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転生しました

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ロールケーキを食べているグーフ神は置いておいて俺はティリル神の方を向く。神様もロールケーキを1切れ食べているところだ。

『本当に地球の食べ物って美味しいよね。僕達の世界でも広まったらいいんだけど、砂糖が高いから中々貴族以外が食べれないんだよね』
「そうですね。村じゃ砂糖を使ったお菓子なんて1度も食べたことないですからね」

この世界では砂糖は高く貴族や一部の高価なお店が使っている。一般庶民である俺たちは専ら塩を使っている。ご飯は塩味ばかりだからたまに甘いものも欲しくなるが、さつまいもなどの自然の甘さで我慢している。
だからグーフ神に甘いものを創るのは自分も食べられるから少し嬉しい。

「もし俺が砂糖の作り方を広めたりするのってダメですか?」

幸いにもグーフ神のおかげで知識はあるし、創造のスキルで栽培に必要な種や道具も作ることが出来る。これをこの世界ように改良することも難しくはないだろう。
でも安易に広めていいものなんだろうか。物価が下がったりすると困るかもしれない。

『好きにしていいよ。世界を滅ぼすとかじゃなきゃ何しても大丈夫なんだ。それに塩を広めたのも前の転生者だからね』
「前の転生者?」
『そう。以前は塩も貴重で中々出回らなかったんだ。それを嘆いた彼女は海水から塩がとれるからと少しずつ広めていったんだ。なんでも商家の娘で卸している商品の事を調べてて塩の作り方もそれで知ってたんだって』

へぇ。凄いな。俺は知識がないからグーフ神に加護をもらっているけれど、やっぱり自分で調べて知識を持ってる人もいるんだよな。

『他にも転生者が広めたものは沢山あるけど、君にも何かを広めて欲しいなんて強要はしないよ。いったろ?好きに生きていいんだって。君がしたいようにすればいいんだ』
「ありがとうございます。俺は…俺はこの世界を旅したいです。旅をしながらこの世界に必要だと思ったものを教えていきたいです」
『うん。来週だよね。旅に出るの』
「はい。誕生日が来たら家を出ようと思います。神様が言ってくれたこの綺麗な世界が見たくて」

俺は最初に出会った神様の言葉を思い出した。あの言葉がキッカケで旅に出たいと思うようになった。それから父さんや母さんが冒険者だった時に行っていた場所や食べ物の事を教えてくれた。とても夜景が綺麗な街や、食べ物が美味しい国、珍しいピンク色の花を咲かせる木など、世界に俺の知らないは場所が沢山ある。俺はそれをこの目で見てみたいと思った。

『いいと思うよ。君のその強さではそう簡単には死なないだろうしね。それに必要なら戦いの神や魔法の神に加護を貰ったらいいよ。彼らもグーフ神みたいに何かを捧げると簡単に加護をくれるかもだよ』
「加護ってそんなに簡単に貰えるんですか?」
『信仰深い人には気まぐれであげたりするかな。特に戦いの神と魔法の神は誰でもあげてるよ。ソラ君のいる世界にもたくさん加護を渡してる。探せばすぐみつかるよ』

加護ってそんなに簡単には貰えるものなんだ。
村ではあまり加護を持ってる人はいなかったな。貰ってたのは村長と父さんの仕事仲間の人達の数人かな。
確か村長は鍛治神の加護で、そういえば父さんの仕事仲間の人達は戦いの神の加護を持ってたっけ。

『彼らはお酒や食べ物が好きだからね。グーフみたいに定期的に用意をしてくれるなら加護を与えると言ってるよ』

いつの間に連絡を持っていたんだろうか。まぁ直接考えてることが分かるぐらいなんだから念話たいなものが使えるんだろうな。

それにしてもここでまた加護が貰えるかもしれないのか。どうしようか。あったらすごく助かるだろう。別に料理やお酒の準備も大変じゃないし、ここは素直に貰っておこう。

『あぁ。分かった。そのように伝えるよ。ソラくん、2人の神が加護を与えたって。旅に出てからでいいからお酒と料理を用意して欲しいって』
「また俺の頭の中が読まれてるんですね。今更驚くことはないですけど。それよりどうやって用意したものを渡せばいいんてすか?」
『そうだな…この布に入れてくれればいいよ』

ティリル神は何も無かった場所から真っ白な布を取り出す。1m程の真四角の布だ。

『用意したものの上にこれを被せてこの空間の事を思い浮かべたらここに転移するようにしてあるから。ソラ君以外が使うとただの布になるから安心して』
「ありがとうございます」

俺は貰った布をアイテムボックスの中に入れておく。アイテムボックス内には家を出るとき用にある程度物を入れているが、とんでもない量を収納出来る為まだまだスペースはある。

『さて、そろそろお開きにしようか。いい加減にしないとグーフがまたお菓子を要求しそうだしね』
『わ、我はそんなに食い意地ははっていない!』
『はいはい。じゃあねソラ君。加護をくれた2人への供物忘れないでね』
『ついでに我への甘味もな』
「はい。わかりました。また来年来ますね」

ちゃっかり自分への甘いものを要求してきたグーフ神に思わず笑ってしまう。本当に甘いものが好きなんだな。

俺はいつものように金色の光に包まれると、次の瞬間にはベッドの上で目を覚ました。
身体は疲れていないけれど、どこか身体がだるく感じる。魂だけがあの空間に行っているようなものだから、精神的に疲れるんだろうか。
俺は新たな加護も確認せずにそのまま瞼を閉じた。

「明日、加護の確認しなきゃ。それと神様に何を送るのか考えな、きゃ……」

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