9 / 43
第9話 王都へ
しおりを挟む
フェミニアと一緒に住むようになって便利になった。
待ち合わせする必要が無くなったからだ。
今までは冒険者ギルドに行って待ち合わせをしていた。
フェミニアが、いつも本を読んで待っていてくれていたので、すれ違わずに済んでいたのだ。
「待ち合わせしなくて済むのは楽だわね」
「四六時中、顔を合わせるけどね」
「ソウタ、その言い方!私の顔を見るのが嫌なの?」
フェミニアが頬を膨らませる。
「そんな事無いよ」
僕は慌てて否定する。
「そういえばふと思ったのだけど、ソウタの能力なら別に冒険者じゃなくても良いんじゃないの?例えば何かのお店を始めるとか…商業ギルドに登録して、回復ポーションとかも作れそうじゃない?」
冒険者は怪我がつきものらしくて回復ポーションが必須なんだとか。
ポーションか…う~ん。
「本を読みながらのんびりしたいな~」
「あーそれ分かるかも」
「でしょ?」
「そういえば王都に大きい本屋さんがあるって聞いたわ。いっそのこと本屋さんにでもなっちゃえば?暇な時間、本読み放題よ?」
こちらの世界では、専門書が多いせいなのか値段が高い本が多い。
「それも悪く無いね。いつか王都行ってみたいな」
*
一か月後。
僕たちは「行ってみたい」と言っていた王都に行くことにした。
乗合馬車で一週間かかるらしい。
途中、宿へ泊まりながら乗り継いで行く。
徒歩だとだいぶ時間がかかるし、疲れるからね。
「何だか旅行みたいでいいよね」
『旅行ってなんです?』
「旅を楽しむ感じかな?」
「ソウタの世界って平和なのね~」
馬車はガタゴト揺れながらのんびりと進む。
平和か。
果たしてそうだったのだろうか?
今にして思えば、あまり楽しくなかったと思う。
それでも勉強は仕方が無かったのかもしれない。
良いところに就職して働かないといけなかったから。
でも、今の方が自由な気がする。
思っていた異世界とはちょっと違ったけどね。
「のどかだなあ。何事も無ければいいけど」
「次の町で停車したら、宿を探すわよ。見つからなかったら野宿ね」
フェミニアは地図を広げて見せ現在位置を確認する。
こうしてみると結構距離があるんだな。
今は森の中を通っているらしい。
「野宿?流石にそれは…」
『野宿って何をするんですか?』
コルネットは何を聞いても楽しそうにしている。
一緒に居て思うけどいつもポジティブ思考だ。
「コルネット、野宿の用意も何も無いのだから…大体モンスターとか居たらどうするの」
『わたしがサクッと倒しちゃいます!』
物騒なことをさらっと言うコルネット。
実際倒せるのだろうけども。
「宿は、町に着いてから心配すれば良いわよ。大丈夫何とかなるって!」
馬車は何事もなく森の街道を走っていた。
何も無ければ数時間で次の町へ到着するはずだ。
待ち合わせする必要が無くなったからだ。
今までは冒険者ギルドに行って待ち合わせをしていた。
フェミニアが、いつも本を読んで待っていてくれていたので、すれ違わずに済んでいたのだ。
「待ち合わせしなくて済むのは楽だわね」
「四六時中、顔を合わせるけどね」
「ソウタ、その言い方!私の顔を見るのが嫌なの?」
フェミニアが頬を膨らませる。
「そんな事無いよ」
僕は慌てて否定する。
「そういえばふと思ったのだけど、ソウタの能力なら別に冒険者じゃなくても良いんじゃないの?例えば何かのお店を始めるとか…商業ギルドに登録して、回復ポーションとかも作れそうじゃない?」
冒険者は怪我がつきものらしくて回復ポーションが必須なんだとか。
ポーションか…う~ん。
「本を読みながらのんびりしたいな~」
「あーそれ分かるかも」
「でしょ?」
「そういえば王都に大きい本屋さんがあるって聞いたわ。いっそのこと本屋さんにでもなっちゃえば?暇な時間、本読み放題よ?」
こちらの世界では、専門書が多いせいなのか値段が高い本が多い。
「それも悪く無いね。いつか王都行ってみたいな」
*
一か月後。
僕たちは「行ってみたい」と言っていた王都に行くことにした。
乗合馬車で一週間かかるらしい。
途中、宿へ泊まりながら乗り継いで行く。
徒歩だとだいぶ時間がかかるし、疲れるからね。
「何だか旅行みたいでいいよね」
『旅行ってなんです?』
「旅を楽しむ感じかな?」
「ソウタの世界って平和なのね~」
馬車はガタゴト揺れながらのんびりと進む。
平和か。
果たしてそうだったのだろうか?
今にして思えば、あまり楽しくなかったと思う。
それでも勉強は仕方が無かったのかもしれない。
良いところに就職して働かないといけなかったから。
でも、今の方が自由な気がする。
思っていた異世界とはちょっと違ったけどね。
「のどかだなあ。何事も無ければいいけど」
「次の町で停車したら、宿を探すわよ。見つからなかったら野宿ね」
フェミニアは地図を広げて見せ現在位置を確認する。
こうしてみると結構距離があるんだな。
今は森の中を通っているらしい。
「野宿?流石にそれは…」
『野宿って何をするんですか?』
コルネットは何を聞いても楽しそうにしている。
一緒に居て思うけどいつもポジティブ思考だ。
「コルネット、野宿の用意も何も無いのだから…大体モンスターとか居たらどうするの」
『わたしがサクッと倒しちゃいます!』
物騒なことをさらっと言うコルネット。
実際倒せるのだろうけども。
「宿は、町に着いてから心配すれば良いわよ。大丈夫何とかなるって!」
馬車は何事もなく森の街道を走っていた。
何も無ければ数時間で次の町へ到着するはずだ。
3
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる