転生貴族の魔石魔法~魔法のスキルが無いので家を追い出されました

月城 夕実

文字の大きさ
上 下
53 / 86

第53話 近況

しおりを挟む
確かに最近はウェンディに同情していたかもしれない。
それが辛かったのだろう。
何か話してくれれば良かったのだけど。
・・いや、僕が忙しいとかで話しかけ辛かったのかもしれない。

冒険者ギルドは男性が多い。
ウェンディはお酒が好きだから、勧められればあまり深く考えずに飲んでしまうだろう。
ガイに聞いたところによると、酔っぱらってまともに歩けなくなっていたようだ。
万が一何かあってからでは遅いのだ。
泥酔したウェンディを良からぬ連中が襲ったりするかもしれない。
ウェンディは僕が言うのもなんだけど、結構美人だから。

ソファでいつの間にかウェンディが寝てしまっていた。
「風邪ひくよ・・って起きないか。僕が二階の寝室まで運ぶか」

顔には泣いた後があって、ぎょっとした。
そういえば泣いてたって聞いた。
横抱きにして抱える。
成人女性は結構重い。
僕は風魔法で少し浮かせて運んだ。

「・・ごめんなさい・・」

夢の中で謝っているみたいだ。
心がチクンと痛んだ。




ウェンディを寝室で寝かせて、僕が階段を下ってくると。

「ウェンディは大丈夫かの?」
アルが訊いてきた。

「う~ん。起きたら訊いてみるよ。思ってたより本人が辛かったみたいだし・・」
「言いづらかったのかもしれんな。話すなら二人きりの方がよかろう。それと思ったのじゃが家事を任せ過ぎではないだろうか?わらわも手伝った方がいいのだろうがなにぶん不器用でな」

家の家事をほとんどをウェンディに任せきりのような気がする。
アルは料理が苦手で、以前手伝ったら炭で出来た料理が出て来た。
レーシャも家事が苦手のようだった。

「ここは広いのじゃから、お手伝いする家政婦とか雇っても良いのではないか?そうすれば負担も減るじゃろうに」
「そういえば、実家ではメイドとか執事っていうのがいたよ。必要だと思って無かったから考えてもいなかった」

きちんと考えたほうが良いのかもしれない。





「トワ、どうかしたのか?」

ゼノベア城の廊下でアスマに声をかけられた。
仕事で城に出向いていた。

「え?な、何が?」
「元気無さそうだからよ。いつも機嫌が良いお前が珍しいなと思って」

アスマは城で騎士の仕事をしている。
本人は一介の冒険者で良いと言っていたのだが、女神様と一緒になった事で王様が取り計らったのだろう。
女神さまは人間になったのでもう力を失っているのだけど。
神様は寿命がとんでもなく長いらしくて、女神さまの妹さんも人間になって寿命で亡くなったそうだ。

「まあ、色々とあるんだよ・・」
僕はため息をついた。

「そういえばレーシャが子供が出来たらしいな?」
「うん。だいぶお腹も大きくなったよ」
「最初は三人も妻がいるとか驚いたものだが・・この世界では普通らしいからな」

日本の感覚だと、一人の妻が普通だからね。
僕も初めて聞いたときは驚いた。
人って慣れるものなんだな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...