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04 本を抱えた少女

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分厚い装丁の本を開いている少女と目が合った。
少女はじっと僕を見ている?
少女は席を立ち、僕の方へ向かって歩いてきていた。

「え?」

僕、何か悪い事していないよね?
不機嫌そうな顔をして向かってくる少女。
僕の隣の椅子に座る。

「隣いいかしら?」
「どうぞ」

椅子に座る少女。
大事そうに本を抱えている。

「私に興味があるの?」
「えっと…本の方ですけど…」

ぷっ!
少女は吹き出した。

「ごめんね~。勘違いしちゃったわ。てっきり私の方かと…良い寄られるのが多いから警戒しちゃった」

少女の眼鏡の奥は童顔の可愛らしい顔立ちだ。
茶色の太い三つ編みが揺れる。

少女は耳打ちをする。
「ねえ、貴方って異世界人なの?」

え?
僕は固まっていた。
どうして分かった?

「急にごめんね。私、鑑定スキル持ちなの。だから利用しようとする人が近寄ってくるのよ。失礼、私の名前はフェミニアよ」

「僕はソウタ。見ての通り異世界初心者だけど」
『鑑定スキルかぁ。食えないな~』

コルネットが少女の目の前に飛んでいく。

「妖精さん?貴方のステータスは見えないわね。どうしてかしら?」
『そりゃ、見えないでしょうね』

コルネットは胸を張ってどや顔だ。

「この子はコルネット、これでも一応女神だよ」
『ちょ…ソウタ!』
「女神さまなんだ…そりゃ鑑定で見えないはずだわね」



「ソウタ様、お待たせしました」

カウンターのギルド職員から声をかけられた。
僕は席を立ち、冒険者ギルドカードを受け取りに行った。

「え?今登録したの?本当に初心者なんだ」

フェミニアは驚いていた。

「そういえばソウタ、本に興味があるって言ってたわね。私の本見る?」

フェミニアは本を見せてくれた。
本は辞典のように重く、沢山の魔法陣が描いてあり理論的な説明書きがされているようだった。

「初心者には難しいと思うけど…」
「へえ~何か凄いな!」

パラパラとページをめくる。
理屈は分からないけど面白い。

「ありがとう」
「ん?もう良いの?」

僕は本を閉じ丁寧に本を渡した。

「欲しい本は自分で買う事にしてるから」
「ソウタって本好きでしょ?」

「…うん。前の世界でもよく読んでた。フィクションだけど」
「フィクション?」
「物語だよ。こっちでもあるでしょ?」

『お二人とも、仲がよろしい事で』

コルネットが何故か拗ねていた。
仲間外れにしているわけじゃないのだけど。

「ソウタってひょっとして回復魔法使えるのかしら?」
「多分使える…使った事無いけど」

「え?魔法使った事無いの?」

『ほら、異世界には魔法が無いからね』

コルネットが補足する。

「ああ、成程…魔法が無い世界っていうのが私には信じられないけど」
「僕は魔法がある世界の方が不思議だよ」

「良かったら私と一緒にパーティ組まない?近い年齢の人が少ないのよね。ここって」
「そうなんだ。僕は構わないけど…」

僕はチラリとコルネットを見る。

『わたしに気を遣わなくても良いわよ。わたしはオマケなんだから』

またコルネットが拗ねていた。
機嫌が悪いみたいだ。
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