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第44話 女神と勇者1
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「トワ~いるかの?」
黒い翼の少女が僕の部屋を訪れた。
「アル?どうやって城に入ったの。一般人は入れないと思うんだけど」
「トワの知り合いって言ったら城の兵士が通してくれたぞ?」
警備緩すぎない?まあいいけど。
「何だか人が一人増えておらんか?トワの恋人がまた一人増えたのか?今回は随分年上じゃのう」
ソファに座り、四角いテーブルを囲んで紅茶を飲んでいる。
僕とアルとウェンディとレーシャと女神。
これだけ人が居ると部屋も窮屈に感じる。
『あら、わたしが見えるなんて・・さすが魔王様ってことかしら。年上ってまぁ1000歳は越えているわね』
「ていうか、この人は恋人じゃないし」
僕は慌てて否定した。
『面白そうだからトワの恋人になっても良いわよ?退屈し無さそうだし』
「この人はアイリーンと言って女神なんだ」
「へえええ・・女神とな?そもそも実際に女神って居たんじゃな」
アルは素直に信じたみたいだ。
『わたしも魔王は実際には初めて見るわ』
「あれ、わらわ魔王って言ったっけ?」
和やかに談笑する二人。
「おーい。レーシャ、王様が用があるって言って・・」
アスマがノックをせずに部屋に入ってきた。
当然のごとく女神を見て固まっている。
「随分人が多いな。一体どうしたんだ?また一人増えてるし・・ていうかまたトワの恋人か?」
『女神でーっす』
軽いノリで答えるアイリーン。
レーシャが呼ばれて部屋から出て行った。
「女神ってあの神様だよな?召喚の時に力を貸したっていう?」
『今回は力だけ与えたので、レーシャさんが召喚の議をしたことになってますが普通の人間は出来ませんからね?』
アスマはアイリーンの青い瞳をじっと見つめた。
「それにしても・・あんたって目の覚める美人だよな。こんな人見たことねえわ」
アイリーンは目をぱちくりとさせている。
「口説くなら、外でやってください」
僕はアイリーンとアスマを部屋から強引に追い出した。
このまま女神が、アスマの方に行ってくれないかなと期待して。
*****アスマ視点
廊下で俺はアイリーンと向かい合っていた。
突然トワから部屋を追い出されて二人きりになってしまった。
「口説くって一体アイツは何を言ってるんだか・・」
確かに美人だが、何て言うか美しすぎて浮世離れしてる感じなんだよな。
『・・美人ですか・・』
アイリーンは照れているのか頬を少し赤らめている。
『あの・・少しお話しても良いですか?貴方のお部屋にこれから行っても?』
「あ、はい」
チラチラ恥ずかしそうに俺を見る彼女の姿が、とても可愛く見えて思わず答えてしまっていた。
胸がドキドキしている。
今まで年下ばかりで好みの女性に会えなかったんだよな。
でも男の部屋に女性を連れて行っちゃっていいのだろうか?
そもそもこの人はこの城にどうやって入ったのだろう?
俺は彼女を連れて部屋に入った。
城の部屋の作りはトワの所とほぼ一緒だが、基本的に一人でいることが多い。
物はほとんど無くて家具しか置いていない。
「むさ苦しいところだけど・・どうぞ」
『同じ部屋のはずなのに、雰囲気がだいぶ違いますわね。不思議ですわ』
アイリーンの澄んだ声が心地よく聞こえる。
『さっきからどうしたのですか?緊張しているの?』
「え・・えっと。女性をこの部屋に入れたのは無いから・・」
『貴方、顔が赤いですわよ?風邪でも引いてしまったのでしょうか?』
俺の額にヒンヤリとした彼女の手が触れる。
『熱はないようですわね。良かった』
アイリーンは心底ほっとした様子で微笑みかけていた。
黒い翼の少女が僕の部屋を訪れた。
「アル?どうやって城に入ったの。一般人は入れないと思うんだけど」
「トワの知り合いって言ったら城の兵士が通してくれたぞ?」
警備緩すぎない?まあいいけど。
「何だか人が一人増えておらんか?トワの恋人がまた一人増えたのか?今回は随分年上じゃのう」
ソファに座り、四角いテーブルを囲んで紅茶を飲んでいる。
僕とアルとウェンディとレーシャと女神。
これだけ人が居ると部屋も窮屈に感じる。
『あら、わたしが見えるなんて・・さすが魔王様ってことかしら。年上ってまぁ1000歳は越えているわね』
「ていうか、この人は恋人じゃないし」
僕は慌てて否定した。
『面白そうだからトワの恋人になっても良いわよ?退屈し無さそうだし』
「この人はアイリーンと言って女神なんだ」
「へえええ・・女神とな?そもそも実際に女神って居たんじゃな」
アルは素直に信じたみたいだ。
『わたしも魔王は実際には初めて見るわ』
「あれ、わらわ魔王って言ったっけ?」
和やかに談笑する二人。
「おーい。レーシャ、王様が用があるって言って・・」
アスマがノックをせずに部屋に入ってきた。
当然のごとく女神を見て固まっている。
「随分人が多いな。一体どうしたんだ?また一人増えてるし・・ていうかまたトワの恋人か?」
『女神でーっす』
軽いノリで答えるアイリーン。
レーシャが呼ばれて部屋から出て行った。
「女神ってあの神様だよな?召喚の時に力を貸したっていう?」
『今回は力だけ与えたので、レーシャさんが召喚の議をしたことになってますが普通の人間は出来ませんからね?』
アスマはアイリーンの青い瞳をじっと見つめた。
「それにしても・・あんたって目の覚める美人だよな。こんな人見たことねえわ」
アイリーンは目をぱちくりとさせている。
「口説くなら、外でやってください」
僕はアイリーンとアスマを部屋から強引に追い出した。
このまま女神が、アスマの方に行ってくれないかなと期待して。
*****アスマ視点
廊下で俺はアイリーンと向かい合っていた。
突然トワから部屋を追い出されて二人きりになってしまった。
「口説くって一体アイツは何を言ってるんだか・・」
確かに美人だが、何て言うか美しすぎて浮世離れしてる感じなんだよな。
『・・美人ですか・・』
アイリーンは照れているのか頬を少し赤らめている。
『あの・・少しお話しても良いですか?貴方のお部屋にこれから行っても?』
「あ、はい」
チラチラ恥ずかしそうに俺を見る彼女の姿が、とても可愛く見えて思わず答えてしまっていた。
胸がドキドキしている。
今まで年下ばかりで好みの女性に会えなかったんだよな。
でも男の部屋に女性を連れて行っちゃっていいのだろうか?
そもそもこの人はこの城にどうやって入ったのだろう?
俺は彼女を連れて部屋に入った。
城の部屋の作りはトワの所とほぼ一緒だが、基本的に一人でいることが多い。
物はほとんど無くて家具しか置いていない。
「むさ苦しいところだけど・・どうぞ」
『同じ部屋のはずなのに、雰囲気がだいぶ違いますわね。不思議ですわ』
アイリーンの澄んだ声が心地よく聞こえる。
『さっきからどうしたのですか?緊張しているの?』
「え・・えっと。女性をこの部屋に入れたのは無いから・・」
『貴方、顔が赤いですわよ?風邪でも引いてしまったのでしょうか?』
俺の額にヒンヤリとした彼女の手が触れる。
『熱はないようですわね。良かった』
アイリーンは心底ほっとした様子で微笑みかけていた。
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