転生貴族の魔石魔法~魔法のスキルが無いので家を追い出されました

月城 夕実

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第53話 近況

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確かに最近はウェンディに同情していたかもしれない。
それが辛かったのだろう。
何か話してくれれば良かったのだけど。
・・いや、僕が忙しいとかで話しかけ辛かったのかもしれない。

冒険者ギルドは男性が多い。
ウェンディはお酒が好きだから、勧められればあまり深く考えずに飲んでしまうだろう。
ガイに聞いたところによると、酔っぱらってまともに歩けなくなっていたようだ。
万が一何かあってからでは遅いのだ。
泥酔したウェンディを良からぬ連中が襲ったりするかもしれない。
ウェンディは僕が言うのもなんだけど、結構美人だから。

ソファでいつの間にかウェンディが寝てしまっていた。
「風邪ひくよ・・って起きないか。僕が二階の寝室まで運ぶか」

顔には泣いた後があって、ぎょっとした。
そういえば泣いてたって聞いた。
横抱きにして抱える。
成人女性は結構重い。
僕は風魔法で少し浮かせて運んだ。

「・・ごめんなさい・・」

夢の中で謝っているみたいだ。
心がチクンと痛んだ。




ウェンディを寝室で寝かせて、僕が階段を下ってくると。

「ウェンディは大丈夫かの?」
アルが訊いてきた。

「う~ん。起きたら訊いてみるよ。思ってたより本人が辛かったみたいだし・・」
「言いづらかったのかもしれんな。話すなら二人きりの方がよかろう。それと思ったのじゃが家事を任せ過ぎではないだろうか?わらわも手伝った方がいいのだろうがなにぶん不器用でな」

家の家事をほとんどをウェンディに任せきりのような気がする。
アルは料理が苦手で、以前手伝ったら炭で出来た料理が出て来た。
レーシャも家事が苦手のようだった。

「ここは広いのじゃから、お手伝いする家政婦とか雇っても良いのではないか?そうすれば負担も減るじゃろうに」
「そういえば、実家ではメイドとか執事っていうのがいたよ。必要だと思って無かったから考えてもいなかった」

きちんと考えたほうが良いのかもしれない。





「トワ、どうかしたのか?」

ゼノベア城の廊下でアスマに声をかけられた。
仕事で城に出向いていた。

「え?な、何が?」
「元気無さそうだからよ。いつも機嫌が良いお前が珍しいなと思って」

アスマは城で騎士の仕事をしている。
本人は一介の冒険者で良いと言っていたのだが、女神様と一緒になった事で王様が取り計らったのだろう。
女神さまは人間になったのでもう力を失っているのだけど。
神様は寿命がとんでもなく長いらしくて、女神さまの妹さんも人間になって寿命で亡くなったそうだ。

「まあ、色々とあるんだよ・・」
僕はため息をついた。

「そういえばレーシャが子供が出来たらしいな?」
「うん。だいぶお腹も大きくなったよ」
「最初は三人も妻がいるとか驚いたものだが・・この世界では普通らしいからな」

日本の感覚だと、一人の妻が普通だからね。
僕も初めて聞いたときは驚いた。
人って慣れるものなんだな。
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