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プロローグ
しおりを挟む加賀精霊学園。
今年でちょうど創立100年を迎えた名門である。
その加賀精霊学園の正門に、いつものように高級外車が止まった。
運転席のドアが開き、そこからタキシード姿の品の良い運転手が出てきて、後部ドアをゆっくりと開ける。
「いつもありがとう」
出てきた女子生徒の言葉に運転手が静かにうなずき、紺色の学生カバンを両手で渡したす。
「まあ麗奈様だわ。麗奈様が起こしになったわ」
「相変わらずお美しい……」
登校中の生徒たちの注目に、麗奈は小さく微笑んでから「おはようございます」と会釈をし、学生カバンを受け取った。
品がある。
城神麗奈お嬢様、17歳。
彼女の一挙手一投足、全てにおいて品があるのだ。
この加賀精霊学園の創業者であり、
総資産300兆円超え、2000を超える子会社を有する城神グループのトップである城神弥太郎を父親に持つ彼女。
故に彼女は幼少期から英才教育を受け、文武ともに優秀。
試験の成績は常に学年トップに君臨している。
特に『将棋』に関しては神がかり的に強く、日本高校生将棋選手権3連覇の実力を持つほどの腕前である。
また、彼女の容姿も素晴らしい。
腰まで届く長く艶やかな黒髪。薄い桜色の唇と共に印象的な切れ長の瞳は、癒しを与えている。
彼女とすれ違う男子たちは、ほぼ例外なく振り返ってしまうほどの美貌。
学園では女神と掲げられ、絶大な人気を誇っているのだった。
そんな、多大な注目を集めているご令嬢なのだが、この学園の男子生徒は誰一人として彼女にアプローチをしてはいなかった。
告白はもちろん、友達になってくれませんか、などという誘いすらしない。
――――何故?
城神財閥に生を受けた麗奈と、庶民家庭に生まれた男子とでは、身分が余りにも違い過ぎて、告白する勇気が湧かない、というのもある。
身分が違い過ぎて、当然、尻ごみするだろう。
だが、しかし、男子生徒がコクれない本当の理由は、城神財閥の社長、彼女の父親城神弥太郎の存在にあった。
彼女の父親は娘を溺愛している。
娘の為なら、犯罪だろうが平気でやりかねない男なのだ。
その証拠に、彼女の父親は、娘・麗奈が誕生したその年に、この加賀精霊学園に地下建設を開始した。
将来、最愛の娘を入学させるにあたり、
娘が安全な学園生活ができるようにとの配慮で、地下1階に麗奈防衛特殊作戦本部を設置したのであった。
麗奈特殊作戦本部。
プロボクサー、刑事、スナイパー、自衛隊と、警備のエリートたち30名により構成され、娘麗奈が安全な学園生活を送れる為だけの特殊チームだ。
彼らが24時間体制で麗奈お嬢様に分からないようサポートする。
また、この地下施設は核シェルターにもなっており、災害時には特殊チームが、迅速に麗奈お嬢様の安全を確保する仕組みだ。
もちろん、この地下施設及び、城神麗奈をお守りする特殊チームの存在は秘匿だ。
校長だけにしか知らされていない、最重要機密であるのだが、
しかし、麗奈のクラスメイトたちは薄々気が付いていた。
各教室の四角に設置された小型監視カメラが、城神麗奈のクラスだけ異常に多いこと。
他の高校にはない、警棒とスタンガンを腰に装備した保安員が学園内を警備していること。
麗奈お嬢様に付かず離れず、一定の距離を置いて、明らかにボディガードと思われる鋭い目つきの非常勤講師が1名いつもいること。
麗奈お嬢様の自宅から学園までの行き来は、警備車両に前と後ろを挟んだリムジンであること。
休日、麗奈が外出するときは、数十人の黒いスーツの男たちが、彼女を三重に取り囲んで同行するという異様な光景が街中で発生していること。
麗奈お嬢様には、国賓級の警備が、四六時中なされているのだ。
これらの事から、普通に毎日登校している生徒なら、まず、疑わないほうがおかしい。
不思議に思わない生徒は皆無だった。
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