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二章・管理人
いざ行かん!! (二章完結)
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「愛しのマイハウスとも、しばしのお別れだね。」
「そうですね。」
僕たちは、今リビングにいる。
まあ、リビングとは言っても、そこにあるのはテーブルと椅子だけなのだが。未だに、調理は焚き火を使っている。
キッチン用具も揃えたいところだ。
僕が魔術を一通り習得したことで、魔道具作りもできるようになった。
家の設備を整える目的で、資金回収が終わり家に帰ってきたら、日本並みの設備を再現するために魔道具作りを極めるのもいいかもしれない。
「それにしても、料理上手くなったね。」
僕は、ジークハルトが作ってくれた料理人舌鼓を打ちながら言う。
「時間だけはありましたしね。ですが、ラント様に喜んでいただけたなら、練習した甲斐があります。」
ジークハルトは、森の中から見つけた木の実を加工したり、一見食べられそうでない物をスパイスに使用したりと工夫を凝らし、結構多彩な味が再現できている。
「それにしても、よくこんなに品数が揃えられるね。」
「それはですね、私は騎士団長として、パーティーや晩餐に参加することがあったのです。その時の料理を再現しているから、品数が多いんですよ。」
なんと、ジークハルトくんはお偉いさんだったらしい。その割には、僕が彼を拾った時の状況は捨て駒扱いだったよね。
やはり、彼が言っていたようにこの世界の身分の差は大きいんだろうね。
ジークハルトが捨て駒扱いされた理由も、平民って理由だろうし。
明日から外の世界に行くし、僕は種族としては高位だろうけど、身分は平民、もしくはそれ以下だからね。
なるべく、身分が高いやつの目に入らないようにしないと。
***
「持ち物確認!!」
「魔物の売却可能部位と食料は持ちましたよ。あと、私が持っていたわずかながらの金銭も。以上でよろしいでしょうか?」
「よし!完璧だね。」
テンション爆上げな僕に対して、ジークハルトはいたっていつも通りだ。
僕だけ楽しみにしているみたいで、恥ずかしいじゃないか。今だって、テンション爆上げな僕をうろんげな目で見てくる。
いや、実際にジークハルトは楽しそうではないな。昨日の夜から、ずっと僕の心配ばかりをしてくる。
しかも、その心配内容がお子様なんだよね。
『ラント様、くれぐれも見知らぬものに勝手について行かないように。見知っていても、私が危険と判断したものは無視を決め込んでください。』
だってさ。
ガキじゃあるまいし、そんな考えなしな行動は取らないよ。
あ、でも、お金あげるって言われたら、ついて行くかもね。時は金なりと言うし。
だが、僕はジークハルトには「分かった」と伝えてある。
人付き合いが少ない僕でも、要らんことを言うと怒られることを学んだからね。
「ところで、ラント様は何か持ったのですか?」
「いや?手ぶらだけど?あ、なんか持った方がいい?」
「いえ、従者として当然の仕事ですので。」
いつもはお母さんみたいなことを言うくせに、こんな時は主人と従者を気にするんだね。
「というか、僕異空間に荷物放り込めるから、荷物持つ必要ないや。」
「、、、それ、早く言ってくださいよ。」
異空間に荷物を放り込むのが当たり前になっていたから、忘れていたよ。
てか、既に魔法を使いこなせるようになっているジークハルトなら、異空間の創造もできると思っていたのに。
そう思って聞いてみたら、「異空間の維持には、莫大な魔力が必要なんです。私にそんな魔力はありませんよ。」とのことだった。
そんなもんか。
「では、改めて、新天地へいざ行かん!!」
「、、、」
「復唱しろよ!!」
そこは、「いざ行かん!!」コールをするところだろう!!
テンション低すぎだろ。僕がバカみたいではないか。いや、まあ、多少の、お茶目っけみたいな程度の馬鹿さ加減はあると思うよ。
でもこれでも神なんだ。真の馬鹿になどなりたくない。
ってことで、この無駄なハイテンションも必要なことなのだよ。
「いざ行かん!!」
「、、いざ行かん、」
やる気ゼロがありありと分かるが、まあ、こうゆうことが恥ずかしいお年頃なのだろう。
僕は理解ある主人にして年上のお兄さんだからね。
ジークハルトの返事も聞けたので、早速移動する。もちろん、荷物は全て僕の異空間にあるよ。これで、旅の食は守られたね。ちなみに、衣食住の衣と住はどうしたのかと聞かれたら、臨機応変に対応するとしか言えない。なんたって、僕らは屋敷での衣と住すら、満足にできてないからね。
着る物は、浄化魔法で綺麗にして何回も着回し、住む場所は屋敷に住んでいるものの、寝る場所とか魔物の毛を引いただけの足跡ベッドだからね。
今更、旅の不自由に嘆いてられない。この不自由も、人類圏の街で解決されるはずだからね!!
