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依頼
しおりを挟む優勝しちゃったよ、俺。
800万ギルと記念のタペストリーを頂いた。
「美味い。美味いのお。
いろいろな魚の味が、それぞれ邪魔をすることもなく、一度に味わえる。いや、むしろ引き立て合っておる。
こうやって、手で直接食べるのも、楽しいわい。
「ヒジカタと申すのか。してどこで店を出しておる」
国王は巻き寿司をたいそう気に入ったみたい。
予備で持参していたチャーハン海鮮巻き寿司すらも、食べているよ。
他の具材が入った巻き寿司も食べてみたいとも言ってるね。
「実は、俺、恥ずかしながら、自分の店舗を持ったことないんです。これからでして、はははは」
「なんと! 従業員なのか」
「ええ、まあ。魚屋で働かせていただいています」
「魚屋なのか」
「はい」
「驚いたわい」
つまり俺は、店も持てないただの従業員。
それも魚を売るだけの、料理には無関係な従業員。
(この世界で魚屋さんは、魚を焼いたり煮たりして販売しない。せいぜい、内蔵出し調理をサービスで行う程度)
両隣に座る参加者たちが、呆気にとられたような顔をして俺を見たよ。
料理のド素人にプロが負けたわけになるんだもん。
「それほどの腕でなあ……、キャリアはどれほどだ」
魚屋歴20年――。
とは言えないぞ。
人間だったときのことだからね。
この世界のヒジカタの外見は28~35歳くらいだから……。
「はい。10年くらいじゃないかと」
「くらい?」
何らかの事故で記憶を失っている、と説明しておいたよ。
「そうか、そうであったか……、昔のことは思い出せないのは、さぞかし辛いであろう。
恐らく、どこかの国の、名のある料理研究家か、有名シェフに間違いない」
キキン国王が優しい目をして頷き、器に手を伸ばしたが、もう全部自分が食べ終えて無いね。
1つ咳を入れ。
「あい、分かった! ならばヒジカタよ、そちの巻き寿司店ができたら、余の特別席を設けるのじゃ」
「特別席?」
「そうじゃ。キキン国、初の巻き寿司店には、余の特別席がある。
余以外誰も座ることまかりならん。よいな」
◆
優勝は嬉しかったけど、
なんか、俺、寿司屋を真っ先にオープンしなきゃいけないハメになったぞ。
魚屋店舗に帰り、店主に優勝したこと、国王に依頼されたことを告げると。
「そうだ。二階の俺の住居でよかったら、改造して店舗にしてもいいぞ。国王の望む、寿司屋なら可能じゃないのか?」
たしかにそうだな。
7坪(25㎡)程度の小さな寿司屋になりそうだけど、初号店から贅沢は言うまい。
そうそう、国王のプライベートスペースを組み込まなきゃいけないんだった。
狭くなるなあ。
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