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きららの奮闘記
おうちに帰る方法は?
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骨が軋んで、身体中が痛かった。
目が覚めるのが嫌だったのに、わたしの目蓋は勝手に持ち上がっていく。
「ここ、天国じゃない、のね」
こんな痛い天国だったら行きたくな。
素直にそう思った。
目だけで周囲を見回すと、山の中じゃないことが分かる。
壁に、天井、ちらちらと光が揺れるランプ。待ち望んでいた、人工物に取り囲まれていた。
動くのが怠くて、考えるのが嫌で、ぼうっと知らない天井を見つめていると、扉の外から誰かの話し声が聞こえてきた。
途端に体に緊張が走る。
誰なのか、何なのか。
助けてくれたのか、攫われただけなのか。
何一つ状況が分からないなかで、見知らぬ誰かがくる。
恐怖に突き動かされて一生懸命ベッドから体を起した途端、筋肉も骨もギシギシきしんで、今にもばらばらに散らばってしまいそうだった。
このまま砕けて、またあの怖い場所に投げ出されるのかな?
真っ暗な世界を思い出した瞬間、体か勝手に震え出した。
怖くて怖くて動けなくなって縮こまると、扉が開く音が聞こえてきた。
足音が近付いてくる。
逃げなきゃって思っているのに、わたしは顔が上げらなかった。
緊張で無意識にこわばっていく肩に、柔らかくて温かい物が触れた。
じんわりと伝わってくる温もりは、ホットミルクを思い出さてくれる。
優しくて、甘くて、お母さんを思わせる温もりだった。
「……うっ、ひっく、ひっ、っ、ふぅう」
何故だかすごく安心して、寂しくて、堪えられなくなったわたしの目から、ぽろぽろ、って大粒の涙が零れ落ちた。
一生懸命、手で目を拭っていると頬に触っていた温かい体温が肩に回って、引き寄せてくれる。
わたしはおそるおそる、視線を上げた。
涙で歪んだわたしの視界に映っているのは、おお母さんじゃなくて、同い年ぐらいの女の子だった。
日本人のわたしでも見たことないような、真っ黒で綺麗な髪につり上がった大きな目を囲む睫毛が、くるり、と猫の爪みたいに反っている。
お人形さんだって言われても信じてしまいそうなぐらい綺麗な子は、わたしの頬を指で辿って涙を拭ってくれた。
「怖かったですね。もう安心なさって……わたくしがお守りいたしますから」
「っ、ゔ、ぅ」
必死に泣き止もうとしたのに、結局失敗してしまって変なうめき声が出てしまう。
本当に恥ずかしい。
頬を赤くすると、女の子は心配そうにわたしの顔を覗き込む。
「具合が悪いのですか?それとも身体が痛みます?」
ぶんぶん頭を振ってみせると、その子は星が瞬くみたいにきらきらとした、優しい微笑みをこぼした。
こんな綺麗な、月か星のような女の子、見たことない。
わたしは彼女に見惚れながら、問い掛けた。
「あな、た、だれ?」
「わたくしの名前は、ユーノ・アルカソックと申します。あなたのお名前は?」
「あの、わたし、きらら。雲母きららっていいます。助けてくれて、ありがとうどざいます。わたし、気づいたら山にいて、獣に追いかけられて、落ちて。それで、それでっ」
「大丈夫ですよ、まずはゆっくり呼吸してくださいませ」
ひゅうひゅう、呼吸が細くなっていくのをゆっくりと深めていくと、わたしはようやく現実感を取り戻してきた。
慌てて周囲をもう一度見渡すと、戸惑いが胸一杯に広がっていく。
部屋の光源である光は電灯じゃなくて、蝋燭の火が揺らめいている。
壁も木製で、コンクリートじゃないみたい。
それに、目の前女の子────ユーノの身に付けている細やかな刺繍に彩られたドレスなんて、映画の中でしか見たことがなかった。
「えっと、ここはどこですか?わたし、気づいたら山のなかにいて。誘拐されて、海外に連れてこられたんでしょうか?」
ユーノは、わたしの戸惑いを読み取ったみたいで、気の毒そうに睫毛を伏せる。
「誘拐、といえばそうかもしれません。まず、ここはきらら様の生まれた場所ではございません。あなたはマレビト……こことは別の世界から来た迷子のような存在なのです」
「まれびと?」
頭がついていかなった。
別の世界。
まれびと。
え、なにそれ?