ってことで、転移します!!場所は、森の外縁部分。
場所を想像しながら、僕は転移のための魔法陣を自分の魔力を使い空中に描く。
いや~ぁ、長ったらしい詠唱とか、馬鹿でかい魔法陣を描かずに魔術を行使する練習をしておいて、良かったね。
そうだ、人類圏に行くのだから、僕も魔法は禁止して、魔術のみで生活しようかな。
「いや~ぁ、草原の空気だね。」
忘れているかもしれないが、屋敷の真後ろは海なのだ。つまり、海風以外を久しぶりに浴びたということだ。
「ラント様!!転移で移動できるなら、準備とか必要でしたか!?」
おっと、またもやジークハルトお母様がお怒りだ。今回のお怒りポイントは、無駄な準備をさせられたことのようだ。
だが、これへの反論は既にある。
魔術における転移は、一度行ったことがある場所、更には具体的な風景が思い出せる場所である必要がある。
そして、腰が激重な僕が鮮明に思い出せる範囲というのが、ここ、つまりは森の外縁部ということだ。
「ってことだよ、分かるかい?」
「つまり、ここからは地道に行くしかない、ということですか?」
「まあね。ジークは飛行の魔法は出来るんだよね?」
ここが大事。徒歩で行くのと、浮遊を使い空の旅をするのとでは、移動できる総距離が違いすぎる。
あと、徒歩では景色の変化が乏しく、早々に飽きがくる。
「はい、可能でございます。」
「じゃあ、行こうか。」
そう言い、僕は自分に飛行の魔術をかける。
この魔術は、使用者の魔術のコントロールや魔力の出力によりスピードが異なる。より繊細なコントロールと、より力強い出力を持ってすれば、スピードを何倍にも高めることができる。
確か、魔力を単独で操作できない人類はそのことに気がついていなくて、この魔術は誰が使っても同じ速度が出せる魔術だと認識されていたはずである。
僕たちが最初に向かうのは、ドラゴンが住んでいた森を越えた先にある。
僕がこの世界であった最初の人類集団は街であったが、そこは門番から最悪であった。対応から何から何までも。
新たなる出会いに期待する心もあるが、せめて話の通じる人類と出逢いたいところである。
まあ、今回の人類との接触で手痛い結果になったとしても、僕には慰め枠のジークハルトがいるから、強気である。
ただ、ほんの少し、久しぶりの人類との出会いに期待しても良いだろう。
「そうですね。」
僕たちは、今リビングにいる。
まあ、リビングとは言っても、そこにあるのはテーブルと椅子だけなのだが。未だに、調理は焚き火を使っている。
キッチン用具も揃えたいところだ。
僕が魔術を一通り習得したことで、魔道具作りもできるようになった。
家の設備を整える目的で、資金回収が終わり家に帰ってきたら、日本並みの設備を再現するために魔道具作りを極めるのもいいかもしれない。
「それにしても、料理上手くなったね。」
僕は、ジークハルトが作ってくれた料理人舌鼓を打ちながら言う。
「時間だけはありましたしね。ですが、ラント様に喜んでいただけたなら、練習した甲斐があります。」
ジークハルトは、森の中から見つけた木の実を加工したり、一見食べられそうでない物をスパイスに使用したりと工夫を凝らし、結構多彩な味が再現できている。
「それにしても、よくこんなに品数が揃えられるね。」
「それはですね、私は騎士団長として、パーティーや晩餐に参加することがあったのです。その時の料理を再現しているから、品数が多いんですよ。」
なんと、ジークハルトくんはお偉いさんだったらしい。その割には、僕が彼を拾った時の状況は捨て駒扱いだったよね。
やはり、彼が言っていたようにこの世界の身分の差は大きいんだろうね。
ジークハルトが捨て駒扱いされた理由も、平民って理由だろうし。
明日から外の世界に行くし、僕は種族としては高位だろうけど、身分は平民、もしくはそれ以下だからね。
なるべく、身分が高いやつの目に入らないようにしないと。
***
「持ち物確認!!」
「魔物の売却可能部位と食料は持ちましたよ。あと、私が持っていたわずかながらの金銭も。以上でよろしいでしょうか?」
「よし!完璧だね。」
テンション爆上げな僕に対して、ジークハルトはいたっていつも通りだ。
僕だけ楽しみにしているみたいで、恥ずかしいじゃないか。今だって、テンション爆上げな僕をうろんげな目で見てくる。
いや、実際にジークハルトは楽しそうではないな。昨日の夜から、ずっと僕の心配ばかりをしてくる。
しかも、その心配内容がお子様なんだよね。
『ラント様、くれぐれも見知らぬものに勝手について行かないように。見知っていても、私が危険と判断したものは無視を決め込んでください。』
だってさ。
ガキじゃあるまいし、そんな考えなしな行動は取らないよ。
あ、でも、お金あげるって言われたら、ついて行くかもね。時は金なりと言うし。
だが、僕はジークハルトには「分かった」と伝えてある。
人付き合いが少ない僕でも、要らんことを言うと怒られることを学んだからね。
「ところで、ラント様は何か持ったのですか?」
「いや?手ぶらだけど?あ、なんか持った方がいい?」
「いえ、従者として当然の仕事ですので。」
いつもはお母さんみたいなことを言うくせに、こんな時は主人と従者を気にするんだね。
「というか、僕異空間に荷物放り込めるから、荷物持つ必要ないや。」
「、、、それ、早く言ってくださいよ。」
異空間に荷物を放り込むのが当たり前になっていたから、忘れていたよ。
てか、既に魔法を使いこなせるようになっているジークハルトなら、異空間の創造もできると思っていたのに。
そう思って聞いてみたら、「異空間の維持には、莫大な魔力が必要なんです。私にそんな魔力はありませんよ。」とのことだった。
そんなもんか。
「では、改めて、新天地へいざ行かん!!」
「、、、」
「復唱しろよ!!」
そこは、「いざ行かん!!」コールをするところだろう!!
