上 下
3 / 27

3

しおりを挟む
  


王城に着くと、銀髪の美男子が私の元に走ってやってきた。


「待ちわびた、私の真の妃よ。」



そう言って抱き締めてくるこの人は第一王子に違いないわ。




「お、お離し下さいませ、殿下。」


「そなたに会えるのを心待ちにしていた私に何故そんな酷いことを言うのだ。」


「私はただ妹の冤罪を晴らしに来ただけですわ。それに妹が罪を犯したというなら私とて同罪。殿下には相応しくないのです。」





けれどそんなセイラの思いとは裏腹に、皆ガブリエルがセイラを脅してブレスレットで力を奪ったと思っている。

それはセイラが幼い頃から家に引きこもっていたのが特殊な髪色のせいでもある。伯爵家の者は皆綺麗なブロンドだが、セイラだけはゴールドではなく世にも珍しいピンクゴールドを持って生まれた。
周りの者は当然伯爵の浮気を疑ったが、家の者は当然セイラが伯爵夫人の腹から出来てたことは事実だと分かっていたが、噂は幼いセイラの耳にも入り、元々の気の弱さもあって引きこもるようになってしまった。



セイラが公の場に姿を見せないことで噂は静まっていたが、現在ガブリエルがセイラの聖力を奪って王子と結婚しようとしたことが発覚し、貴族の間では私生児の聖女を伯爵家が隠し森の中に閉じ込めて、聖女であることが発覚すると無理矢理ネックレスでガブリエルに聖力を与えさせていたのではと事実とは違う噂が駆け巡っている。




「私がガブリエルにお願いしたのです。私の代わりに聖女になってほしいと。
だからガブリエルだけに罪をかぶせないで、罪を償わなければいけないのなら私も一緒に罰してくださいませ。」


ここまで来てしまったのだから、後には引けないわ。私がどうなっても、ガブリエルは守ってあげたい。王子への恋心を利用されて、私に利用された可哀想なガブリエル。

私が心が弱いばかりに辛い思いをさせてしまってるのだわ。




「そこまで言うなら一緒にガブリエルの元へ向かおうか。」



私は第一王子エルハルトにエスコートされて監獄へ向かった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。

ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」  出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。  だがアーリンは考える間もなく、 「──お断りします」  と、きっぱりと告げたのだった。

処理中です...