言葉は、乾いた舌にこびりついて、音になってくれなかった。
頭から血の気がひいていく。
とても酷い顔色をしていたのか、わたしの手を包むユーノの指にぎゅっと力がこめられた。
「炭焼き小屋の側で倒れていたあなたを、猟師が保護して衛兵に引き渡したのです。幸い大きな怪我はなかったようですが、身元確認のために持ち物を確認したところ……この国、いえ、この世界にどこにも存在しないものばかりだったと皇家に報告が上がってきました。皇家はあなたをマレビトの可能性があると考え、失礼がないように公爵家の娘であるわたくしがお迎えに参りましたの」
「えっと?この世界?え、ここは日本……ですよね?皇家に公爵って、映画の撮影ですか?」
「ここはニホン、という場所ではございません。過去にも数回、マレビト……異世界から来られ異邦人が、この世界に迷い込んだという記録がございます。きらら様もそのお一人ではないかと」
頭の中がぐちゃぐちゃで、言っている意味が飲み込めなかった。
「じゃ、じゃあ帰してください!!前にもあったんですよね?だったらできますよね!?わたし、明日も学校で!!それにテスト勉強もあって!!」
部屋に響くわたしの声は、上擦って、かさかさで、なのに今にも泣き出しそうに湿っていて。
ぜんぜん知らない女の子に、責任を押し付けるみたいはひどい言い方だな、ってちょっと冷静な部分で思ったけど。気持ちが先走って止まらなかった。
何よりこんな怖い場所に、いたくなかった。
「……残念ですが、マレビトで元の世界に帰られた方は存在いたしません」
ぴしり。
わたしの中のあった希望に、ひびが走る。
「かえ、れない?」
「お辛いでしょうが……ここでの生活に不自由のないように、わたくしたちアルカソック家がきらら様の保護者になりますから」
次から次へと与えられる情報と、悲しみとか不安と恐怖が絡まりあって、わたしの頭の中で膨らんで。
今にも、破裂しそうだった。
こめかみの血管がどくどく脈打って、思わず両手で頭を抱える。
「そんなことって、ある?」
呟いた瞬間、限界。って訴えるみたいに、頭の中が真っ白になると、わたしはまた、意識を手放してしまった。
目が覚めるのが嫌だったのに、わたしの目蓋は勝手に持ち上がっていく。
「ここ、天国じゃない、のね」
こんな痛い天国だったら行きたくな。
素直にそう思った。
目だけで周囲を見回すと、山の中じゃないことが分かる。
壁に、天井、ちらちらと光が揺れるランプ。待ち望んでいた、人工物に取り囲まれていた。
動くのが怠くて、考えるのが嫌で、ぼうっと知らない天井を見つめていると、扉の外から誰かの話し声が聞こえてきた。
途端に体に緊張が走る。
誰なのか、何なのか。
助けてくれたのか、攫われただけなのか。
何一つ状況が分からないなかで、見知らぬ誰かがくる。
恐怖に突き動かされて一生懸命ベッドから体を起した途端、筋肉も骨もギシギシきしんで、今にもばらばらに散らばってしまいそうだった。
このまま砕けて、またあの怖い場所に投げ出されるのかな?