テンション低すぎだろ。僕がバカみたいではないか。いや、まあ、多少の、お茶目っけみたいな程度の馬鹿さ加減はあると思うよ。
でもこれでも神なんだ。真の馬鹿になどなりたくない。
ってことで、この無駄なハイテンションも必要なことなのだよ。
「いざ行かん!!」
「、、いざ行かん、」
やる気ゼロがありありと分かるが、まあ、こうゆうことが恥ずかしいお年頃なのだろう。
僕は理解ある主人にして年上のお兄さんだからね。
ジークハルトの返事も聞けたので、早速移動する。もちろん、荷物は全て僕の異空間にあるよ。これで、旅の食は守られたね。ちなみに、衣食住の衣と住はどうしたのかと聞かれたら、臨機応変に対応するとしか言えない。なんたって、僕らは屋敷での衣と住すら、満足にできてないからね。
着る物は、浄化魔法で綺麗にして何回も着回し、住む場所は屋敷に住んでいるものの、寝る場所とか魔物の毛を引いただけの足跡ベッドだからね。
今更、旅の不自由に嘆いてられない。この不自由も、人類圏の街で解決されるはずだからね!!
ってことで、転移します!!場所は、森の外縁部分。
場所を想像しながら、僕は転移のための魔法陣を自分の魔力を使い空中に描く。
いや~ぁ、長ったらしい詠唱とか、馬鹿でかい魔法陣を描かずに魔術を行使する練習をしておいて、良かったね。
そうだ、人類圏に行くのだから、僕も魔法は禁止して、魔術のみで生活しようかな。
「いや~ぁ、草原の空気だね。」
忘れているかもしれないが、屋敷の真後ろは海なのだ。つまり、海風以外を久しぶりに浴びたということだ。
「ラント様!!転移で移動できるなら、準備とか必要でしたか!?」
おっと、またもやジークハルトお母様がお怒りだ。今回のお怒りポイントは、無駄な準備をさせられたことのようだ。
だが、これへの反論は既にある。
魔術における転移は、一度行ったことがある場所、更には具体的な風景が思い出せる場所である必要がある。
そして、腰が激重な僕が鮮明に思い出せる範囲というのが、ここ、つまりは森の外縁部ということだ。
「ってことだよ、分かるかい?」
「つまり、ここからは地道に行くしかない、ということですか?」
「まあね。ジークは飛行の魔法は出来るんだよね?」
ここが大事。徒歩で行くのと、浮遊を使い空の旅をするのとでは、移動できる総距離が違いすぎる。
あと、徒歩では景色の変化が乏しく、早々に飽きがくる。
「はい、可能でございます。」
「じゃあ、行こうか。」
そう言い、僕は自分に飛行の魔術をかける。
この魔術は、使用者の魔術のコントロールや魔力の出力によりスピードが異なる。より繊細なコントロールと、より力強い出力を持ってすれば、スピードを何倍にも高めることができる。
確か、魔力を単独で操作できない人類はそのことに気がついていなくて、この魔術は誰が使っても同じ速度が出せる魔術だと認識されていたはずである。
僕たちが最初に向かうのは、ドラゴンが住んでいた森を越えた先にある。
僕がこの世界であった最初の人類集団は街であったが、そこは門番から最悪であった。対応から何から何までも。
新たなる出会いに期待する心もあるが、せめて話の通じる人類と出逢いたいところである。
まあ、今回の人類との接触で手痛い結果になったとしても、僕には慰め枠のジークハルトがいるから、強気である。
ただ、ほんの少し、久しぶりの人類との出会いに期待しても良いだろう。
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