15 / 39
窮鶏獅子を噛む
7
しおりを挟む
仕方なく、といった風に腕を下ろし横を通り過ぎる獅子雄さんの後に、ぶっちゃけ嫌々着いていく俺。
自分から場所を移動しようと言ったが、今更ながら逆に俺ピンチなんじゃ、と思う。
だってかなり苛立ってる獅子雄さんと二人きり、下手したら仲間がいるとこに連れてかれるかもしんないじゃないか!
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!
でも逃げたら余計ひどいことになりそうだし。
どうしよう!
今日こそ命日か?
昨日の先頭さんみたいに殴られたら、俺やばいよ。
本当、骨くらいは折れるよ。
この人変わったのは外見だけだってさっき分かったし。
怖いよ怖いよ怖いよ怖いよ!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
「おい。」
「ハイィ!!」
いきなり声を掛けられたことと、余りの緊張から声が裏返る。
まるでデジャブだ。
「チッ…此処でいいか?」
「か、構いましぇん!!」
舌打ちィ!!!
言い表わし様のない恐怖からわけも分からず返事をしてしまった。
しかも噛んだ。
―ガラッ
教室のドアを開ける音がした。
しかし特に何も考えず、と言うか頭真っ白で何も考えられずとにかく獅子雄さんに着いて教室に入ると、そこは少し埃っぽく、どうやら普段は使われていない様子だった。
少し回復した頭で一番始めに確認したのは、仲間の有無だ。
一応、姿は見えない。
「話の続き、いいか?」
「は、い。」
キョロキョロと辺りを見回していると声を掛けられた。
俺は少し戸惑いながらもなんとか返事をする。
それを聞いて獅子雄さんは、一瞬安心したような顔をした、様に見えた。
「昨日、お前に言われて思い出した。俺もお前を、その、好きに、なったとき、悩んだなって…」
“好き”という単語を言ったときに獅子雄さんは、照れからか顔が赤くなりそれを隠すように俯いた。
それを見て思い出す。
いや、覚えていたのに忘れていた。
俺さっき、人前でまた告白されんのが嫌で場所移動しようって言ったんじゃん。
すっかり殴られるもんだとばかり思ってしまった。
この短時間で忘れてしまうなんて、俺どんだけテンパってんだよ。
ビビリ過ぎだ。
「でも、好きになったからしょうがないって割り切ったら楽になって、男同士とか関係ないって…だから、昨日も。お前の気持ち、考えてなかった。」
本当にすまなそうに肩を落とす獅子雄さんからは、さっきのような怖さはもう感じなかった。
「始めは、目付きが悪いって絡まれて、喧嘩するようになったらそういう仲間増えてって、舐めらんねーように見た目も変えて…近寄りがたく見せようとしたのは俺なのに、忘れてた。」
怖さはないんだけど。
逆に、なんか…
自分から場所を移動しようと言ったが、今更ながら逆に俺ピンチなんじゃ、と思う。
だってかなり苛立ってる獅子雄さんと二人きり、下手したら仲間がいるとこに連れてかれるかもしんないじゃないか!
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!
でも逃げたら余計ひどいことになりそうだし。
どうしよう!
今日こそ命日か?
昨日の先頭さんみたいに殴られたら、俺やばいよ。
本当、骨くらいは折れるよ。
この人変わったのは外見だけだってさっき分かったし。
怖いよ怖いよ怖いよ怖いよ!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
「おい。」
「ハイィ!!」
いきなり声を掛けられたことと、余りの緊張から声が裏返る。
まるでデジャブだ。
「チッ…此処でいいか?」
「か、構いましぇん!!」
舌打ちィ!!!
