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第35話 教会
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ガヤガヤ・・・。
随分騒がしいところだな。
今日は朝から冒険者ギルドと言う所へ来ていた。
以前にも来ていたらしいのだけど。
やっぱり憶えていない。
「久しぶりじゃねえか!トワ元気だったか?」
前から明るく声をかけられた。
逞しい体つきの男性だ。
この人がガイさんかな?
「ガイ・・実は・・」
ウェンディさんが僕が記憶喪失という事を説明する。
説明するたびに空気が重苦しくなった。
「ええええ?マジか・・。何て言うか気の毒としかいいようがねえ」
ガイさんは僕よりウェンディの事を心配している様子だった。
「もし・・辛かったらいつでも相談に乗るからよ・・」
何か下心で言ってる?
そんな気がする。
でも、今の僕には反対出来る理由もない。
居たたまれなくなって僕はギルドを飛び出した。
後ろでウェンディさんの声が聞こえたけど、足が止まらない。
夢中になって歩いていたら、迷子になってしまったようだ。
目の前に教会があった。
「神様に祈ってみようかな」
あまり期待はしていないけど、神頼みをしてみたくなった。
あれ?何故か嫌な感じがある・・何だろう?
昔・・嫌な思い出があるのかもしれない。
教会の中に入ると、シスター以外に人が居なかった。
最前列の銅像には女の神様の像が祭られているようだ。
「女神アイリーン様は慈愛の女神さまです。今日はお祈りですか?」
優しそうな白い祭服のシスターに声をかけられる。
「はい。お願い事を叶えてもらえるかなって」
僕はお布施を少し渡した。
「是非叶えてもらえるといいですね」
シスターはニコッと笑い、見守っている。
僕は手を組んでお願いをしてみた。
『あらあら・・教会に現れるなんてね。どうしちゃったのかしら?』
神殿のような建物の中に金髪で長い髪、青い瞳の美しい女性が足を組んでソファに座っていた。
服装は布を巻いたシンプルな物。
胸元が大きく見えている。
『ああ、ごめんなさいね。わたしが間違えて記憶を消しちゃったものだから・・今、貴方が弱体化されると困るのよね。来てくれて助かったわ』
女性は僕の頭に手を触れて、何かをしたようだ。
「「ああああっ!」」
すべて思い出した!
何てことしてくれたんだ!
お陰で色々大変だったんだぞ。
言いたいこと多すぎて言葉にならない。
『じゃあ、ばいばーい』
目の前の女神に文句を言う前に、僕は再び真っ黒い穴に落とされた。
「はっ!」
「どうかされましたか?」
シスターに声をかけられた。
「あ、いえ。大丈夫です」
記憶が戻った。
すべて思い出した。
ったくあの女神め!
余分なことをしてくれたもんだ。
思い出して怒りが込み上げてきた。
バタン!
教会のドアが開いた。
「こちらに15歳位の少年はいらっしゃいませんか?」
愛おしい聞きなれた少女の声。
僕は振り返る。
「ウェンディ!」
彼女は大きく目を見開いていた。
「え・・もしかして思い出したの?」
僕は駆け出して、彼女に抱きついていた。
随分騒がしいところだな。
今日は朝から冒険者ギルドと言う所へ来ていた。
以前にも来ていたらしいのだけど。
やっぱり憶えていない。
「久しぶりじゃねえか!トワ元気だったか?」
前から明るく声をかけられた。
逞しい体つきの男性だ。
この人がガイさんかな?
「ガイ・・実は・・」
ウェンディさんが僕が記憶喪失という事を説明する。
説明するたびに空気が重苦しくなった。
「ええええ?マジか・・。何て言うか気の毒としかいいようがねえ」
ガイさんは僕よりウェンディの事を心配している様子だった。
「もし・・辛かったらいつでも相談に乗るからよ・・」
何か下心で言ってる?
そんな気がする。
でも、今の僕には反対出来る理由もない。
居たたまれなくなって僕はギルドを飛び出した。
後ろでウェンディさんの声が聞こえたけど、足が止まらない。
夢中になって歩いていたら、迷子になってしまったようだ。
目の前に教会があった。
「神様に祈ってみようかな」
あまり期待はしていないけど、神頼みをしてみたくなった。
あれ?何故か嫌な感じがある・・何だろう?
昔・・嫌な思い出があるのかもしれない。
教会の中に入ると、シスター以外に人が居なかった。
最前列の銅像には女の神様の像が祭られているようだ。
「女神アイリーン様は慈愛の女神さまです。今日はお祈りですか?」
優しそうな白い祭服のシスターに声をかけられる。
「はい。お願い事を叶えてもらえるかなって」
僕はお布施を少し渡した。
「是非叶えてもらえるといいですね」
シスターはニコッと笑い、見守っている。
僕は手を組んでお願いをしてみた。
『あらあら・・教会に現れるなんてね。どうしちゃったのかしら?』
神殿のような建物の中に金髪で長い髪、青い瞳の美しい女性が足を組んでソファに座っていた。
服装は布を巻いたシンプルな物。
胸元が大きく見えている。
『ああ、ごめんなさいね。わたしが間違えて記憶を消しちゃったものだから・・今、貴方が弱体化されると困るのよね。来てくれて助かったわ』
女性は僕の頭に手を触れて、何かをしたようだ。
「「ああああっ!」」
すべて思い出した!
何てことしてくれたんだ!
お陰で色々大変だったんだぞ。
言いたいこと多すぎて言葉にならない。
『じゃあ、ばいばーい』
目の前の女神に文句を言う前に、僕は再び真っ黒い穴に落とされた。
「はっ!」
「どうかされましたか?」
シスターに声をかけられた。
「あ、いえ。大丈夫です」
記憶が戻った。
すべて思い出した。
ったくあの女神め!
余分なことをしてくれたもんだ。
思い出して怒りが込み上げてきた。
バタン!
教会のドアが開いた。
「こちらに15歳位の少年はいらっしゃいませんか?」
愛おしい聞きなれた少女の声。
僕は振り返る。
「ウェンディ!」
彼女は大きく目を見開いていた。
「え・・もしかして思い出したの?」
僕は駆け出して、彼女に抱きついていた。
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