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私の話【side『私』】
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『私』がどうしてここに居るのかなんて理由、分からなかった。
好きな本、好きな漫画やゲーム。滅茶苦茶忙しい職場だけど、やりがいのある仕事。
友達だっていた。週末にはみんなでボドゲやったり、カフェにいったり。そんなありふれた生活をしていたのに。
それが突然
ブツリ
って途切れた。
────え、なんで?
呟いてみたけど、何の音もしない。
反響さえもない。
真っ暗な景色が続くばかりの空間に放り出されて、何が起こったかも分からない『私』は、これは夢だと思った。
開いているのかも分からない目を閉じて、上下左右も分からない闇の中で横になってみる。
夢ならそのうち目覚めるだろう。って期待しながらずっと横たわっているのに、一向に目覚めない。
というより、眠れない。という感覚がある。
ということは、『私』は眠っていないということだろうか。
不安になって、『私』は目を開いた。
暗い。
再び目を閉じてみる。
闇があるばかりだ。
恐ろしさばかりが胸を突き抜けていく。
次に考えついたことは『私』は死んだんじゃないか、っていうことだった。
そして、ここは地獄なんだ。そう思った。
ラクダを針の穴に通すよりも天国への扉をくぐるのは難しい。って言われているぐらいだから、一般人の私が地獄に落ちるのは当然だ。
────地獄でも良い、誰かに会いたい
それが『私』の願いだった。
起きることを諦めて、立ち上がる。
もしここが地獄だったなら、同じように落とされた人がいるかもしれない。
────天国に行ける人が少ないんだから、地獄こそ人口過多の可能性がある!!
『私』は人を探すために、必死に走った。
足が地面を蹴っている感覚もないけど。
腕が揺れている感覚もないけど。
息が上がる感覚もないけど。
疲れも知らずでずっと、ずっと、ずっと走り続けた。
────怖い
────孤独だ
────誰かと喋りたい
肺が軋む感覚が欲しい。
脇腹が痛くなって、踞る懐かしさを味わいたい。
立ち止まって良いよ、っていう合図が欲しいのに身体は『私』を休ませてはくれない。
そしていつしか、止まることが恐怖になっていった。
動くのを止めたら、『私』は今度こそ消えてしまうんじゃないか。そんな妄想に取りつかれて、見えない何かから逃げ続けている。
走るのも嫌、止まるのも怖い。
『私』は誰かを求めて、必死に口を開いた。
『助けて!』
『助けて!!』
『誰か私を助けて!!!』
喉が裂けそうなぐらい声を上げるのに、音にならない。
走り続けて、何時間、何日、何年過ぎただろう。
感覚と気力なくすのに、十分な時間が経っていた。
────もういっそ、消えてしまいたい。
そう思った瞬間、『私』の意識は急速に何かに引っ張られていった。
好きな本、好きな漫画やゲーム。滅茶苦茶忙しい職場だけど、やりがいのある仕事。
友達だっていた。週末にはみんなでボドゲやったり、カフェにいったり。そんなありふれた生活をしていたのに。
それが突然
ブツリ
って途切れた。
────え、なんで?
呟いてみたけど、何の音もしない。
反響さえもない。
真っ暗な景色が続くばかりの空間に放り出されて、何が起こったかも分からない『私』は、これは夢だと思った。
開いているのかも分からない目を閉じて、上下左右も分からない闇の中で横になってみる。
夢ならそのうち目覚めるだろう。って期待しながらずっと横たわっているのに、一向に目覚めない。
というより、眠れない。という感覚がある。
ということは、『私』は眠っていないということだろうか。
不安になって、『私』は目を開いた。
暗い。
再び目を閉じてみる。
闇があるばかりだ。
恐ろしさばかりが胸を突き抜けていく。
次に考えついたことは『私』は死んだんじゃないか、っていうことだった。
そして、ここは地獄なんだ。そう思った。
ラクダを針の穴に通すよりも天国への扉をくぐるのは難しい。って言われているぐらいだから、一般人の私が地獄に落ちるのは当然だ。
────地獄でも良い、誰かに会いたい
それが『私』の願いだった。
起きることを諦めて、立ち上がる。
もしここが地獄だったなら、同じように落とされた人がいるかもしれない。
────天国に行ける人が少ないんだから、地獄こそ人口過多の可能性がある!!
『私』は人を探すために、必死に走った。
足が地面を蹴っている感覚もないけど。
腕が揺れている感覚もないけど。
息が上がる感覚もないけど。
疲れも知らずでずっと、ずっと、ずっと走り続けた。
────怖い
────孤独だ
────誰かと喋りたい
肺が軋む感覚が欲しい。
脇腹が痛くなって、踞る懐かしさを味わいたい。
立ち止まって良いよ、っていう合図が欲しいのに身体は『私』を休ませてはくれない。
そしていつしか、止まることが恐怖になっていった。
動くのを止めたら、『私』は今度こそ消えてしまうんじゃないか。そんな妄想に取りつかれて、見えない何かから逃げ続けている。
走るのも嫌、止まるのも怖い。
『私』は誰かを求めて、必死に口を開いた。
『助けて!』
『助けて!!』
『誰か私を助けて!!!』
喉が裂けそうなぐらい声を上げるのに、音にならない。
走り続けて、何時間、何日、何年過ぎただろう。
感覚と気力なくすのに、十分な時間が経っていた。
────もういっそ、消えてしまいたい。
そう思った瞬間、『私』の意識は急速に何かに引っ張られていった。
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