趣味のポーション作成スキルでお金を稼いでいたら、店を持つことになりました。

月城 夕実

文字の大きさ
上 下
5 / 28

05 かわいい訪問者

しおりを挟む
引っ越しして店を開く。
実家にいればもう少しお金貯められたかな・・。
少し思うところだけど。
今家を出るタイミングだったのかもしれない。

「う~ん。」
俺は店の品ぞろえで悩んでいた。

そうだ!
冒険者が欲しがるものにしよう。
あれこれ買い揃えるって聞いたからな。
でも、女の子向けの可愛いものは外さないっと。

店の内装はそのままに、変えるところは自作してテーブルを作ってみたりした。
お金をかけないようにしないとな。
引っ越してきてから一か月が経った。

とりあえず形にはなったかな。
オープンは3日後。
今日はもう休もう。

コンコン

あれ?まだオープンしてないのに・・誰だろう。
扉を開けると・・可愛らしい女の子だった。

「ロココさん?どうしてここに・・。」

「貴方こそどうしてここにいるの?あのお店にはもういないっていうし・・。」

可愛い瞳で睨《にら》まれた。

「貴方に会いたくて、いつもあの雑貨屋さんに行っていたのに・・。あれから一か月経って、いてもいられなくなって・・・。」

「お姉様方に聞いて訪ねてきたんです!」
ロココさんは顔を真っ赤にしている。
目も潤《うる》んでいる。

「それって・・もしかして・・。」
俺は顔が熱くなった。
気持ちが嬉しい。

「良かったら中へどうぞ。立ち話もなんだし。」
俺は彼女を中へ招き入れた。

彼女は店内を見渡した。
「わぁ!綺麗・・・。」
「ありがとう。嬉しいよ。」
内装はこだわって作った。
上品に感じるように色とかにもこだわった。

奥に入ると小部屋があって商談スペースがある。

「ここなら座れるからどうぞ。」

「紅茶は好きかな?」
コクンと彼女はうなずいた。

お客様用でクッキーを買っておいてよかった。
小皿にクッキーを載せて、カップに紅茶を注ぐ。

「どうぞ。」

「美味しい・・。」

不思議な感覚だった。
隣町まで徒歩で一日はかかる。
わざわざ俺に会いに来てくれるなんて。
最近忙しくて、正直彼女の事は忘れていた。

「それにしてもわざわざ来てくれるなんて・・大変だったでしょう。」

「・・馬車で来たので、少し疲れました・・でも大丈夫です。」

落ち着いて見ると、ロココさんはお店で見たラフな様子と違い可愛い花柄のワンピースだった。
白いつばの大きな帽子を持っている。
上品なお嬢様って雰囲気だ。

「良いものがありますよ。」

ふと思いついて、俺は奥の棚に仕舞ってある小瓶を取り出した。
「疲労回復には・・うちの商品ですけどね。良かったら飲んでください。」

首を傾げる彼女

「疲労回復のポーションですよ。最近作ったものですが。」

瓶のふたを開けるとハーブの爽やかな香りが漂う。
「変なものじゃないから大丈夫。」

意を決した彼女は液体を飲み干した。

「ふう~。あら?」

じわじわと効果がでる薬だ。
「元気になったような気が・・します。」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...