SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)

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2章

ゲット

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 ワサビ大量にゲット!
 
 途中に大量の稲穂が垂れている現場を発見していたので、着陸して味見させてもらったら日本の『ささにしき』に近い最高級の米だった。
 日本の『ささにしき』は強い粘りが特徴で、シャリに空気が入るよう軽くにぎっても、形が整ったままなんだよね。
 ここら一帯全部が『ささにしき』にそっくりな高級米の生産農家だったよ。 

 ヒトミさんもびっくり。 
 総生産量が少なく、ヴァーチェ国でも、ごく限られた人しか食べられない米だとか。
 
 ぜひ欲しいなあ。

 古米と新米の大量買い取りを依頼したら、みなさんあっさりOK。
 今後、毎年買い付け出来る約束も交せた。

 正直に話すと、ヒトミさんに農家の人の、売りたくなる値段や条件を読み取って貰っていたんだよね。
 ヒトミさんすごいね。貿易商人になったら大儲けできそう。
 
 米をアイテム収納庫に入れ、再び江戸みたいな街に戻る。 
 歩いていると、小さな白壁の商店があり、醤油そっくりな液体入りの大小のビンが並んでいたよ。
 
「ヒジカタさんが思っているのは、たぶん、これじゃないかと」

 買って店を出て、さっそく舐めてみる。 
 これだよ、これ、刺し身と相性が良いのは。

「うん。うん。ビンゴだ」

「やったー!」

 ヒトミさんがぴょんぴょん跳ねたよ。大喜びだね。
 でも大きな胸がたゆんたゆんして、目のやり場に困っちゃうよ。

「あ……」

 ヒトミさんが慌てて胸を両手でガードしたよ。

「ご、ごめんなさい。つい……」

「い、いえ……こちらこそ……」
 
 背中を向けちゃったヒトミさん。顔を両手で覆っているけど、耳まで真っ赤だね。

 落ち着いてから、店に戻り同じものを全部購入し、アイテム収納庫へ入れ、街をあちこち歩き、同じ商品を見つけて大人買いしたよ。
 そうしていると酢も発見したので買って試飲したら、寿司にピッタリの酢だった。
 もちろん大量買いだけど、店員さんが変な顔してた。気にしないよ。

 不思議……。
 事が上手く運びすぎて怖いんだけど。
 
 そうか、運が1200万だから? 
 まあ、どうでもいいよね。

「いえ、絶対にそうです。私にはステータス表は見えませんが、ヒジカタさんの心を覗いたので分かります」

 そうなんだ。

「だから、ぜひ『富くじ』を引いて欲しい」

 あ~、さっき、綿菓子、リンゴ飴、焼きそばなどの出店で賑わう神社の鳥居に、長い行列ができていたけど、あれかな?
 
「そうです。ヴァーチェでは、夏から秋にかけての祭りの時期に、富くじが各地で催されます。人口が少ない地方では、1等景品もささやかな品ですが、この街は人口も多いし、きっと良い景品が取れます」

 取れます……って、もう当たったみたいな言い方なんだけどヒトミさん。

「はい、運が1200万。絶対です!
 ずっと前ですけど、この国もキキン同様、ヴァーゲロ洞窟の結界弱体化で悩まされていました。
 今は結界が強化され安全ですが、ヴァーゲロ洞窟攻略に参加した軍兵士の話しだと、ボスのダーク・ツインサラマンダーは改心の一撃を連続して出し、軍の攻撃はことごとく外れたそうです。
 その運値は『1200』。ちょうどヒジカタさんの10000分の1」

 そうなんだ。
 
「仮に巨大隕石がこの星に激突して、世界が滅びたとしても、ヒジカタさんだけは無傷で生きている――、それくらいの幸運に恵まれているということ」

 ホントかなあ~。

「はい。絶対に」

 半信半疑で神社まで戻り、その行列に並んでみたよ。
 30分ほどで俺の順番になり、巫女さんに長細い箱を渡され、振って逆さまにしたら穴から棒が一本出てきた。

 先端が虹色だね。
 まじまじと見る巫女さん。ニッコリ微笑んで、

「大当たり~~~~っ!!」

 と鐘を鳴らしたよ。
 一斉にどよめきがわき上がったぞ。

「特賞おめでとうございます!」

 言ったとおりでしょ?
 声は聞こえないけど、自信たっぷりなヒトミさん。
 
「にゃ~ん♪」

 特賞景品は精米猫せいまいねこだった。
 製氷猫の仲間かな?
 
 使い方は簡単。
 お腹の袋の中に玄米を入れ、精米猫に餌を食べさせると、玄米を白米にしてくれる。
 しかも猫の喉元にダイヤルがあり、精米歩合せいまいぶあいが調節できる仕様だよ。

 分かりにくいかな。
 えっと、玄米(籾(もみ)から取り出したお米のことね)の周りには茶色いぬかがガチガチに付いていて、その糠をどこまで取り除くかを、精米歩合と言うよ。
 取れば取るほど白米に近づいちゃうけど、米糠はビタミンたっぷりだし、食物繊維やタンパク質、ミネラルと滅茶苦茶栄養価が高いんだよね。
 でも欠点があって、美味しくないってこと。
 
 だから現代日本では美味しさを優先して(糠に含まれた残留農薬除去と言う意味もあるけど)精米歩合90%の米が流通しているよ。
 
「にゃ~ん♪」

 よく考えたら、農家から購入した米は全部玄米なんだよね。
 精米すると言っても、精米機があるわけもないし。
 今の俺に1番必要だったと思う、この景品。



「もう外は真っ暗ですね」

「はい……」

「後は帰るだけですね」

「はい……」

「今日は、本当にありがとう」

「はい……」

「お腹空いたでしよう、何か食べませんか?」

 あっ!
 そういや、使徒のケイジがヒトミさんを夕食に誘ったのは今夜だったぞ。
 戻らないといけないのかな。

「……いいえ。戻る必要はありません……」

「そ、そうなんだ」

 すっぽかしちゃうってこと?

「はい……」

 思うこと全部筒抜けなんだね。

「はい……ヒジカタさんだけは、特別」

 嬉しいな。

「私もうれしい」

「あははは」「うふふふ」

「私、ヒジカタさんが作ったお寿司が食べたいです」

「じゃ……」

「はい♪」
 
 

――――――――――――――

 ~収納庫~

 香り草 3
 ラミアフィッシュ 52
 ラミアフィッシュの卵 340
 ボーンキラー・ウルフ 12
 サキュバット 138 
 醤油 104 
 ワサビ 88
 お酢 212
 米10キロ袋 233

 精米猫 1
 ヒトミさん 1

――――――――――――――


 ためらいもなく収納庫に入っちゃうヒトミさん。
 流石です。
 
 2分後にはキキンの寿司店舗に到着しましたよ。
 さあ、ご飯を炊いて、酢を合わせ、初めて出来たにぎり寿司を1番に食べて貰おうかな、ヒトミさんに。

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