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第18話 王城へ
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「勇者パーティって・・」
僕の頭の中には、勇者と魔王が戦うという最悪のイメージしか出てこない。
マンガやラノベの世界だ。
「トワどうするの?」
ウェンディに聞かれたけど、出来れば勇者パーティには関わりたくない。
戦いに行くのが目に見えているじゃないか。
「こんちは。ここに銀髪の少女いないか?」
宿の入口付近で、男性の声がした。
以前、冒険者ギルドで見た黒髪の日本人と思われる男性だ。
「あ、アスマ・・」
レーシャは俯いている。
ウィンディは手を上げて、男性に声をかける。
「こんにちは。レーシャさんはこちらにいますよ」
「え、本当っすか」
男性が頭を下げる。
「すみません。レーシャがご迷惑をおかけしたみたいで・・」
僕たちに謝ってきた。
思っていたより良い人みたいじゃないか。
「レーシャ、それでどうするんだ?少年は見つかったのか?」
レーシャ王女は僕を指さした。
あーそっか。
もしかしてこの人が勇者なのだろうか。
「君、ゼノベア王城に一緒に来てもらいたいのだけど良いかな?」
「私も一緒で良いですか?」
ウェンディがすかさず言う。
「ああ、構わないよ」
僕に断る選択肢は無いみたいだ。
ビュウウウ・・。
「まさか、俺以外にも風魔法で空を飛べる人がいるとは・・」
僕たちは風魔法を使い、前にアスマさん、レーシャ王女を先頭にして後ろを付いてきている。
眼下には鬱蒼とした森が見える。
上空を飛ぶのが凄く気持ち良い。
「使ったのは初めてですよ・・出来そうな気がしたので」
アスマさんは驚く。
「嘘だろ?初めて?ありえねえ。これ結構魔力使うし、コントロールも大変なんだが」
「そうなんですか?」
魔石の時もそうだったけど、魔法の使い方が何となく理解できるんだよな。
それって僕だけなのだろうか。
「そういう特別な力があるって事なのでしょうね」
レーシャ王女が呟いた。
馬車で移動するよりも何倍も速く移動できるようだ。
もう、城が見えてきた。
「流石に魔力切れたわ」
城の前に到着すると、アスマが城の前に座り込みガラスの小瓶を開けて飲む。
突然現れた僕たちに兵士たちが驚いていたが、アスマさんを見てホッとしていた。
「往復したのでしょう?そりゃ魔力切れますわよね」
喧嘩したって言ってたけど、レーシャ王女はアスマを気遣っているようだ。
自分のハンカチでアスマの額の汗を拭きとっている。
「案外、大丈夫じゃないかしら。きっと直ぐ仲直りするわよ」
その様子を見て、ウェンディもそう思ったようだ。
僕たちは歩いてアスマさんたちの後ろをついていく。
これからゼノベアの王様に会うために。
「急に緊張してきた・・」
「私もよ・・」
城は思っていたよりも広くて中々目的地に着かない。
歩いている時間がとても長く感じられた。
大きな扉の前に到着した。
「ここだ、ちょっと待ってろ」
コンコンコン。
アスマがノックをした。
「王女と、例の少年を連れてきました」
「入りなさい」
扉が左右にゆっくりと開かれる。
僕の頭の中には、勇者と魔王が戦うという最悪のイメージしか出てこない。
マンガやラノベの世界だ。
「トワどうするの?」
ウェンディに聞かれたけど、出来れば勇者パーティには関わりたくない。
戦いに行くのが目に見えているじゃないか。
「こんちは。ここに銀髪の少女いないか?」
宿の入口付近で、男性の声がした。
以前、冒険者ギルドで見た黒髪の日本人と思われる男性だ。
「あ、アスマ・・」
レーシャは俯いている。
ウィンディは手を上げて、男性に声をかける。
「こんにちは。レーシャさんはこちらにいますよ」
「え、本当っすか」
男性が頭を下げる。
「すみません。レーシャがご迷惑をおかけしたみたいで・・」
僕たちに謝ってきた。
思っていたより良い人みたいじゃないか。
「レーシャ、それでどうするんだ?少年は見つかったのか?」
レーシャ王女は僕を指さした。
あーそっか。
もしかしてこの人が勇者なのだろうか。
「君、ゼノベア王城に一緒に来てもらいたいのだけど良いかな?」
「私も一緒で良いですか?」
ウェンディがすかさず言う。
「ああ、構わないよ」
僕に断る選択肢は無いみたいだ。
ビュウウウ・・。
「まさか、俺以外にも風魔法で空を飛べる人がいるとは・・」
僕たちは風魔法を使い、前にアスマさん、レーシャ王女を先頭にして後ろを付いてきている。
眼下には鬱蒼とした森が見える。
上空を飛ぶのが凄く気持ち良い。
「使ったのは初めてですよ・・出来そうな気がしたので」
アスマさんは驚く。
「嘘だろ?初めて?ありえねえ。これ結構魔力使うし、コントロールも大変なんだが」
「そうなんですか?」
魔石の時もそうだったけど、魔法の使い方が何となく理解できるんだよな。
それって僕だけなのだろうか。
「そういう特別な力があるって事なのでしょうね」
レーシャ王女が呟いた。
馬車で移動するよりも何倍も速く移動できるようだ。
もう、城が見えてきた。
「流石に魔力切れたわ」
城の前に到着すると、アスマが城の前に座り込みガラスの小瓶を開けて飲む。
突然現れた僕たちに兵士たちが驚いていたが、アスマさんを見てホッとしていた。
「往復したのでしょう?そりゃ魔力切れますわよね」
喧嘩したって言ってたけど、レーシャ王女はアスマを気遣っているようだ。
自分のハンカチでアスマの額の汗を拭きとっている。
「案外、大丈夫じゃないかしら。きっと直ぐ仲直りするわよ」
その様子を見て、ウェンディもそう思ったようだ。
僕たちは歩いてアスマさんたちの後ろをついていく。
これからゼノベアの王様に会うために。
「急に緊張してきた・・」
「私もよ・・」
城は思っていたよりも広くて中々目的地に着かない。
歩いている時間がとても長く感じられた。
大きな扉の前に到着した。
「ここだ、ちょっと待ってろ」
コンコンコン。
アスマがノックをした。
「王女と、例の少年を連れてきました」
「入りなさい」
扉が左右にゆっくりと開かれる。
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