SSSレア・スライムに転生した魚屋さん『2』 ~SSたちとお魚屋さんをやってみたよ~

草笛あたる(乱暴)

文字の大きさ
7 / 23

依頼

しおりを挟む

 優勝しちゃったよ、俺。
 800万ギルと記念のタペストリーを頂いた。
 
「美味い。美味いのお。
 いろいろな魚の味が、それぞれ邪魔をすることもなく、一度に味わえる。いや、むしろ引き立て合っておる。
 こうやって、手で直接食べるのも、楽しいわい。
「ヒジカタと申すのか。してどこで店を出しておる」

 国王は巻き寿司をたいそう気に入ったみたい。
 予備で持参していたチャーハン海鮮巻き寿司すらも、食べているよ。
 他の具材が入った巻き寿司も食べてみたいとも言ってるね。

「実は、俺、恥ずかしながら、自分の店舗を持ったことないんです。これからでして、はははは」

「なんと! 従業員なのか」

「ええ、まあ。魚屋で働かせていただいています」

「魚屋なのか」

「はい」

「驚いたわい」

 つまり俺は、店も持てないただの従業員。
 それも魚を売るだけの、料理には無関係な従業員。
(この世界で魚屋さんは、魚を焼いたり煮たりして販売しない。せいぜい、内蔵出し調理をサービスで行う程度)

 両隣に座る参加者たちが、呆気にとられたような顔をして俺を見たよ。
 料理のド素人にプロが負けたわけになるんだもん。

「それほどの腕でなあ……、キャリアはどれほどだ」

 魚屋歴20年――。

 とは言えないぞ。
 人間だったときのことだからね。 
 この世界のヒジカタの外見は28~35歳くらいだから……。

「はい。10年くらいじゃないかと」

「くらい?」

 何らかの事故で記憶を失っている、と説明しておいたよ。

「そうか、そうであったか……、昔のことは思い出せないのは、さぞかし辛いであろう。
 恐らく、どこかの国の、名のある料理研究家か、有名シェフに間違いない」
 
 キキン国王が優しい目をして頷き、器に手を伸ばしたが、もう全部自分が食べ終えて無いね。
 1つ咳を入れ。

「あい、分かった! ならばヒジカタよ、そちの巻き寿司店ができたら、余の特別席を設けるのじゃ」

「特別席?」

「そうじゃ。キキン国、初の巻き寿司店には、余の特別席がある。
 余以外誰も座ることまかりならん。よいな」


 ◆
 

 優勝は嬉しかったけど、
 なんか、俺、寿司屋を真っ先にオープンしなきゃいけないハメになったぞ。

 魚屋店舗に帰り、店主に優勝したこと、国王に依頼されたことを告げると。

「そうだ。二階の俺の住居でよかったら、改造して店舗にしてもいいぞ。国王の望む、寿司屋なら可能じゃないのか?」

 たしかにそうだな。
 7坪(25㎡)程度の小さな寿司屋になりそうだけど、初号店から贅沢は言うまい。
 そうそう、国王のプライベートスペースを組み込まなきゃいけないんだった。
  
 狭くなるなあ。
 

 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」 幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。 だが、彼らは勘違いしている。 俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。 パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。 俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。 つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。 「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」 その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。 一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。 これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。 そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。

処理中です...