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1章・幼少期

人員は固定費じゃない

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 前世では、パンデミックに陥った際、会社は利益を上げたいがために、従業員をリストラした。ほんと、利益のために俺たちの生活を壊すのやめてほしいよね。
 でも、そんなに一気にリストラしたら、次は従業員不足って騒ぐんだよ。
 自分のことをリストラした会社に戻るかってんだよ!!
 まあ、俺はアルバイトの身だったから、何ともなかったんだけど。
 つまり、俺が言いたいことは、リストラされて職を欲している人がいるなら、俺が今すぐにでも雇いたいってこと!!

 
 と、この話は置いておいて。喫緊の課題は、人手不足だよ。俺の屋敷には、現在俺ことリューイと、俺の専属執事兼護衛のライラ、屋敷の警備責任者のアラック、魔物が溢れないように定期的に魔物狩りをしているバルの四人が住んでいる。それと、彼ら3人は俺との使用人契約を喜んで結んでくれた。ライラなんかは、俺が「もしまだ俺の執事兼護衛を引き受けてくれるなら、契約を結びたい」って言ったら、「俺を捨てる気ですか!?」って言われてしまったよ。でも、そこまで俺に仕えたいと思ってくれたことは、純粋に嬉しかった。


 ライラとバルは、連れて帰った後、俺が基本的な教育や戦い方、礼儀作法を教えた。その後の、詳しいことはアラックに任せた。まあ、教育に関しては、俺の屋敷にあるバカでかい図書室にある本を読めばいいだろう。
 ちなみに、バルは出会いはあんなにしおらしかったのに、ただの戦闘狂だったよ。暴れ過ぎて親に売られたらしい。そして、鉄格子に入れられ、でも鉄格子を蹴破ることはできずに、悶々とした気持ちが募り、誰彼構わず攻撃的な視線を向けてたみたい。それを、俺は警戒心が強いのかと思ったよ。しかし、俺の当初の計画の、バルに懐いてもらうっていうのは、成功している。俺が強かったのが良かったみたい。でも、なんか違うんだよねぇ。会うたび「訓練しましょう!!」は違うんだよねぇ。
 アラックは、門番をしていたがこの辺境であり魔物が多い土地にいるため、よく魔物討伐にも行っている。というか、行ってもらっている。俺が行っても良いんだけど、そうすると狩り尽くしてしまうからね。そうならないように、俺は深層だけで狩りをしている。浅瀬の部分は、冒険者やアラックやライラ、バルに任せている。
 教育に関してだが、予定外であったがあの図書室が使えなかった。なんでか知らないが、あの図書室が使えるのは今のところ俺だけだ。しかし、以前ハーウェザーがこの屋敷に来た時、あの図書室に入って行ったのを俺は知っている。情報は少ないが、もしかしたらあの図書室はブランド公爵の血を引くものしか入れないのかも知れないね。
 魔術ではないが、他の魔術的な何かがあの図書室全体にかかっていることは、最近図書室を調べて分かったことである。微弱、というよりは、とても巧妙に隠されていた。俺が頻繁に図書室を使っていた頃はまだまだ未熟であったため、この術に気が付かなくても不思議ではない。それぐらい、巧妙である。


 ということで、教育に関してはさまざまな都市から本を買い漁ることで解決をしてもらう。荒療治であることは否めないが、俺が付きっきりで教えることも難しい。


 人手不足の解決のために、俺は孤児を孤児院ごとこの屋敷で引き取る案を提示した。アラックは「それぐらいしか手段ないっすねぇ」と、ライラは「リューイ様の提案は必ず成功します!!」と、バルは「強いやついる?」だったよ。
 協調性!!君たち、協調性のかけらもないね?!だったよ4人の集団なのに、俺の質問にしっかりと答えてくれたのは、アラックだけだよ。ライラは、俺の為すこと言うこと全肯定だからね。


 俺が使用人からネグレクトされていたことは、領内では結構有名みたいで、ほとんどの人が知っていた。複数の使用人が街に連日繰り出していて、疑問に思った領民がアラックに聞いたみたい。
 だから、俺の領民からの好感度はいい。それに、最近領地のことも考えて投資しているから、俺の人気は鰻登りだね。
 公爵は、領内が裕福になり過ぎないように制限してたみたい。謀反が怖いからかな?制限するなんて能力が公爵にあるのかすら疑わしいけど。どうせ有能な家令的な人がいるんでしょう。


 領民からの好感度が高い俺の提案なら、彼らは多分特に疑わずに従ってくれると思う。まあ、この領内にある孤児院ごとボロボロだからね。この屋敷を使ってって言ったら喜んでくれるとは思う。まあ、善意だけの行動ではないんだけどね。彼らを教育して、せめて屋敷が正常に機能するぐらいの使用人を育てたい。貴族の世間対を考えれば、孤児や奴隷で構成されている使用人はよろしくないのだろうけど、そんなの関係ないね!
 全く見ず知らずの人を雇うのは、危ないよ。それに、生活環境を良くした俺に対して少しばかりの恩を感じて、働いてくれることを考えている。邪な思いであることは認めるが、否定される謂れはない!!
 ってことで、決行!!


 




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