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第17話 本来の目的
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*****アスマ視点
ゼノベア城の執務室で。
バン!
「アスマよ、王女が戻ってないとはどういうことだ!」
目の前の書類が置かれた机が叩かれる。
ここは王様が執務を行っている部屋だ。
机を叩いたのはゼノベア国、国王ライアン・ド・ゼノベア。
「そのうち、帰ってくるだろうよ。心配しなくても大丈夫だと思うが」
俺は王様に、第三王女レーシャが見も知らぬ冒険者パーティに入ったと報告をした。
「王女は魔法もそこそこ使えるし、そこら辺の冒険者じゃ相手にならな・・」
あ、めっちゃ怒ってる。
王様とはいえ父親だからな。
当然と言えば当然か。
「勝手に帰ってきて悪かったよ・・しゃーねぇ迎えに行くか」
俺は肩を落とし、部屋を出た。
部屋の外には、赤いマントを着た同じ勇者パーティのユーリが立っていた。
赤い髪でショートヘアの気の強い女魔法士だ。
「あんたさぁ何やってんの、わたしには関係ないけどさ。そんで馬車で迎えに行くわけ?」
「あー王様が結構怒ってるから早く戻った方が良いかなと思って。魔力結構使うけど、飛んでいくよ」
「そっか。行ってらっしゃい~。んじゃこれ持って行けば?」
収納魔法から、ユーリは青い小さなガラス瓶を取り出した。
「マジックポーション、飲めば魔力回復するからさ」
「すまないな」
*****トワ視点
「えっと、僕が聞いてもいまいち内容がよく分からないのだけど・・理由を直接相手に聞いてみたらどうかな。教えてくれるか分からないけど」
次の日、僕はティナに早速相談を受けていた。
朝、食堂の椅子に向かい合って座り食べながら話を聞いている。
相談されても、僕はあまりティナの事をほとんど知らないんだよな。
ウェンディの機嫌は良さそうだ。
目が合うとニコニコしている。
僕はウインナーをフォークで刺して口に運んだ。
「・・そうですわよね」
「他に仲間とか居ないのかしら?その人に聞いたら原因が分かるかもしれないし」
ウィンディは意外と真剣に質問の答えを返している。
「そうね、そうするわ」
僕は出来立ての丸いパンをちぎってバターを塗って食べる。
焼き立てのパンは美味しいな。
ティナが「あ!」と何かを思い出したような顔をした。
「すっかり忘れてたわ。丁度良いって言えばいいのだけど」
突然、ティナが僕の手を取り握りしめた。
「トワ様、是非勇者パーティに入って頂けませんか?」
はい?勇者?
ティナは真剣な眼差しで言う。
「わたくし、今まで偽名で名乗っていて申し訳ありませんでした。本名はレーシャ・ド・ゼノベア、ゼノベア国の第三王女です。因みに聖女とか呼ばれていますが」
「「ええええ?」」
僕とウェンディは二人して驚きの声を上げた。
王女様?勇者?
しかし、何だって僕に。
「わたくしは、変わったスキルを持っておりまして・・神からお告げを聞くことが出来るのですわ。それで呪われているトワ様を探しておりましたが、もう呪いは解けていたようですわね」
「呪いを解くために僕に会いに来たの?」
「いいえ。トワ様は気づかれていないでしょうが、膨大な魔力を持っていらしてそのお力を少し貸して頂きたいのですわ」
レーシャ王女の手が、僕の手をぎゅっと握ってじっと僕の目を見つめてきた。
何だかドキドキしてきたよ。
ふと隣を見たらウェンディが僕をじっと見て睨んでいて、怖くなった。
ゼノベア城の執務室で。
バン!
「アスマよ、王女が戻ってないとはどういうことだ!」
目の前の書類が置かれた机が叩かれる。
ここは王様が執務を行っている部屋だ。
机を叩いたのはゼノベア国、国王ライアン・ド・ゼノベア。
「そのうち、帰ってくるだろうよ。心配しなくても大丈夫だと思うが」
俺は王様に、第三王女レーシャが見も知らぬ冒険者パーティに入ったと報告をした。
「王女は魔法もそこそこ使えるし、そこら辺の冒険者じゃ相手にならな・・」
あ、めっちゃ怒ってる。
王様とはいえ父親だからな。
当然と言えば当然か。
「勝手に帰ってきて悪かったよ・・しゃーねぇ迎えに行くか」
俺は肩を落とし、部屋を出た。
部屋の外には、赤いマントを着た同じ勇者パーティのユーリが立っていた。
赤い髪でショートヘアの気の強い女魔法士だ。
「あんたさぁ何やってんの、わたしには関係ないけどさ。そんで馬車で迎えに行くわけ?」
「あー王様が結構怒ってるから早く戻った方が良いかなと思って。魔力結構使うけど、飛んでいくよ」
「そっか。行ってらっしゃい~。んじゃこれ持って行けば?」
収納魔法から、ユーリは青い小さなガラス瓶を取り出した。
「マジックポーション、飲めば魔力回復するからさ」
「すまないな」
*****トワ視点
「えっと、僕が聞いてもいまいち内容がよく分からないのだけど・・理由を直接相手に聞いてみたらどうかな。教えてくれるか分からないけど」
次の日、僕はティナに早速相談を受けていた。
朝、食堂の椅子に向かい合って座り食べながら話を聞いている。
相談されても、僕はあまりティナの事をほとんど知らないんだよな。
ウェンディの機嫌は良さそうだ。
目が合うとニコニコしている。
僕はウインナーをフォークで刺して口に運んだ。
「・・そうですわよね」
「他に仲間とか居ないのかしら?その人に聞いたら原因が分かるかもしれないし」
ウィンディは意外と真剣に質問の答えを返している。
「そうね、そうするわ」
僕は出来立ての丸いパンをちぎってバターを塗って食べる。
焼き立てのパンは美味しいな。
ティナが「あ!」と何かを思い出したような顔をした。
「すっかり忘れてたわ。丁度良いって言えばいいのだけど」
突然、ティナが僕の手を取り握りしめた。
「トワ様、是非勇者パーティに入って頂けませんか?」
はい?勇者?
ティナは真剣な眼差しで言う。
「わたくし、今まで偽名で名乗っていて申し訳ありませんでした。本名はレーシャ・ド・ゼノベア、ゼノベア国の第三王女です。因みに聖女とか呼ばれていますが」
「「ええええ?」」
僕とウェンディは二人して驚きの声を上げた。
王女様?勇者?
しかし、何だって僕に。
「わたくしは、変わったスキルを持っておりまして・・神からお告げを聞くことが出来るのですわ。それで呪われているトワ様を探しておりましたが、もう呪いは解けていたようですわね」
「呪いを解くために僕に会いに来たの?」
「いいえ。トワ様は気づかれていないでしょうが、膨大な魔力を持っていらしてそのお力を少し貸して頂きたいのですわ」
レーシャ王女の手が、僕の手をぎゅっと握ってじっと僕の目を見つめてきた。
何だかドキドキしてきたよ。
ふと隣を見たらウェンディが僕をじっと見て睨んでいて、怖くなった。
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