも気が付いたようだ。
「行ってみましょう」
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