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プロローグ
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桜が満開の校庭で、彼は物憂げに空を見上げている。
その姿は何よりも美しく、抑えていた感情がどうしようもなく溢れだすのを感じる。
「シロナ先輩!!」
勢いをつけシロナの元へ駆けていくと、気づいたシロナが天使のような微笑みを浮かべた。
「リク君、どうしたの?」
「あ、あの!僕、せ、先輩のことが……好きなんです!」
感情のままに告げてしまった。緊張で顔が上げられない。
—優しくて、綺麗で、潔白で……何をとっても完璧な、僕の好きな人。
「ぶっ、あっはっはっは!!!」
突然、うるさいほどの笑い声が目の前から聞こえてくる。まさに抱腹絶倒、といったようなそれはあまりにもその場に不似合いで、甘酸っぱい緊張を一気に切り裂いてしまう。
「なっ…!?」
慌てて顔を上げると、笑いが抑えられない、とでもいうように手の甲で塞いでいる口元が目に入った。
「あー、わりぃわりぃ。大胆なコクハク、どうも。」
「な、な、なっ…!」
ぶわっと向かい風が吹き、シロナの右目があらわになる。
普段は長い前髪で隠して、決して人に見せることのない赤黒い瞳。
「お前さ、あんだけ俺にいじめられといて好きとか、もしかしてドM?」
にやにやと意地悪く笑うこいつはいつも、シロナが嫌っている右目を周りに見せつけるようにわざと前髪をかきあげる。
「……じゃな…」
「あ?なんて?」
—優しくて、綺麗で、潔白で……何をとっても完璧な人。
「僕が好きなのはお前じゃないっ!このあほクロバーーー!!!」
ただ一つ、多重人格な事を除いて。
その姿は何よりも美しく、抑えていた感情がどうしようもなく溢れだすのを感じる。
「シロナ先輩!!」
勢いをつけシロナの元へ駆けていくと、気づいたシロナが天使のような微笑みを浮かべた。
「リク君、どうしたの?」
「あ、あの!僕、せ、先輩のことが……好きなんです!」
感情のままに告げてしまった。緊張で顔が上げられない。
—優しくて、綺麗で、潔白で……何をとっても完璧な、僕の好きな人。
「ぶっ、あっはっはっは!!!」
突然、うるさいほどの笑い声が目の前から聞こえてくる。まさに抱腹絶倒、といったようなそれはあまりにもその場に不似合いで、甘酸っぱい緊張を一気に切り裂いてしまう。
「なっ…!?」
慌てて顔を上げると、笑いが抑えられない、とでもいうように手の甲で塞いでいる口元が目に入った。
「あー、わりぃわりぃ。大胆なコクハク、どうも。」
「な、な、なっ…!」
ぶわっと向かい風が吹き、シロナの右目があらわになる。
普段は長い前髪で隠して、決して人に見せることのない赤黒い瞳。
「お前さ、あんだけ俺にいじめられといて好きとか、もしかしてドM?」
にやにやと意地悪く笑うこいつはいつも、シロナが嫌っている右目を周りに見せつけるようにわざと前髪をかきあげる。
「……じゃな…」
「あ?なんて?」
—優しくて、綺麗で、潔白で……何をとっても完璧な人。
「僕が好きなのはお前じゃないっ!このあほクロバーーー!!!」
ただ一つ、多重人格な事を除いて。
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