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二章・管理人

三人寄れば文殊の知恵

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「ですが、、、あまりお勧めはしません。」

 ありゃ?
 僕は冒険者(仮名)による資金稼ぎを計画していたのだが?

「えっと、ダメ?」

「い、いえ、ダメと言うわけではありませんが、私個人としてはできるならば控えて欲しいね。」

 それ、実質ダメって言ってるようなもんじゃん。
 しかし意外だ。魔物を倒すことで資金を得る。異世界ならばこれが普通だと思ってたのに。それを否定されるとは思ってなかった。

「じゃあ、なんか案出してよ。」

 冒険者になる案を却下されたんだ。さぞかい良い案があるのだろう。

「そうですね。教師なんていかがでしょうか?」

「、、教師?」

 いや、無理だろ、とは言わない。
 もしかしたら、ジークハルトが僕に教師の才能があると思って提案してくれたかもしれないからだ。
 僕は人生?精霊生?を振り返る。
 日本にいた頃は、ボッチで生活。友達どころか、人に関わることはなかった。もちろん、人に物を教えることもない。
 こっちに来てからも、人との関わりはほぼ無い。もちろん、人に物を教えることもない。
 てか、人間不信気味な僕が教師って無理じゃね?

「いや、無理だろ。」

 僕は結論を告げるように呟く。

「ですが、教師は給料が良いですよ。」

「やろう!!それ一択だ!!」

 僕は食い込むように答える。

「かしこまりました。では、その準備をしましょう。」

「準備ねぇ、それがネックだよね。」

 本当なら、今すぐ出発したいんだけどね。
 僕なら準備するものなんてないから、今すぐ行けるよ。まあ、準備するものっていうか、家にものがないからね。

「では、私は当面の食料確保をしてきます。また、街に出た際に換金できそうな目のを見繕っておきます。」

 いいね、ジークハルトが準備をしてくれるなら僕は教師のための準備だけで済むから楽だね。

 ただ、今更勉強するのも面倒くさい。日本にいた頃はやらなければいけないと言う強迫観念でやってたけど、自由を満喫できるこの世界でそれをやるのは、モチベーションが上がらないね。

「やっぱ、傭兵の方がいいのでは?」

 傭兵の方が、手元ゼロかつ知識無しでチャレンジできると思うのだが?

「それは、絶対に、ダメです!!」

 ダイニングテーブルを叩きながら、ジークハルトは否定してした。
 すごい拒絶してくるわ。さっきまでは、「それはちょっとぉ~」みたいな感じだったのに、めっちゃ拒絶するじゃん。

「はあー、分かった。勉強するよ。」

「え?」

「え?って、ジークがやれって言ったんだよ。」

 やれと言った当人が疑問を呈すなよ。
 僕は金のためなら、それなりの労力は構わないと思ってるからね。
 それに、知識の調達には一つ思い当たる節があるから。
 それを使えば、この世界の正しい知識を学ぶことができる。

「あっ、すいません。その、ラント様には剣の教師をしてもらおうと思ってました。」

「そっちの教師かよ!!」

 教師と言われて、頭にすぐ浮かんできたのが学術の方の教師だった。
 だが、ジークハルトの言うように、剣術の教師の方がいいのでは?まあ、僕の剣には型とかなくて、全てが実践から学んだものなんだけどね。それに、僕は自分の肉体スペックがバカ高いから、剣術をやれてるだけだからね。
 実際、僕の剣術を人に教えるとなると難しいんだよね。だが、教えるのが難しいとかはどうでも良い!!僕が欲しいのは給料だ!!

「本来は、貴族家にいる剣術の指南役を薦めようとおもったのですが、素晴らしいです!!人間として苦労なさりやっと精霊へと至ったのに、更にご自分に苦労をかけるとは。」

 待ってくれ。この空気感で、「やっぱやめるわぁ、剣術の教師になるよ」とは言えない。
 僕の勉強する発言のどこに感銘を受けたか分からないが、ジークハルトは僕にとてつもない尊敬の眼差しを向けてくる。
 これは、勉強する羽目になりそうだ。

「ま、まあ、そう言うことだから。準備はよろしくね。」

「はっ!お任せください。」

 そう言って、ジークハルトは椅子から立ち一礼をして、颯爽と肉の確保のために狩に出かけた。

 さて、僕もやるべきことをやろうかな。
 そのためには、会いたくはないけど世界樹に会いに行かないといけないんだよね。
 多分、世界樹に聞けば、わざわざ勉強しなくても知識の習得はできる。


***


「元気?」

「あっ、あの、えっと、、、」

 僕が声をかけると、オロオロしている髪の長い女性のような人物が現れる。その者の身体は、相変わらず透けている。

「ああ、名前で呼んで良いよ。僕も悪かったね。この怒りは前代の神へとつけとくよ。」

「よ、良かったです。」

 いつまでも世界樹と喧嘩していても仕方がない。まあ、喧嘩というか、僕が一方的に嫌ってるんだけどね。

「そうそう。聞きたいことがあったんだよね。」

「何なりと。」

「君は、神としての力の使い方も分かる?」

 僕が聞きたかったのはこれだ。
 世界樹は前代の神から、新たなる神の創造の権利をもらっていた。そして、世界樹自身も、神のこと、特に力ややるべき責務について色々と知っているような雰囲気を漂わせていた。
 この前の会話でも、神となった僕に今まで通りの生活を約束してくれた。つまりは、普通の神は、神になると相応の仕事があるということだろう。

「ええ、もちろんです。それらを伝えることも、前代の神からの命令ですから。」

「そう。じゃあ、それを、いや。全部言われると面倒だから、やらなきゃダメなことと、知識の習得について教えて欲しい。」




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