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第48話 城を出る

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*****女神アイリーン視点

『・・・・』
「どうした?」

わたしは未だかつてないくらい感情が揺れた。
どうしたんだろう。
他人にこんなにも怒ったことは無かったはずなんだけど。

手が震えて来た。
「お、おい。大丈夫か?」
アスマがわたしの様子を見て慌てている。

『何でもない・・です。ちょっと自分でびっくりしただけ』

アスマを失ったら・・と考えたら震えが止まらなくなってしまった。
わたし一体どうしたのだろう。


*****トワ視点


「勝負は終わりで」
「えええ?これからじゃというのに」

アルはまだ不満があるみたいだけど。

「観客を巻き込んだ時点で駄目でしょ」
「じゃあ、今度は誰もいないときで・・」
「いやあ、もう勘弁してほしい」

敵ならまだしも、アルだと気を使ってしまって無理だと思う。


**


「「城を出る?」」
ウェンディとレーシャが驚いていた。

「前から考えていたんだよね。いつまでも城に世話になってて悪い気がして・・」
「そんな事ないんですのよ?勇者パーティなのですから王族が養うのは当たり前ですわ」
「でも・・恐らく、勇者パーティが魔王討伐することは無いと思う」
「そ、それは・・」

魔王である、アルが「敵対するつもりは無い」と言っていた。
この先の事は分からないけど。

「だから余計にかな。王都のどこかで家を借りて住もうと思っているんだ」
お金は・・冒険者稼業をすれば稼げるだろう。



僕とウェンディは城を出た。
王都の辺境に安い家を借りることが出来たからだ。
城を離れるにあたって、僕はウェンディと共に勇者パーティから抜けることにした。
年季の入った木造の家を借りた。

「埃だらけね・・掃除しないと住めないわね」
「ホウキも無いな。買ってこようか」
「ちょっと待って。今綺麗にしてあげるから」

『風よ・・』
ウェンディが器用に風魔法を操って埃を端っこに寄せる。

「へえ~こんな使い方が出来るんだね」
「トワだと家を壊しちゃいそうだもんね」

ちょっとイラっときたけど、事実なので反論できない。

「まあでも細かいのは無理だから、やっぱりホウキを買ってこないと駄目かな?私が水魔法も使えたら良かったんだけどね」
「結構きれいになったよ。あとは手分けして掃除しよう。取り合えず水拭きをしようか」

雑巾に水を含ませて絞って床を拭く。
結構汚れているな。
家は結構広いので今使う所だけ掃除しよう。
後は少しずつすればいいか。

家を借りるにあたりお金がかかったのだが、忘れたころに王様から報奨金(ドラゴン討伐の)を頂いていてそのお金を使わせてもらった。
そのお金が無ければもう少し時間がかかっていたかもしれない。

王様的には、レーシャが将来僕と結婚するのを見込んで支援するという話もあったのだけど断らせてもらった。
僕にはレーシャ以外にも、ウェンディとアルが居るから流石に気まずいからだ。
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