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どうでもいいけどレベルアップ
しおりを挟む「やれるものなら、やってみろよ……」
ハヤテがアシダダムに詰め寄ったよ。
ハヤテが生身の人間に攻撃するとは思わないけど、アシダダムを挑発して、殴りかかってきたところへ、カウンターで拳をぶつけるなんて事を狙っているかもしれない。
「なんだぁ? ガキが首出すんじゃねーよ」
「お前みたいな人間は逆立ちしても、父さんに触ることすら出来ない」
「バカじゃねえのかぁ!?
後ろでぶっコケてんのが、お前の親父だろーが。
ぶざまだなあ~、へへへ」
やれやれ、せっかく畳んだ白衣が崩れちゃったよ。
起き上がって、直して、着替えを再開。
「みろよ、文句ひとつ言えねえ腰抜けだぜお前の親父は」
「……知らないってのは、幸せなもんだ」
「小生意気なガキがっ! いいだろう、二人まとめてやってやるぜ!」
アシダダムがハヤテに殴りかかったよ。
良い忘れたけど、ハヤテら3匹のSSたちは毎日洞窟で高レベルのキラーウルフを倒していたんだよね。
それは今でも続いていて、だからハヤテはレベル10。
なんだ、たったレベル10か。
と思うかもしれないけれど、SSレアスライムのレベルの中身は、人間のステータス値の30倍。
人間のレベルで換算すると300レベくらいかな?
この世界の人間が一生を戦いに捧げ、ようやく到達するレベルが70とか71とか言われているから、ハヤテの強さは尋常ではないよ。
殴りかかるアシダダムの拳にカウンターを合わせるなんて、キキンの街を一周してからでもじゅうぶん間に合うだろうね。
説明のついでに、SSたちがモンスターを倒して得た経験値と同じだけが俺にも注がれていたよ。
よく分かんないって?
つまり、全SSスライムの獲得経験値が俺の経験値にプラスされちゃっていたわけ。
俺が寝てても、洞窟で夜勤しているSSがキラーウルフを倒せば、経験値がプラス。
俺が魚をおろしていても、SSがウルフを討伐、経験値プラス、レベルアップ。
だからどんどん俺のレベルが上がっちゃって、まあ、流石に12レベを超えたあたりから、緩やかな上昇になったけど。
それでも、レベルが1つあがるだけで、各ステータス値が倍々で増えるSSSレアスライム特有の上がり方だから、たぶん俺のステータス値は、凄いことになっていると思うよ。
たぶん。
思う。
そうなんだよね。
最近と言うか、ここ3週間くらい、自分のステータスを確認してないよ。
レベル14くらいまでは、その異常過ぎるステータス値に、へ~っと感心してたけど。
今はもう、レベルアップしても、嬉しいどころか、はっきり言って憂鬱。
あのレベルアップ時にアナウンスされる甲高い音声と、テロップにバカにされているみたいに感じるんだよね。
『レベルアップ!!』
あ……。
また上がっちゃった。
テロップが流れるよ。
『錬金合成レベル10』
スライムの体内で異なる物質同士を混ぜあわせ、剣とか杖とか作れちゃうみたい。
戦わない魚屋さんには、どうでもいいね。
魚が美味しくなる包丁とか作れたら嬉しいけどね。
久々に『ステータス確認』で見てみるかな。
こっそり、下半身をスライム化してと……。
――――――――――――――――――――
SSSレア・スライム LV 23
生命力 41,943,040/41,943,040
ステータス
攻撃力 12,582,912
素早さ 373,293,056
知能 12,582,912
運 12,582,912
『変形』
『ステータス確認』
『アイテム収納庫』
『分裂』
その他多数(詳細)
――――――――――――――――――――
ほら、分かるでしょ。
素早さなんか3億いってるし。
だから、嫌なんだよね。
次レベルが上がったら、この値の倍だよ。
もう、どうでもいいって感じ。
よく見たら運も凄い値だね。
魚店主の売上が、去年の20倍になったり、
俺の思惑通りに刺し身がキキン国で大ヒットしたり、
グルメ大会でいきなり優勝したり(これは違うかな)、
キキンの街を女の子SSを引き連れて走っても誰にも見られなかったり。
これって、運の値が高いからかな?
キキン国王が俺に好意的なのも、いま思えばラッキー過ぎるね。
ただの魚屋さんに、店舗を工面してくれるって言うんだもん。
それにランちゃん、スーちゃん、ミキちゃんが平気で街をちょろちょろしているけど、片足がよくスライムになってたりするけど、誰にも見られていない。
ここらへんも、運が高数値だからだろうかね。
あ、ちなみに、今いろいろ話している間にも、アシダダムのパンチがハヤトの顔面に迫っているよ。
迫るって言っても、素早さが3億超えだから、俺には止まって見えるけど。
ハヤテの素早さも4桁超えだから、アシダダムのパンチはほぼ止まって見えているはず。
さーて。どうするんだろ、ハヤテは。
「くっ、くそっ! 何をしやがった?!」
一瞬でアシダダムは分からなかっただろうな。
ハヤテがアシダダムの横に回りこみ、脚を引っ掛けて転ばせたよ。
顔を真っ赤にしたアシダダムが、起き上がったと同時にタックルをしてきたぞ。
ハヤテは一瞬でサイドステップし、またもや脚を引っ掛けてヤンキー料理人を転ばす。
つんのめったアシダダムの顔面が、壊れた椅子にぶつかりそうだったので、俺が受け止めてやったよ。
「は……っ!」
信じられないって顔だ。
「お、おまえら……いったい……」
ちょっとまずかったかな。
俺とアシダダムの距離が10メーターほどだったとはいえ、俺が瞬間移動したわけだから。
「おもしろい」
ビビるかと思ったら、睨みつけるように笑ったぞ。
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