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序章
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それからの僕は
なんだかおかしかった。
いや、ここのところイライラすることが多かったり腰痛や微熱が続いたりはしていたが、
きっとストレスのせいだろうと思っていた。
アルファは滅多に風邪にはならない。
他の病気にしてもそうだ。
だがこれは、
「どうした萩?ヒート?」
休憩時間に俺の異変を察した尚がそう言ってきた。
「馬鹿か。
周りにオメガがいないのにヒートなんてしない。」
「だよなー。でも萩ちゃんなんか色気だだ漏れ。可愛くて食っちゃいたい。」
そう言って尚が俺の髪を撫でた。
っ‥!
「ふざけるな。」
「怒んなよ。お前アルファのオーラ出してても顔が綺麗だからさ。‥‥ああ!だからごめんって!」
ふざけたことを言うからオーラで威圧してやれば尚は青い顔をして謝ってきた。
全く。
「でも萩、ほんとお前どっかおかしいんじゃね?
一回病院で検査してもらいなよ。」
「ああそうする。」
体が、熱い。
***
結局僕は、午前の授業が終わったところで早退をした。
保険医は成長期特有のホルモンバランスの乱れからくる不調だと見立てたがどうも悪気がしていけない。
僕は重たく熱い身体を引きずりながら迎えが来ているであろう正門へと向かっていた。
すると、
「おい、」
低く聞こえのいい声が後方からした。
この声にこのオーラ
樂鴈寺 真宗に間違いない。
「‥なんでしょうか。」
初めてだ。
話しかけられたのは。
それにしてもなぜ彼はこんな有り得ないものを見たような表情をしているのだろう。
振り返ると、何故か驚いた顔をした彼とは裏腹に僕は身体の辛さからか頭の中は冷静だった。
「体調でも悪いのか」
‥そんな驚かれるほど今の僕はひどい顔色にでもなっているのだろうか。
「ご心配なく。もう帰って休むところですので。」
「‥そうか。」
「ええ。では私はこれで。」
「ああ。」
その返事を聞いて僕はすぐ歩き出した。
‥はやく横になりたい。
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