言い表わし様のない恐怖からわけも分からず返事をしてしまった。
しかも噛んだ。
―ガラッ
教室のドアを開ける音がした。
しかし特に何も考えず、と言うか頭真っ白で何も考えられずとにかく獅子雄さんに着いて教室に入ると、そこは少し埃っぽく、どうやら普段は使われていない様子だった。
少し回復した頭で一番始めに確認したのは、仲間の有無だ。
一応、姿は見えない。
「話の続き、いいか?」
「は、い。」
キョロキョロと辺りを見回していると声を掛けられた。
俺は少し戸惑いながらもなんとか返事をする。
それを聞いて獅子雄さんは、一瞬安心したような顔をした、様に見えた。
「昨日、お前に言われて思い出した。俺もお前を、その、好きに、なったとき、悩んだなって…」
“好き”という単語を言ったときに獅子雄さんは、照れからか顔が赤くなりそれを隠すように俯いた。
それを見て思い出す。
いや、覚えていたのに忘れていた。
俺さっき、人前でまた告白されんのが嫌で場所移動しようって言ったんじゃん。
すっかり殴られるもんだとばかり思ってしまった。
この短時間で忘れてしまうなんて、俺どんだけテンパってんだよ。
ビビリ過ぎだ。
「でも、好きになったからしょうがないって割り切ったら楽になって、男同士とか関係ないって…だから、昨日も。お前の気持ち、考えてなかった。」
本当にすまなそうに肩を落とす獅子雄さんからは、さっきのような怖さはもう感じなかった。
「始めは、目付きが悪いって絡まれて、喧嘩するようになったらそういう仲間増えてって、舐めらんねーように見た目も変えて…近寄りがたく見せようとしたのは俺なのに、忘れてた。」
怖さはないんだけど。
逆に、なんか…
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
BL眠り シチュエーション限定SS
水ノ灯(ともしび)
BL
二人が眠る前後、眠っているところに焦点を当てたシチュエーション縛りの短編集です。
愛し合っているのか、それとも切ない別れの前なのか。
切り取られた部分から見えてくる関係や、微睡の優しい時間をお楽しみください。
ベッドの中で眠る前に読むのがおすすめです。ナイトキャップ代わりに一本どうぞ。
変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
病み男子
迷空哀路
BL
〈病み男子〉
無気力系主人公『光太郎』と、4つのタイプの病み男子達の日常
病み男子No.1
社会を恨み、自分も恨む。唯一心の支えは主人公だが、簡単に素直にもなれない。誰よりも寂しがり。
病み男子No.2
可愛いものとキラキラしたものしか目に入らない。溺れたら一直線で、死ぬまで溺れ続ける。邪魔するものは許せない。
病み男子No.3
細かい部分まで全て知っていたい。把握することが何よりの幸せ。失敗すると立ち直るまでの時間が長い。周りには気づかれないようにしてきたが、実は不器用な一面もある。
病み男子No.4
神の導きによって主人公へ辿り着いた。神と同等以上の存在である主を世界で一番尊いものとしている。
蔑まれて当然の存在だと自覚しているので、酷い言葉をかけられると安心する。主人公はサディストではないので頭を悩ませることもあるが、そのことには全く気づいていない。
。ねこじょんねめき
風枝ちよ
BL
BL。男子高校生がくっついたり離れたりイチャイチャしたりする話です。
2018.3.6完結
眞緒くんとひとりの後輩の話を『文芸部の小野塚眞緒は無口』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/364260340/544181586)で投稿しています。
合わせてお楽しみください。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
病んでる僕は、
蒼紫
BL
『特に理由もなく、
この世界が嫌になった。
愛されたい
でも、縛られたくない
寂しいのも
めんどくさいのも
全部嫌なんだ。』
特に取り柄もなく、短気で、我儘で、それでいて臆病で繊細。
そんな少年が王道学園に転校してきた5月7日。
彼が転校してきて何もかもが、少しずつ変わっていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最初のみ三人称 その後は基本一人称です。
お知らせをお読みください。
エブリスタでも投稿してましたがこちらをメインで活動しようと思います。
(エブリスタには改訂前のものしか載せてません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる