上 下
4 / 16

04 引っ越し

しおりを挟む
ポーションにはランクがある。

初級ポーション
中級ポーション
上級ポーション

町に出回っているのが、主に初級ポーションである。
小さい傷とか、軽い骨折とかなら治せる。
中級以上は、それなりのお店に行かないと売ってない。
冒険者は回復魔法が使える人と組むか、ポーションに頼らざるをえない。

俺の売っている回復ポーションは質が良いので、中級~上級といったところか。
高価なものなので、強盗は売ってもいいと考えていたのだろう。

家を出る。
俺はそう決めた。
移転の資金はあるので、どこか手ごろなところへ引っ越そうか。
俺が家を出て行っても雑貨屋は上手く回っていくだろう。

荒らされた店内を片付けていると

「オーシャン!」
後ろからアイラ姉に抱きつかれる。
いきなりどうした?

「出ていかないよね?」
ミーシャ姉も心配そうに見てる。

「・・まだ少しはいるつもりだよ。」
「出ていくつもりなんだ・・。」

「このままじゃ、また同じことがあったら困るし。」
姉たちを危険にさらすのは御免だ。

「そんなに遠くないところで借りるつもりだから・・。」

まあ、いずれかは別れる時も来るだろうし、少し早まっただけだと思えばいいか。


「え?お前家出るの?なんでまた・・。」
お調子者のニルスが驚いている。

「色々事情があってね。近くにはいるからさ。」

「そうなのか・・。居なくなると、からかう奴がいなくなって調子狂うな。」

「店の客減るかもな・・・。」
ニルスは呟いた。


****


「今までお世話になりました。」
両親も旅行から帰ってきて、姉たちと一緒にお別れの挨拶をしていた。

「まあ、無理しないで大変だったら帰って来いよ。」
父グリーが軽く言う。

「ご飯食べに帰ってきてもいいからね。」
母シイナは心配しているみたいだ。

「一生会えないわけじゃないし大丈夫だよ。」
軽く手を振る俺。

まさか、家を出ることになるとは思わなかったけど。

「ブルート町ともお別れだな。」

実家から一日かけて隣町のワッツへ。
最初は町内で探すつもりだったが、テナント兼住居の空きが無くて探すのに手間取ってしまった。
実家から遠くになってしまったが、賃料も少し抑えられたのでまあ良しとするか。


****


馬車にすれば良かった。
普段長時間歩かないから、足が疲れてくる。
お金ケチるものじゃないな。

ブルート町からワッツ町へ
この街道はモンスターがほぼいないらしい。
いてもスライム程度だとか。
俺は逃げるしかないけどね。
情けないことに戦闘力皆無なので。

「はあぁ~~~。」
疲れると気持ちも落ち込むらしい。
俺は後悔していた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

初恋の王女殿下が帰って来たからと、離婚を告げられました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,292pt お気に入り:5,587

継母の心得

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:37,346pt お気に入り:24,757

【完結】つぎの色をさがして

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,668pt お気に入り:349

数年後に謝りに来られてももう遅い。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,037pt お気に入り:5

『6時27分発、西宮バスセンター行き』

青春 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:0

異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

児童書・童話 / 連載中 24h.ポイント:12,609pt お気に入り:1,187

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:356

種族【半神】な俺は異世界でも普通に暮らしたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:18,460pt お気に入り:5,745

処理中です...