12 / 13
序章
1-12
しおりを挟む
「樂鴈寺君、朝まで萩に付き添ってくれたんだね。」
「はい。萩は今先ほど目覚めたばかりでまだなにも説明はしていないのですが。」
「うん、そのようだね。」
何故、母様と樂鴈寺が親しげにに会話を‥?
その前に樂鴈寺がここにいたことを母様は知っていたのか‥
「母様、何故彼がここに?」
「貴方を心配して駆けつけてくれたんだよ。しかも昨夜からずっとつきっきりで看病してくれて」
だから何故そんなことに‥
「それで樂鴈寺がなぜここに?彼が僕のところへ来た理由を聞いているんです。」
「だから言っただろう。
お前が俺の運命の番だからだ。」
そう答えたのは樂鴈寺。
「有り得ない。運命の番はアルファとオメガにしか‥」
「そうだ。
だからお前はオメガへ転化するんだ。
俺と番うために。」
転化?
「ば、馬鹿なことを言うな」
思わず声が震えた。
転化など聞いたことがない。
だがもし事実なら僕は‥‥
アルファからオメガへ堕ちる、のか?
***
『性の転化というのは普通人間にはない機能なんだ。だが稀に運命の番同士の性が同じだった場合に起こると今までの記録にある。よくあるのはベータからオメガへの転化。たまにいるよね。発情期が遅くて発情期が来るまで自分がベータだと思っていたって人。でもアルファからオメガ、オメガからアルファへの転化は滅多にない。
この分野は研究が難航していてね、ある説では番同士が出逢えた瞬間にどちらかに転化が起こるんじゃないかって言われているんだ。でも君たちの話を聞いた限り出逢った瞬間ってわけじゃないみたいだね。でもきっと何かきっかけがあったんだと思うよ。
君の今の症状は体がアルファからオメガへ変わる、その急激な変化によるものだよ。大きな負荷がかかることだからね。一週間は続くだろうが薬を出しておくから少しはマシになるだろう。』
先ほどの先生の言葉が頭の中でリピートされる。
今は個室の病室に僕一人。
今は誰にも会いたくない。
きっときっかけは昨日の朝、樂鴈寺と目があった瞬間だ。
あれから身体がおかしかった。
僕はオメガになるのか‥
樂鴈寺に一生従って生きるのか?
家の家督は継げるのだろうか。
オメガになるのだからきっと無理だ。
学校は‥
規則ではオメガは生徒になれない。
退学だろうか。
尚にももう会えない。
きっとオメガになった僕を蔑むに違いない。
「はい。萩は今先ほど目覚めたばかりでまだなにも説明はしていないのですが。」
「うん、そのようだね。」
何故、母様と樂鴈寺が親しげにに会話を‥?
その前に樂鴈寺がここにいたことを母様は知っていたのか‥
「母様、何故彼がここに?」
「貴方を心配して駆けつけてくれたんだよ。しかも昨夜からずっとつきっきりで看病してくれて」
だから何故そんなことに‥
「それで樂鴈寺がなぜここに?彼が僕のところへ来た理由を聞いているんです。」
「だから言っただろう。
お前が俺の運命の番だからだ。」
そう答えたのは樂鴈寺。
「有り得ない。運命の番はアルファとオメガにしか‥」
「そうだ。
だからお前はオメガへ転化するんだ。
俺と番うために。」
転化?
「ば、馬鹿なことを言うな」
思わず声が震えた。
転化など聞いたことがない。
だがもし事実なら僕は‥‥
アルファからオメガへ堕ちる、のか?
***
『性の転化というのは普通人間にはない機能なんだ。だが稀に運命の番同士の性が同じだった場合に起こると今までの記録にある。よくあるのはベータからオメガへの転化。たまにいるよね。発情期が遅くて発情期が来るまで自分がベータだと思っていたって人。でもアルファからオメガ、オメガからアルファへの転化は滅多にない。
この分野は研究が難航していてね、ある説では番同士が出逢えた瞬間にどちらかに転化が起こるんじゃないかって言われているんだ。でも君たちの話を聞いた限り出逢った瞬間ってわけじゃないみたいだね。でもきっと何かきっかけがあったんだと思うよ。
君の今の症状は体がアルファからオメガへ変わる、その急激な変化によるものだよ。大きな負荷がかかることだからね。一週間は続くだろうが薬を出しておくから少しはマシになるだろう。』
先ほどの先生の言葉が頭の中でリピートされる。
今は個室の病室に僕一人。
今は誰にも会いたくない。
きっときっかけは昨日の朝、樂鴈寺と目があった瞬間だ。
あれから身体がおかしかった。
僕はオメガになるのか‥
樂鴈寺に一生従って生きるのか?
家の家督は継げるのだろうか。
オメガになるのだからきっと無理だ。
学校は‥
規則ではオメガは生徒になれない。
退学だろうか。
尚にももう会えない。
きっとオメガになった僕を蔑むに違いない。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移要素はありません。

婚約者の恋
うりぼう
BL
親が決めた婚約者に突然婚約を破棄したいと言われた。
そんな時、俺は「前世」の記憶を取り戻した!
婚約破棄?
どうぞどうぞ
それよりも魔法と剣の世界を楽しみたい!
……のになんで王子はしつこく追いかけてくるんですかね?
そんな主人公のお話。
※異世界転生
※エセファンタジー
※なんちゃって王室
※なんちゃって魔法
※婚約破棄
※婚約解消を解消
※みんなちょろい
※普通に日本食出てきます
※とんでも展開
※細かいツッコミはなしでお願いします
※勇者の料理番とほんの少しだけリンクしてます



巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる