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三章・金の亡者
魔道具
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「グフ、グフフ、グフフフ。いや~ぁ、笑いが止まりませんな~ぁ。」
「ちょっとラント様、もっと上品に笑ってくださいよ。」
「だ、だって、仕方がないじゃないか。こんなにあったら、魔道具が作り放題なんだから!!」
作りたいと思っていたものを先延ばしにされると、どんどんその思いが強まるってあるよね。今の僕の状態がそれね。
「そんなことより!魔道具作りだよ!!」
「そんなことではないのですが、まあ、良しとしましょう。それで、魔道具作りはどのぐらいの確率で成功しそうですか?」
「確率?」
待ってくれよ。僕は100%成功させるつもりでいたのだが?
「魔道具は、熟練の職人でも失敗はつきものであると言われています。具体的には、成功率が7割を超えれば天才と言われますね。」
おっと。ここで、厳しい現実を突きつけられた。
僕の認識では、魔道具作りは基本的な手順を踏めば成功するものだと思っていた。
さて、どう答えようか。100%とか言ったら、イキってる新人みたいに見える。
でも、魔道具により資金回収をしようとしてるんだから、弱気なことは言えない。
曖昧に答えておくか。そうすれば、失敗しても「まあそうだよね」みたいな感じになって、成功したら「すごいね」って感じになる。
「ま、まあまあかな?でも、ほらさ、病は気から、魔道具の作成もそれに倣って、成功させるつもりだよ。」
「確かに。国にいた魔道具技師も気持ちは大事と言っていました。」
魔道具技師とは、魔道具を作る人のことかな?随分とカッコいい名前だね。
取り敢えずは、いい感じに返答できた。
ここからは、魔道具作成だ。
初めてだし、簡単な魔道具がいいんだよね。
***
「できた!できたよ!!」
「結局、何の魔道具を作ったんですか?」
「結界の魔道具!!」
結局、僕は直ぐには何の魔道具を作るか決められず、頼まぬ綱の知識の宮殿を頼ることにした。
宮殿に行って、『魔道具大全』を引っ張り出して、適当にページを捲る。そして、そのページ書かれていた魔道具を作ったって訳。
すごく簡単でしょ?
最初に作る魔道具だし、思い入れもできるだろうけど、ここで悩んでも時間の無駄だからね。
「、え?」
まだ起動させてないからはっきりないが、作成段階では今回の魔道具が失敗している確率は低い。
そう思って、ジークハルトに報告したのだ。僕的には、「素晴らしいです!!」みたいな反応を期待していた。いや、もらえると確信していた。
「、、え?ほ、本当に結界の魔道具ですか?」
「うん?そうだよ。あ、しかもね、しっかりと魔力が常時供給されるように魔法陣を詰め込んだからね。これで安心安全!どう?すごくない?」
「え?それは、えっと、すごいのですが、、その、思っていたより高度な魔道具でびっくりしました。」
なんか、戸惑ってる感じが、本当に驚きすぎて戸惑っているのか、僕の作ったものが凡庸すぎて戸惑っているのか、どっちかわからないんだよね。
いや、待てよ。ジークハルトは、この魔道具が本当に作動するか分からないから、困惑しているのでは?
ならば、僕のやることは一つ!!
「バリア!」
僕は今作った魔道具を掲げて、暗号キーを発現する。ちなみに、今回の魔道具には純粋な魔鉱石を使った。大きさも小さめだ。大きすぎると、いざという時に使えないからね。バリアの魔道具は、いかにいつでも持ってもらうかが大事、って『魔道具大全』が言っていた。
結界の魔道具は、僕の暗号キーに反応し、僕の全方位を守るように作動した。
この魔道具により発生する結界は、無色の透明な一枚板が出現し、結界の耐久値までの攻撃を受けると消滅する。
「ほ、本当だ、、。す、すごいですよ!!これは、本当にすごいですよ!!」
お?ジークハルトが僕の魔道具の効果を見て、絶賛してくれたね。
うむうむ。満足のいく結果が得られて、僕は満ち足りた。
「で、これっていくらで売れる?てか、売れる?」
「う、売れるに決まってますよ!!いや、やはりダメかもしれないです。」
あれ?あんなに褒めてくれたなら、売れると思ったのに。
「これ結構な自信作なんだけど。」
僕の作品が否定されたみたいだ。さっきまでの有頂天が嘘のように、僕は今どんより気分だ。
「い、いえ、ラント様の魔道具に問題はありません。問題なのは、結界の効果なんです。」
「?結界はしっかり作動してるよ。」
「ええ。この魔道具は、逆です。効果がすごすぎるんですよ。現状結界の魔道具は、小規模のものでも多数の魔導士によって展開されます。見たところ、その魔道具の消費魔力は少ないようです。」
おっ、良いところに気がついたね。
僕ってば、初めての魔道具作りだけど、アレンジを加えたんだよ。それが、魔力の効率化。より少ない魔力で、より頑丈な結界を、より長時間って言うテーマでアレンジした。
それをわかってもらえるとは、嬉しい限りだ。
「そうだよ、僕ってば頑張った。あれ?もしや、僕は頑張りすぎたってこと?」
「分かってくれましたか。この魔道具を売れば、それはすごい資金になります。ただ、ラント様が様々な人類にマークされることと引き換えにです。」
「、、、。」
「どうしますか?売りますか?」
僕の第一目標としては、資金集めだけど、人間不信な僕は積極的に人類と交流する気はない。まあね、たまには交流したいよ。でも、人類にマークされると、交流なんて生優しいものでは終わらなくなりそう。
最悪、どこかの国に所属とかにされるかも。基本のベースは、森で引き篭もることを考えると、国に所属は超えてはならない一線となる。
うむ。そうすると一択だね。
「売るの、やめるよ。」
「英断です。」
簡単に魔道具が成功したし、楽勝で資金集めができると考えていたが、品質が良すぎるという贅沢な壁にぶちあったってしまった。
僕は権力や名声が欲しいわけではない。いや、もちろん憧れはするけど、積極的にはなれないよね。
そんな僕には、品質が良すぎる魔道具を売るってことは、相性最悪ってことだ。
ということは、これからの魔道具作りは、意識的に品質を落とすってことか。
自分の作品なんだから、全力で取り組みたいが、ここは金のためだ。仕方がない。
僕は、さっき生まれたばかりの職人魂(仮)を封印することにした。
全ては金のためだ。
「ちょっとラント様、もっと上品に笑ってくださいよ。」
「だ、だって、仕方がないじゃないか。こんなにあったら、魔道具が作り放題なんだから!!」
作りたいと思っていたものを先延ばしにされると、どんどんその思いが強まるってあるよね。今の僕の状態がそれね。
「そんなことより!魔道具作りだよ!!」
「そんなことではないのですが、まあ、良しとしましょう。それで、魔道具作りはどのぐらいの確率で成功しそうですか?」
「確率?」
待ってくれよ。僕は100%成功させるつもりでいたのだが?
「魔道具は、熟練の職人でも失敗はつきものであると言われています。具体的には、成功率が7割を超えれば天才と言われますね。」
おっと。ここで、厳しい現実を突きつけられた。
僕の認識では、魔道具作りは基本的な手順を踏めば成功するものだと思っていた。
さて、どう答えようか。100%とか言ったら、イキってる新人みたいに見える。
でも、魔道具により資金回収をしようとしてるんだから、弱気なことは言えない。
曖昧に答えておくか。そうすれば、失敗しても「まあそうだよね」みたいな感じになって、成功したら「すごいね」って感じになる。
「ま、まあまあかな?でも、ほらさ、病は気から、魔道具の作成もそれに倣って、成功させるつもりだよ。」
「確かに。国にいた魔道具技師も気持ちは大事と言っていました。」
魔道具技師とは、魔道具を作る人のことかな?随分とカッコいい名前だね。
取り敢えずは、いい感じに返答できた。
ここからは、魔道具作成だ。
初めてだし、簡単な魔道具がいいんだよね。
***
「できた!できたよ!!」
「結局、何の魔道具を作ったんですか?」
「結界の魔道具!!」
結局、僕は直ぐには何の魔道具を作るか決められず、頼まぬ綱の知識の宮殿を頼ることにした。
宮殿に行って、『魔道具大全』を引っ張り出して、適当にページを捲る。そして、そのページ書かれていた魔道具を作ったって訳。
すごく簡単でしょ?
