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新しい街
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しおりを挟むしばらく歩いていると目的地である森の入口へとついた。今のところは異臭もしないし、毒に侵されている感じはしない。
「ライドはなにか臭う?」
「うーん。少し。まだ耐えられる範囲だけど」
「一応これを口に巻いといて」
俺はタオルに清浄化の魔法をかけるとライドに渡した。タオル越しに呼吸をするとフィルターのように毒だけ取り除いてくれるようにしている。これは前世の知識があるから作れたものだ。
ライドは受け取ったタオルを口周りに巻いて頭の後ろで縛っている。もう1枚のタオルに清浄化をかけると俺も同じように頭の後ろで縛る。
「危険を感じたらすぐに言ってね。一応毒に対する魔法はあるけど使ったことは無いから」
一応魔法が効かなかった場合を考えて異常状態を回復できる薬を買った。毒消しよりも高く金貨3枚したが、必要経費だ。
俺の言葉にライドは頷くとゆっくりと歩き出した。俺もその後に続く。
しばらく歩いていると辺りの空気がどんどん紫がかっている。鑑定で確認すると【毒の霧】と表示が出ている。
まだ薄くマスクがあるから体に害は無さそうだ。
目から入る可能性も考えて俺は創造で創ったゴーグルをライドに渡す。初めて見るゴーグルに興味を持ったライドだったが、状況が状況なため詳しく調べることはしなかった。
「この霧のなかじゃ鼻は使えないな。ソラの鑑定でなにかわかるか?」
「調べてみる」
森に入った時から探索はしており俺たちの今いる場所から100メートル離れた場所に数人いることは分かっていた。探索では誰がどこにいるかはわかるが生死までは分からない。しかし動く気配がないため死んでいるんだろうと考えていた。
「生きてる人がいる…!!」
「どうした?」
「この先に生きている人がいる。たぶん白銀の獅子の人だ」
鑑定ではやはり死亡と書かれている中に1人だけ瀕死の状態になっているステータスを見つけた。ステータスには毒と表示がされており少しずつ体力が減っている。
「ライド急ごう」
「おう」
ライドに声をかけ目的地まで走る。この森は毒の霧はあれど敵などは出てこないため容易に目的地までついた。
「やっぱり…」
ついた先には白銀の獅子のメンバーと奴隷の女の子が倒れていた。その中で唯一息をしているのは首輪のついた奴隷の女の子だけだった。呼吸が苦しいのか顔を歪めている。
俺はタオルに清浄化の魔法をかけると女の子の口元にあてた。これで異常回復しても毒状態になることは防げるはずだ。
「“かの者に掛けられている毒を打ち消せ。ポイゾナ”」
女の子に手をかざして聖魔法を唱える。女の子の身体が金色に光ると苦しそうだった女の子の顔は穏やかになった。
鑑定で確認すると毒状態が消えている。体力も低かったため3回ほどヒールを唱えて体力も完全回復させておく。
「ライドこの子背負える?このまま置いておけないし一緒に連れていこう」
回復をかけている間周囲を警戒してくれていたライドに声をかける。ライドが女の子を背負い、俺は鑑定で洞窟を探し先導した。
女の子のいた場所から歩いて5分。目的の洞窟についた。そのまま中に入ったけれどなにか違和感を感じる。
「なんか視界がクリアじゃないか?」
ライドに言われて気づく。先程まで毒の霧で覆われていた視界が一気にクリアになったのだ。
慌てて鑑定をすると毒の霧はなく普通の空気になっていた。試しにタオルを外してみても普通に呼吸が出来ている。
「ライドもタオル外して大丈夫だよ。1度その子も寝かせようか」
ゆっくりと女の子を横にしてタオルを取るとライドもタオルを取る。いくら清浄化して毒の霧を避けるためとはいえ、タオルでずっと鼻と口を隠すのは呼吸がしにくい。それに森に入ってからは満足に飲み物も飲めなかったためのどもかわいている。
カバンから飲み物を取り出し一口飲んで口を潤わせる。
洞窟の壁に持たれるとゆっくりと深呼吸をする。
「ここがキースさんの言ってた洞窟だけど…その子どうしようか」
「さすがに置いていくことは出来ないしな。かといってこのまま連れていくのも危ないし」
「殺してください…」
この先どうしようかとライドと悩んでいると凛とした声が聞こえた。寝ていると思っていた女の子が起きたのだ。
ステータスでは死んでいないことは分かっていたがなかなか起きないのだ女の子に魔法が失敗したのではないかと心配だったのだ。
魔法が成功していたことに安堵する暇もなく、女の子の言葉に耳を疑う。
「どうして…?」
何故死なせてくれという言葉が出るんだろうか。せっかく毒からも逃れられて生きているのに。それに女の子の奴隷主である白銀の獅子達は死んでいるのだからもう縛られることもないだろう。
「私は奴隷…だから仕事も出来ないしただ死ぬだけ。それに足も動かないし、目も片方見えない」
「それは…」
「奴隷主のリーダー。仕事が上手くいかない時に蹴られたり、魔物をおびき寄せる餌として使われた。奴隷なんてそんなもの」
なんてことを!!俺は奴隷のことなんて分からないが、こんな非人道的な事が許されるのか。こんな小さな女の子なのに。
女の子の身体はよく見ると青アザだらけど。目も虚ろで目が合わない。
「私、何も出来ない、足手まとい。だから殺して」
女の子が虚ろな目で俺を見てくる。ライドも心配そうな目で俺を見ているのがわかる。
女の子の言っていることは理解はできる出来るが…
ゆっくりと女の子に近づいていく。女の子は安心したように目を瞑っている。ライドは俺の手を掴もうとしたがそれを避け、大丈夫と声をかける。
「今からやることは誰にも言わないでね」
女の子の頭に手を置く。そうしてゆっくりと口を開く。
「“この地に住まわる大地の精霊たちよ。あなた方の力を私にお貸しください。目の前の少女に慈しみの光を パーフェクトヒール”」
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