真っ暗な世界を思い出した瞬間、体か勝手に震え出した。
怖くて怖くて動けなくなって縮こまると、扉が開く音が聞こえてきた。
足音が近付いてくる。
逃げなきゃって思っているのに、わたしは顔が上げらなかった。
緊張で無意識にこわばっていく肩に、柔らかくて温かい物が触れた。
じんわりと伝わってくる温もりは、ホットミルクを思い出さてくれる。
優しくて、甘くて、お母さんを思わせる温もりだった。
「……うっ、ひっく、ひっ、っ、ふぅう」
何故だかすごく安心して、寂しくて、堪えられなくなったわたしの目から、ぽろぽろ、って大粒の涙が零れ落ちた。
一生懸命、手で目を拭っていると頬に触っていた温かい体温が肩に回って、引き寄せてくれる。
わたしはおそるおそる、視線を上げた。
涙で歪んだわたしの視界に映っているのは、おお母さんじゃなくて、同い年ぐらいの女の子だった。
日本人のわたしでも見たことないような、真っ黒で綺麗な髪につり上がった大きな目を囲む睫毛が、くるり、と猫の爪みたいに反っている。
お人形さんだって言われても信じてしまいそうなぐらい綺麗な子は、わたしの頬を指で辿って涙を拭ってくれた。
「怖かったですね。もう安心なさって……わたくしがお守りいたしますから」
「っ、ゔ、ぅ」
必死に泣き止もうとしたのに、結局失敗してしまって変なうめき声が出てしまう。
本当に恥ずかしい。
頬を赤くすると、女の子は心配そうにわたしの顔を覗き込む。
「具合が悪いのですか?それとも身体が痛みます?」
ぶんぶん頭を振ってみせると、その子は星が瞬くみたいにきらきらとした、優しい微笑みをこぼした。
こんな綺麗な、月か星のような女の子、見たことない。
わたしは彼女に見惚れながら、問い掛けた。
「あな、た、だれ?」
「わたくしの名前は、ユーノ・アルカソックと申します。あなたのお名前は?」
「あの、わたし、きらら。雲母きららっていいます。助けてくれて、ありがとうどざいます。わたし、気づいたら山にいて、獣に追いかけられて、落ちて。それで、それでっ」
「大丈夫ですよ、まずはゆっくり呼吸してくださいませ」
ひゅうひゅう、呼吸が細くなっていくのをゆっくりと深めていくと、わたしはようやく現実感を取り戻してきた。
慌てて周囲をもう一度見渡すと、戸惑いが胸一杯に広がっていく。
部屋の光源である光は電灯じゃなくて、蝋燭の火が揺らめいている。
壁も木製で、コンクリートじゃないみたい。
それに、目の前女の子────ユーノの身に付けている細やかな刺繍に彩られたドレスなんて、映画の中でしか見たことがなかった。
「えっと、ここはどこですか?わたし、気づいたら山のなかにいて。誘拐されて、海外に連れてこられたんでしょうか?」
ユーノは、わたしの戸惑いを読み取ったみたいで、気の毒そうに睫毛を伏せる。
「誘拐、といえばそうかもしれません。まず、ここはきらら様の生まれた場所ではございません。あなたはマレビト……こことは別の世界から来た迷子のような存在なのです」
「まれびと?」
頭がついていかなった。
別の世界。
まれびと。
え、なにそれ?
言葉は、乾いた舌にこびりついて、音になってくれなかった。
頭から血の気がひいていく。
とても酷い顔色をしていたのか、わたしの手を包むユーノの指にぎゅっと力がこめられた。
「炭焼き小屋の側で倒れていたあなたを、猟師が保護して衛兵に引き渡したのです。幸い大きな怪我はなかったようですが、身元確認のために持ち物を確認したところ……この国、いえ、この世界にどこにも存在しないものばかりだったと皇家に報告が上がってきました。皇家はあなたをマレビトの可能性があると考え、失礼がないように公爵家の娘であるわたくしがお迎えに参りましたの」
「えっと?この世界?え、ここは日本……ですよね?皇家に公爵って、映画の撮影ですか?」
「ここはニホン、という場所ではございません。過去にも数回、マレビト……異世界から来られ異邦人が、この世界に迷い込んだという記録がございます。きらら様もそのお一人ではないかと」
頭の中がぐちゃぐちゃで、言っている意味が飲み込めなかった。
「じゃ、じゃあ帰してください!!前にもあったんですよね?だったらできますよね!?わたし、明日も学校で!!それにテスト勉強もあって!!」
部屋に響くわたしの声は、上擦って、かさかさで、なのに今にも泣き出しそうに湿っていて。
ぜんぜん知らない女の子に、責任を押し付けるみたいはひどい言い方だな、ってちょっと冷静な部分で思ったけど。気持ちが先走って止まらなかった。
何よりこんな怖い場所に、いたくなかった。
「……残念ですが、マレビトで元の世界に帰られた方は存在いたしません」
ぴしり。
わたしの中のあった希望に、ひびが走る。
「かえ、れない?」
「お辛いでしょうが……ここでの生活に不自由のないように、わたくしたちアルカソック家がきらら様の保護者になりますから」
次から次へと与えられる情報と、悲しみとか不安と恐怖が絡まりあって、わたしの頭の中で膨らんで。
今にも、破裂しそうだった。
こめかみの血管がどくどく脈打って、思わず両手で頭を抱える。
「そんなことって、ある?」
呟いた瞬間、限界。って訴えるみたいに、頭の中が真っ白になると、わたしはまた、意識を手放してしまった。
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