SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)

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1章

オークさんと遭遇

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 獣道をずりずりスライム歩行していると、3匹のオークが狩りをしていたよ。
 
 槍でスライムの核を傷つけ、動かなくなったところを、背負った竹カゴに入れている。
 手慣れたもので、実った野菜を収穫するみたい。
 ここら辺はスライムが大好きな草が生えているから、絶好の狩場なんだな。
 
 スライムたちも逃げればいいのに、知能が低いんだろうね、もしゃもしゃ草を食べていて、仲間が倒されようが、全然気にしていないよ。

 俺と違うスライムだけど、スライムはスライム。
 このまま殺されてゆくのを放おってはおけない。
 倒そうか、オークを。

 ちなみに俺の身体はサッカーボールくらいの大きさだよ。
 対するオークは子供なのかな、そんなに大きくないね。

 だけど、それでも初めて見るオークにドキドキ。
 生まれて初めての戦闘だもん。
 戦闘デビューだね。
 兄妹たちには攻撃できないけど、オークだったら思い切ってできる。

「わっ!! な、なんだッ!」

 オークが目を見開いて驚いているね。
 突然俺が目の前に現れたからだ。
 兄弟たちの高速触手攻撃を躱し続けていたからかな、俺の速さは尋常でないよ。
 
「あれ? あ、これ……え?」

 オークが俺に向けて槍をボスボス突き刺すけど当たらない。
 俺が早すぎるからね。
 てか、わざとギリギリで躱しているから、オークさん不思議でたまらないみたい。
 顔がどんどん真っ赤になってゆく。血が上ってんだろうね。

「くそっ! なんだこのスライム!」

 どんなに刺しても、全然あたらないよ。

 他のオークが、「ドン臭いなお前っ」「よく狙って突けよ!」と笑うけど、そんなに悪くないよこのオーク。
 俺の核を正確に狙っているよ。

 問題は俺より速度がないってこと。
 槍が届く前に、俺が移動しているから。

 他の2匹が近寄ってきたよ。
 相手はたかが小さなスライム1匹。
 オークが手こずるわけないのに、いつまで経っても始末できないこの状況に、ただ事でないと感じたんだね。

「……うっ……」

 俺に槍を突き刺していたオークが、口から血を吐いて、膝から地面に倒れたよ。

 どうしたのかって?
 オーク3匹に囲まれるのイヤだったから、身体の一部を触手にして胸を、突き刺して仕留めちゃった。

 オークも人間みたいだから、心臓が胸にあると思ったんだけど、ビンゴだったね。  
 
 2匹のオークが固まっちゃってる。

「見たか、いまの」

「こんなスライム見たことねえ……」

「激レアだ」

 褒められて、ちょっとうれしい。

「触手さえ気をつければ、どうってことはねえ」

 あれ?
 ビビって逃げるのかと思ったら違ったよ。
 投網を持ちだしたから、俺を生け捕りにする気みたいだな。
 
 ヤバそうなので、順番に2匹のそばへ高速移動し、心臓を潰しておいた。
 俺の移動速度が早いのを知らなかったみたい。

 ぐったりとして動かないオークたち。
 竹カゴの中からまだ生きているスライムがいたので逃がしたよ。
 スライムたちがこっちに向いた。
 
「「「きゅん、きゅん、ぴー」」」

 たぶんお礼を言いたいんだろうね。

「いいってことよ」

 スライムたちが、元気にまた草を食べ始めた。
 なんだか、亀を助けた浦島太郎の心境だね。

 さて、まだ見渡す限り木々しかない。
 村や街に辿り着くのはいつだろうね。
 
 ふと、倒れているオークが気になった。
 死んでいるから、このまま放っといて下山しても良いんだけど、このオークたち。
 なんだか、ちょっと美味しそう。

 草木しか食べてなかった俺には、興味があるよ肉に。

 人間だった頃に食べた肉汁たっぷりのステーキを、香ばしい焼き鳥を思い出すなあ。
 共食いしていた兄弟たち、そのスライムの身体に、食欲なんて沸かなかったけど、このオークのたちはちょっとどころか、かなりそそるよ。
 
 死体を貪るのは道徳的にどうかと思ったけど、誰も見ていないし、ここは異世界だし。
 味見だけ、味見だけしてみるかな。
 
 むにゅ……。
 もみゅもみゅ……。

 オークの親指を取り込み、消化吸収してみたよ。

 激ウマだったね。
 やっぱり野菜より肉は旨い。

 むにゅ……。
 もみゅもみゅ……。
 もみゅもみゅ……。
 もみゅもみゅ……。

 止まらないよ。
 3匹もいるんだから――、もともと2匹しかいないと思えば――。
 いや、1匹でもいいかな。

 気がついたらオークたちは消えていた。
 完食しちゃってたね。

 今まで草木ばかり食べて、アマガエル色の身体だったけど、オークを取り込んだら、汚い色合いになってしまった。
 俺の透明な身体の中で、オークが……。
 あ~、よそうね。こんな描写。

 その分俺の身体が大きく膨らんだよ。
 3匹分の体積が合わさっちゃったからだね。
 力がみなぎってきたよ。

 
 ポンポ――――ン!!
 
『レベルアップ レベル2』

『攻撃力 ☓ 2』

『素早さ ☓ 2』

『知能 ☓ 2』

『運 ☓ 2』

『変形能力獲得』

『ステータス確認能力獲得』


 唖然としちゃったよ、俺。
 次々とテロップが流れるんだけど。

 なんのことか全然わかんないよ。
 ステータス確認能力ってなんなんだろうね。
 そう疑問を抱いたら、なんか出てきたよ。


――――――――――――――――――――

 SSSレア・スライム LV 1 → 2  

 生命力 5/10 → 10/20   

 ステータス

 攻撃力  3 →   6
 素早さ  89 → 178 
 知能       3 →   6
 運          3 →   6

『変形』
『ステータス確認』

 次のレベルアップ  20 EX

――――――――――――――――――――

 
 まるでゲームみたい。
 素早さだけ桁が違うのは、ずっと逃げまわっていたからだね。



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