最初に作る魔道具だし、思い入れもできるだろうけど、ここで悩んでも時間の無駄だからね。
「、え?」
まだ起動させてないからはっきりないが、作成段階では今回の魔道具が失敗している確率は低い。
そう思って、ジークハルトに報告したのだ。僕的には、「素晴らしいです!!」みたいな反応を期待していた。いや、もらえると確信していた。
「、、え?ほ、本当に結界の魔道具ですか?」
「うん?そうだよ。あ、しかもね、しっかりと魔力が常時供給されるように魔法陣を詰め込んだからね。これで安心安全!どう?すごくない?」
「え?それは、えっと、すごいのですが、、その、思っていたより高度な魔道具でびっくりしました。」
なんか、戸惑ってる感じが、本当に驚きすぎて戸惑っているのか、僕の作ったものが凡庸すぎて戸惑っているのか、どっちかわからないんだよね。
いや、待てよ。ジークハルトは、この魔道具が本当に作動するか分からないから、困惑しているのでは?
ならば、僕のやることは一つ!!
「バリア!」
僕は今作った魔道具を掲げて、暗号キーを発現する。ちなみに、今回の魔道具には純粋な魔鉱石を使った。大きさも小さめだ。大きすぎると、いざという時に使えないからね。バリアの魔道具は、いかにいつでも持ってもらうかが大事、って『魔道具大全』が言っていた。
結界の魔道具は、僕の暗号キーに反応し、僕の全方位を守るように作動した。
この魔道具により発生する結界は、無色の透明な一枚板が出現し、結界の耐久値までの攻撃を受けると消滅する。
「ほ、本当だ、、。す、すごいですよ!!これは、本当にすごいですよ!!」
お?ジークハルトが僕の魔道具の効果を見て、絶賛してくれたね。
うむうむ。満足のいく結果が得られて、僕は満ち足りた。
「で、これっていくらで売れる?てか、売れる?」
「う、売れるに決まってますよ!!いや、やはりダメかもしれないです。」
あれ?あんなに褒めてくれたなら、売れると思ったのに。
「これ結構な自信作なんだけど。」
僕の作品が否定されたみたいだ。さっきまでの有頂天が嘘のように、僕は今どんより気分だ。
「い、いえ、ラント様の魔道具に問題はありません。問題なのは、結界の効果なんです。」
「?結界はしっかり作動してるよ。」
「ええ。この魔道具は、逆です。効果がすごすぎるんですよ。現状結界の魔道具は、小規模のものでも多数の魔導士によって展開されます。見たところ、その魔道具の消費魔力は少ないようです。」
おっ、良いところに気がついたね。
僕ってば、初めての魔道具作りだけど、アレンジを加えたんだよ。それが、魔力の効率化。より少ない魔力で、より頑丈な結界を、より長時間って言うテーマでアレンジした。
それをわかってもらえるとは、嬉しい限りだ。
「そうだよ、僕ってば頑張った。あれ?もしや、僕は頑張りすぎたってこと?」
「分かってくれましたか。この魔道具を売れば、それはすごい資金になります。ただ、ラント様が様々な人類にマークされることと引き換えにです。」
「、、、。」
「どうしますか?売りますか?」
僕の第一目標としては、資金集めだけど、人間不信な僕は積極的に人類と交流する気はない。まあね、たまには交流したいよ。でも、人類にマークされると、交流なんて生優しいものでは終わらなくなりそう。
最悪、どこかの国に所属とかにされるかも。基本のベースは、森で引き篭もることを考えると、国に所属は超えてはならない一線となる。
うむ。そうすると一択だね。
「売るの、やめるよ。」
「英断です。」
簡単に魔道具が成功したし、楽勝で資金集めができると考えていたが、品質が良すぎるという贅沢な壁にぶちあったってしまった。
僕は権力や名声が欲しいわけではない。いや、もちろん憧れはするけど、積極的にはなれないよね。
そんな僕には、品質が良すぎる魔道具を売るってことは、相性最悪ってことだ。
ということは、これからの魔道具作りは、意識的に品質を落とすってことか。
自分の作品なんだから、全力で取り組みたいが、ここは金のためだ。仕方がない。
僕は、さっき生まれたばかりの職人魂(仮)を封印することにした。
全ては金のためだ。
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