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弟名義の奴隷
しおりを挟む兄ガゾゴンボの関心は、弟の死因から、いかにして弟が3億DGもの大金を得たかに移行していた。
さっそく集落の爺さんにガイドを頼んで、奴隷村に向かう。
奴隷たちのリーダーが住む家に入ると、4名の人間が頭を下げた。
「「「「い、いらっしゃいませ。ガゾゴンボ様……」」」」
予め自分が来るのを誰かから聞いたのだろう。
良い心がけだとガゾゴンボは頷く。
4人がおどおど顔を上げる。
「リーダーを努めております、ケンジと申します」
「妻のサヨコと申します」
「ち、長女の、アオイです」
「ミキ……です……」
「ほうー」
この4人に見覚えがあった。
5年前は真っ黒に日焼けしたガキだったはずの姉が、このような色白美女に育っている。
豚間は美白を好む。
日本人の黒髪がより白い肌を際立たせている。
黒目がちの大きな瞳も更に良い。
妹のほうも幼いながら、なかなかの器量だ。
ロリコン趣向の豚間にウケが良いだろう。
人間の妻のほうは、歳を重ねているが、肉付きの良い健康な身体だ。
まだまだ玩具に使えそうだな。
一方、夫は体格が良い。奴隷のリーダーになったのか、うなずける。
「リーダーよ。たった今から俺がこの奴隷村主人だ。
これからお前たちを町へ連れてゆき、売りさばく予定だ」
4人の顔が曇る。
娘2人が悲しそうに寄り添った。
「俺は軍人。弟のように、集落で生活するわけにはゆかん」
「……」
「それとは別に、疑問がある。俺の弟はこの地で何をしていたのだ?」
集落の者に訊ねても、弟は一日中のんびりし、たまに奴隷の娘と遊ぶくらいという。
たしかに両親が残した畑は荒れ放題だ。
だが、弟は奴隷を使い、異常な儲け仕事をしたに違いない。
理由によっては、軍人を止めても良い。
元々俺には剣の才能など無い。
田舎暮らしが嫌で集落を出て、たまたま募集していた軍人試験に合格しただけ。
「リーダーよ。お前たち奴隷の仕事はなんだ? 正直に答えよ」
「はい。奴隷村の奥にある洞窟での仕事でございます」
「ほう……」
集落の者が言ったダンジョンのことだろ。
ガイドの爺さんと部下を家の外で待たせ、俺はリーダーに詳しく説明させた。
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