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旅立ち

旅立ちー1

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~1年後~

「よっしゃぁぁ!これで3人とも昇級試験を受けれる!!」

3人でパーティを組んで約1年、ようやくネルのポイントが貯まり3人とも昇級試験を受けられるようになった。俺は2ヶ月前、ライドは鍛冶ばかりしていたので先週ポイントが貯まった。

「3人ともおめでとう。すぐ受けるかい?」
「うーん。期限はありますか?」
「特にないよ」
「じゃあ2日後にします。いいよね?」
「俺は何時でも」
「私もソラさんの意見に従います」
「ということなので、来週3人同時にお願いします」
「わかった。じゃあ明後日待ってるよ」

俺たちはギルドを出て屋台で色んなものを買いながら家へと向かう。

「それにしても俺たちがBランクの昇級試験を受けれるようになるとはな」
「頑張ったもんね」

この1年とにかく依頼を受けた。1日で2件達成することもあれば、1週間ほどかかる依頼もあった。

ネルは俺たちよりも数ヶ月後に冒険者になったのだから余計に大変だったみたいだ。まぁ魔力の強いネルは魔力のゴリ押しだったらしいけど。

ライドも鍛冶する時間を確保するために結構無茶な依頼の受け方をしていたらしい。2ヶ月前からは俺も一緒に依頼を受けていたため、無茶な事はやめていたけど。

「もう1年か。そりゃぁ小さかったソラが大きくなるはずだよな」
「うるさいなぁ。ライドなんてすぐに追い越してやるからな」

この1年で10cmほど身長が伸びて今は162cmだ。ライドも伸びて 192cmらしい。いつかは追いつける…はず!!ネルも174cmと長身なので、相変わらず俺が1番小さいままだ。

「あ、ソラ」
「ん?サリア。買い出し?」
「うん。ソラたちは?」
「家に帰るとこ。今日はネルのポイントが貯まったお祝いなんだ」
「へぇ。おめでとうございますネルさん」
「ありがとうございますサリアさん」

ネルの敬語はサリアにも適用されるらしい。初めは困惑していたサリアだが今は慣れたようだ。
サリアもこの1年で成長した。身長は少ししか伸びなかったそうで俺と同じくらいだけど主に胸が大きくなったと思う。宿屋もサリア目当てで来る客も少なくないそうだ。まぁ全てマーサさんの旦那さんにやられてるらしいけど。

「あ、早く帰らなきゃ。また時間がある時に来てね。じゃあね」

いつ会ってもサリアは急いでるな。周りの匂いにつられたのかライドのお腹がなったため、俺達も帰路を急いだ。

「乾杯!!」

俺の乾杯の音頭を聞きライドとネルが一気にお酒を飲む。俺はジュースだ。一応12歳から飲めるようになるのだが、なんとなく飲めないでいる。あんまりお酒にいい思い出がないからだろう。

「いよいよ昇級試験かぁ。何するんだろ」
「キースさん教えてくれなかったもんね。今ギルドにBランクってどのくらいいるんだろ」
「クアールの街で確か10人ほどだったと思います」
「そこに俺たちが入れるんだろうか」
「頑張るしかないよ」

この昇級試験、受ける人は結構な人数いるはずなんだけど昇級した人の話はほとんど聞かない。余程難しい試験なんだろう。
実技試験ならまだ勝算はるんだけど、筆記試験だと確実に詰む。

「ソラはBランクになったら旅に出るのか?」
「うん。そのつもり」
「なら俺も家出る準備しないとな」
「え?」
「え?ってなんだよ。当たり前だろ。俺はソラの専属鍛冶職人なんだからさ」
「私もついて行きますよ」
「2人とも…」

2人の言葉に目頭が熱くなる。一応パーティを組んでいるから着いてくれるかなと淡い期待をしていた部分もある。でも断られたらと思うと一緒に来てほしいと言うことは出来なかった。けれど2人がついてきてくれるとのると心強い。

「けどソラは旅に出る前にやることあるんじゃねぇの?」
「やること?」
「ほら、あの嬢ちゃんだよ。海風亭の」

海風亭…?ああ、サリアの所か。あまり店の名前で呼ばないから忘れていた。そのサリアがどうしたんだろう。

「明らかにあの嬢ちゃんソラの事好きだろ?手を出さずに置いていくのか?」

お酒が入っているからだろうか、普段こんな風に絡んでくることはないんだけど。ライドがちょっと面倒くさいおじさんみたいになってる。

「別に手を出すつもりなんてないよ。それにサリアが俺の事好きなんて確証もないし」
「いいえ。あれは絶対にホの字です。私の目に狂いはありません」

ネルまで話に乗ってくる。目は据わっており顔も赤い。お酒には弱いようだ。
しかもいつの間に飲んだのだろう。机や床に空き瓶が転がっている。

「ソラ。私ソラが好きなの」
「俺も。サリアの事好きだよ。でも俺は旅にでなきゃ」
「いや、おいていかないでソラ」
「サリア……」

何やってんだが。ライドがサリア、ネルが俺の真似をして抱きしめあっている。ってか190超えのライドがサリアの真似をすると少し怖いな。そんなこと起きないってーの。サリアは俺のことが好きなんじゃなくて、気の合う異性の友人ってだけだろ。

まったく…いままでお酒を飲んでもこんなに酔うことはなかったんだけど…2人とも嬉しかったのだろう。少し羽目を外すぐらい目をつぶっておこう。

そのあともしばらくどんちゃん騒ぎが収まらず、街から離れていて本当に良かったと思った。

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