14 / 43
第14話 コルネットのお仕事
しおりを挟む
『…あっ。ソウタ、ごめんなさい。行かなくちゃ…』
「え?コルネット?」
本屋に入ったところでコルネットが僕に声をかけた。
コルネットは眉間にしわを寄せている。
初めて見る表情だ。
名残惜しそうに、僕と繋いでいた手を離した。
『お仕事してこないと。直ぐに戻ってくるから…』
「そうなんだ。行ってらっしゃい」
「コルちゃん。ソウタは任せといてね!」
一瞬で姿を消すコルネット。
転移魔法だろう。
「居なくなるの初めてだな…女神の仕事あるんだな…」
「そりゃ当然じゃないの。今まで独占してたのが不思議なんじゃないの?」
あれ?
遠巻きに僕たち見られてる?
「本屋に入ったのに…兵士たちに監視されてる?」
「あ~うん。ごめん。いつものことだから気にしないで」
いつもなんだ。
王女様は大変だな。
気のせいか、生温かい目で見られている気がする。
*
『早く終わらせて戻らないと…』
わたしは天界に戻っていた。
本来の仕事をほっぽりだして、ソウタの所に居たのだがそうも言っていられないらしい。
水晶に手をかざすと、一人の金髪の青年がぼんやりと映し出された。
背中にキレイな白い翼が付いていて玉座に座っている。
顔を俯けていて、少し顔色が悪いようだ…体調が悪いのかもしれない。
『あら…この人は、前国王に推薦されて王様になったのよね。歳は300歳位だっけ?天使族だから長生きなのよね』
様子を探るべく注意深く観察する。
この世界が激変すること以外は干渉は出来ない。
いつも観察をする程度で、実際の仕事はあまり発生しないのだ。
あとは召喚魔法を誰かが使った時にフォローするくらいか。
『この人はかなりの魔力を持ってるから…誤作動したのかしら?』
設定しておいたアラームが鳴ったから、何かあったのかと思ったのだけど。
観察する限り特に問題は無いようだった。
一応注意することにしようか。
隣国の若い王を見てふと思い出す。
…わたしの前任の女神は人間になったって聞いていた。
『それがよく解らないのよね~』
別に神を辞めなくても良いのではないか?
寿命も極端に短くなってしまうのだし。
わたしには理解不能だった。
*
「ごめん。やっぱ無理だわ」
僕はフェミニアから離れた。
「え?」
コルネットが居なくなった途端、落ち着かなくなってしまった。
今まで平常心だったのは彼女のお陰だったらしい。
「…私に絡んでくる人はいたけど断る人は初めてだわ」
フェミニアが僕の腕を掴もうとするが、避けた。
「あ、ごめん。そういうの無理だから。友達の距離感でお願いします。今まで通りパーティメンバーとしてなら良いけど」
僕はフェミニアと距離を取って、本を探し始めた。
しばらくすると、彼女は諦めたのか自分の好きなコーナーへ行ったらしい。
壁一面に本が並んでいる。
「伝記?召喚された勇者…」
幾つも同じような内容の本が売られていた。
「勇者か…異世界で魔王と戦うとか無理~」
本で読む分には良いけど僕には到底無理だ。
独り言を呟いていたら意外と早くコルネットが姿を現した。
「お帰り。早かったね」
『あれ?フェミニアは?』
「そこらへんにいるんじゃない?」
僕はコルネットがどうやら好きらしい。
少しだけど離れて初めて気が付いた。
『え?どうしたのソウタ。貴方からくっついてくるなんて…』
「たまには良いでしょ?」
「え?コルネット?」
本屋に入ったところでコルネットが僕に声をかけた。
コルネットは眉間にしわを寄せている。
初めて見る表情だ。
名残惜しそうに、僕と繋いでいた手を離した。
『お仕事してこないと。直ぐに戻ってくるから…』
「そうなんだ。行ってらっしゃい」
「コルちゃん。ソウタは任せといてね!」
一瞬で姿を消すコルネット。
転移魔法だろう。
「居なくなるの初めてだな…女神の仕事あるんだな…」
「そりゃ当然じゃないの。今まで独占してたのが不思議なんじゃないの?」
あれ?
遠巻きに僕たち見られてる?
「本屋に入ったのに…兵士たちに監視されてる?」
「あ~うん。ごめん。いつものことだから気にしないで」
いつもなんだ。
王女様は大変だな。
気のせいか、生温かい目で見られている気がする。
*
『早く終わらせて戻らないと…』
わたしは天界に戻っていた。
本来の仕事をほっぽりだして、ソウタの所に居たのだがそうも言っていられないらしい。
水晶に手をかざすと、一人の金髪の青年がぼんやりと映し出された。
背中にキレイな白い翼が付いていて玉座に座っている。
顔を俯けていて、少し顔色が悪いようだ…体調が悪いのかもしれない。
『あら…この人は、前国王に推薦されて王様になったのよね。歳は300歳位だっけ?天使族だから長生きなのよね』
様子を探るべく注意深く観察する。
この世界が激変すること以外は干渉は出来ない。
いつも観察をする程度で、実際の仕事はあまり発生しないのだ。
あとは召喚魔法を誰かが使った時にフォローするくらいか。
『この人はかなりの魔力を持ってるから…誤作動したのかしら?』
設定しておいたアラームが鳴ったから、何かあったのかと思ったのだけど。
観察する限り特に問題は無いようだった。
一応注意することにしようか。
隣国の若い王を見てふと思い出す。
…わたしの前任の女神は人間になったって聞いていた。
『それがよく解らないのよね~』
別に神を辞めなくても良いのではないか?
寿命も極端に短くなってしまうのだし。
わたしには理解不能だった。
*
「ごめん。やっぱ無理だわ」
僕はフェミニアから離れた。
「え?」
コルネットが居なくなった途端、落ち着かなくなってしまった。
今まで平常心だったのは彼女のお陰だったらしい。
「…私に絡んでくる人はいたけど断る人は初めてだわ」
フェミニアが僕の腕を掴もうとするが、避けた。
「あ、ごめん。そういうの無理だから。友達の距離感でお願いします。今まで通りパーティメンバーとしてなら良いけど」
僕はフェミニアと距離を取って、本を探し始めた。
しばらくすると、彼女は諦めたのか自分の好きなコーナーへ行ったらしい。
壁一面に本が並んでいる。
「伝記?召喚された勇者…」
幾つも同じような内容の本が売られていた。
「勇者か…異世界で魔王と戦うとか無理~」
本で読む分には良いけど僕には到底無理だ。
独り言を呟いていたら意外と早くコルネットが姿を現した。
「お帰り。早かったね」
『あれ?フェミニアは?』
「そこらへんにいるんじゃない?」
僕はコルネットがどうやら好きらしい。
少しだけど離れて初めて気が付いた。
『え?どうしたのソウタ。貴方からくっついてくるなんて…』
「たまには良いでしょ?」
2
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる