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番外編
一目惚れからの始まり
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爽やかな香りと光を感じてゆっくりと目を開けると枕元に1人のメイドが立っており、ガラスの花瓶にあふれんばかりの白い花を生けているところだった。
ゆっくりと体を動かすと、彼女は大仰な位に肩をすくめて、飛び上がりさっと頭を下げておじぎをする。前で組まれた手は小刻みに震えているようだ。
「お、おはようございます。ロベリア・ハフス様。すぐにお医者様をお呼びしますか?」
「おはよう。体調は大丈夫よ?」
驚いて尋ねると彼女は絞り出すように皇帝陛下から私が体調を崩しているようだからしっかりとお世話をするよう直々にお声がけがあったのだと答える。
皇帝陛下が直々に?何かの間違いじゃ、お目通りすらしていない私のことを何故陛下がご存知なのだろう。
寝起きの頭はうまく回らずこの状況に唖然とするばかりだ。そんな中小さくノックの音が聞こえさっと扉に駆け寄ったメイドが小声で言葉を交わすとすぐにこちらへ戻ってくる。
「ソーマ皇子殿下がお見舞いにいらっしゃいました。急いでお支度を」
私の返事を1つも聞かずに、彼女は慌ただしく寝巻きを脱がせ、手早く身支度をして髪を整える。
「お待たせしてしまい申し訳ありません。」
多少不機嫌なのは多めにみてほしいものだ。
自分の意思など無視されて早く行けとばかりに押し出されてきたのだから。
大体あんな風に別れた直後なんだし、どんな顔をすればいいか分からない。
ゆっくりと彼に目を向けるとその姿にまだ寝ぼけているのかと思わず何度か瞬きしてしまった。
確か今までの彼はいつもカーテンを巻きつけているような白い異国風の衣に赤い布を斜めに掛けてサンダルで歩き回っていた。
それが今はどうだろう。紺色の詰め襟の服に胸にはたくさんの勲章をつけ、肩から同色のマントをかけている。
分厚い胸板や太い腕もバランス良くビシッと収まっていて低めの背丈の割に足が長いことに今更気付いてしまった。
凛々しい軍服姿にうっかり見惚れてしまうが彼方も何も言わずに私をじっと見つめている。
私たちが黙り込んでしまったので私のそばに着いていたメイドがどうすればいいか分からない様子でソワソワしだすとようやくソーマ皇子が口を開いた。
『突然押しかけて申し訳ない。具合はどうかな?』
言いながら彼はメイドに合図を送りお茶の用意をさせ、さりげなく私を窓辺の椅子へと誘導する。
『おかげさまですっかり良くなりました。
あの…皇帝陛下にお伝えくださったのはもしや…』
『あぁ、私だよ。』
なんてこった。余計なことはやめてくれ!
などと言えるわけもなく。
『まぁ、そんな大事になさらなくても大丈夫でしたのに。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
こうして部屋にまで来ていただき心苦しいですわ。』
張り付いた笑顔を浮かべた所にお茶が運ばれてきた。
メイドは帝国語を話す私に衝撃を受けたのかカップを持つ手が小さく震えている。
『ありがとう、君は下がっていていいよ。扉を開けたままであちらの部屋に待機していてくれ。』
彼は何やら固い表情でメイドを遠ざけるとこちらに身を乗り出してきた。
「あんな風に突然申し出たことは謝る。だから、頼むから距離をとろうとするのはやめてくれないか?」
「別に距離をとろうとしているわけでは…」
思わず身を引きながら答えるが、信憑性に欠けるのは自分でも分かる。
しかし、ソーマ皇子はパァッと笑顔になりテーブル越しに私の片手を握った。
「よかった。では私にもう一度チャンスをもらえるか?」
「チャンス…ですか?」
「ああ、私は君と共に生きていきたい。
共に炎の谷を守っていきたい。
この先の未来にずっと隣にいて欲しい。」
「ちょ、ちょ、ちょ、待って…」
「ロベリア・ハフス子爵令嬢。私と結婚してほしい。」
ありえないありえない。ありえないでしょ!こんな…
私は無礼にならない程度の力で握られていた手を解くと椅子に座り直して背筋を伸ばす。
「落ち着いてくださいソーマ皇子。
だって、あまりにも唐突では?
私たちは昨日お会いしたばかりのはずです。」
「一目惚れだ。」
爽やかな笑顔で言われてもあまり嬉しくない。そう思うのにその邪気のない輝くような笑顔にたじろいでしまう。
「帝国の皇子がそんな言葉を軽々しく口にするのは良くないですよ。」
「軽々しく聞こえるかもしれない。だが、本当なんだ。
木陰に立たずむ君の姿を見たときから。
初めて声を聞いた時から。
まっすぐに見つめられた時から。
朝霧の中から浮かび上がる君を見た時もその手を取った時もそして炎の谷で魔法を操る君の姿を見た時も。
君に見惚れた。
僕の世界は君に染め変えられたようだ。」
潤んだ眼差しと輝く笑顔でまくしたてられ身を乗り出してくるので思わず背もたれに張り付くように身を逸らしてしまう。
「そ、そのように言っていただけるのは大変光栄です。
しかし皇帝陛下や他の方々も一目惚れで説得できるわけがありません。」
するとソーマ皇子はようやく落ち着いた様子で自分の背もたれにもたれかかり視線を私から逸らした。
「嫌な言い方をすれば君はとても利用価値が高い。
治めるのが大変な炎の谷の精霊たちと円滑にやっていけるような人間は君以外見つからないだろう。
さらに、私が国内の有力な家の娘を嫁に取ると私を皇帝に担ぎ上げようと画策する輩が現れる。そんなつもりがなくとも第一皇子に反意があるのではと疑う連中も現れる。
他国出身で、力が強すぎない子爵家の貴女はとても都合が良いんだ。」
スッと早鐘のようにうるさかった胸の音が止んだ気がした。
都合が良い。なるほど。
考えてみたら悪い話じゃないのかもしれない。
私は自分の魔力のことを言い訳に炎の谷がある彼の領地にとどまって暮らしていけばいい。
面倒な貴族同士の社交活動や皇子の妃としての仕事は彼がそのうち迎えるであろう別の妻にやってもらえばいい。
彼の一目惚れだと言う言葉が本当だったとして、そんな一時の感情はすぐ覚めるだろう。
それまでの間割り切って楽しく過ごすのも良いのかもしれない。
私だって本当のところは、彼のことをほとんど知らない。ただルルシアの写真を見た時から好ましく思っていただけ。
なんだ、私だって彼と変わらないじゃない。
緊張に強張っていた身体がゆっくり解けていくのが自分でも分かる。
結局のところ私も彼に一目惚れしているんだ。中身なんか全然知らないけど、その輝く笑顔を見てるだけでなんだか幸せな気持ちになるからそれでいいんじゃないかしら。
大体、この私がどっかのピンク頭みたいにうじうじ悩んだりしてるのはてんで似合わない。
『周囲の説得はお願いします。私そういう面倒くさいこと苦手なので。』
私が帝国語を間違えて言っているとでも思ったのかソーマ皇子は一瞬怪訝な顔をした後、ぱっと顔輝かせて立ち上がった。
「それは求婚を受け入れてくれると言う事で良いのか?」
「周りが説得できればの話です。特にルルシアは手強いと思いますよ。」
「あの子が反対するわけがない。」
どこからそんな自信が出てくるのか。ソーマ皇子は足元に膝まずくと私の手を取り、そっと口づけをした。
『私を受け入れてくれてありがとう。ロベリア・ハフス。
絶対に後悔はさせないから。』
力強い眼差しが私を見上げてくる。
「言っておきますが、社交活動や皇子妃の仕事をこなすつもりもありませんよ?」
後悔させない。
あまりロマンチックとはいえないその言葉は、
愛し抜くとか、幸せにするとかフワフワした掴みどころのない言葉よりもよほど真っ直ぐに私の胸に突き刺さった。
「君を煩わせたくはないし、私も社交活動に興味はない。代わりの者がいくらでもいるしな。」
彼はニコニコしながら立ち上がると目を白黒させながら待機していたメイドに祝杯のグラスを用意させる。
後悔させない…か、本当でしょうね?
彼の言った代わりの者という言葉がすこし引っかかったが、まるで子供のようにはしゃぐ彼の笑顔を前にするとなんだか全てがどうでもよくなってしまい私はようやく飾りではない笑顔を浮かべることができた。
ゆっくりと体を動かすと、彼女は大仰な位に肩をすくめて、飛び上がりさっと頭を下げておじぎをする。前で組まれた手は小刻みに震えているようだ。
「お、おはようございます。ロベリア・ハフス様。すぐにお医者様をお呼びしますか?」
「おはよう。体調は大丈夫よ?」
驚いて尋ねると彼女は絞り出すように皇帝陛下から私が体調を崩しているようだからしっかりとお世話をするよう直々にお声がけがあったのだと答える。
皇帝陛下が直々に?何かの間違いじゃ、お目通りすらしていない私のことを何故陛下がご存知なのだろう。
寝起きの頭はうまく回らずこの状況に唖然とするばかりだ。そんな中小さくノックの音が聞こえさっと扉に駆け寄ったメイドが小声で言葉を交わすとすぐにこちらへ戻ってくる。
「ソーマ皇子殿下がお見舞いにいらっしゃいました。急いでお支度を」
私の返事を1つも聞かずに、彼女は慌ただしく寝巻きを脱がせ、手早く身支度をして髪を整える。
「お待たせしてしまい申し訳ありません。」
多少不機嫌なのは多めにみてほしいものだ。
自分の意思など無視されて早く行けとばかりに押し出されてきたのだから。
大体あんな風に別れた直後なんだし、どんな顔をすればいいか分からない。
ゆっくりと彼に目を向けるとその姿にまだ寝ぼけているのかと思わず何度か瞬きしてしまった。
確か今までの彼はいつもカーテンを巻きつけているような白い異国風の衣に赤い布を斜めに掛けてサンダルで歩き回っていた。
それが今はどうだろう。紺色の詰め襟の服に胸にはたくさんの勲章をつけ、肩から同色のマントをかけている。
分厚い胸板や太い腕もバランス良くビシッと収まっていて低めの背丈の割に足が長いことに今更気付いてしまった。
凛々しい軍服姿にうっかり見惚れてしまうが彼方も何も言わずに私をじっと見つめている。
私たちが黙り込んでしまったので私のそばに着いていたメイドがどうすればいいか分からない様子でソワソワしだすとようやくソーマ皇子が口を開いた。
『突然押しかけて申し訳ない。具合はどうかな?』
言いながら彼はメイドに合図を送りお茶の用意をさせ、さりげなく私を窓辺の椅子へと誘導する。
『おかげさまですっかり良くなりました。
あの…皇帝陛下にお伝えくださったのはもしや…』
『あぁ、私だよ。』
なんてこった。余計なことはやめてくれ!
などと言えるわけもなく。
『まぁ、そんな大事になさらなくても大丈夫でしたのに。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
こうして部屋にまで来ていただき心苦しいですわ。』
張り付いた笑顔を浮かべた所にお茶が運ばれてきた。
メイドは帝国語を話す私に衝撃を受けたのかカップを持つ手が小さく震えている。
『ありがとう、君は下がっていていいよ。扉を開けたままであちらの部屋に待機していてくれ。』
彼は何やら固い表情でメイドを遠ざけるとこちらに身を乗り出してきた。
「あんな風に突然申し出たことは謝る。だから、頼むから距離をとろうとするのはやめてくれないか?」
「別に距離をとろうとしているわけでは…」
思わず身を引きながら答えるが、信憑性に欠けるのは自分でも分かる。
しかし、ソーマ皇子はパァッと笑顔になりテーブル越しに私の片手を握った。
「よかった。では私にもう一度チャンスをもらえるか?」
「チャンス…ですか?」
「ああ、私は君と共に生きていきたい。
共に炎の谷を守っていきたい。
この先の未来にずっと隣にいて欲しい。」
「ちょ、ちょ、ちょ、待って…」
「ロベリア・ハフス子爵令嬢。私と結婚してほしい。」
ありえないありえない。ありえないでしょ!こんな…
私は無礼にならない程度の力で握られていた手を解くと椅子に座り直して背筋を伸ばす。
「落ち着いてくださいソーマ皇子。
だって、あまりにも唐突では?
私たちは昨日お会いしたばかりのはずです。」
「一目惚れだ。」
爽やかな笑顔で言われてもあまり嬉しくない。そう思うのにその邪気のない輝くような笑顔にたじろいでしまう。
「帝国の皇子がそんな言葉を軽々しく口にするのは良くないですよ。」
「軽々しく聞こえるかもしれない。だが、本当なんだ。
木陰に立たずむ君の姿を見たときから。
初めて声を聞いた時から。
まっすぐに見つめられた時から。
朝霧の中から浮かび上がる君を見た時もその手を取った時もそして炎の谷で魔法を操る君の姿を見た時も。
君に見惚れた。
僕の世界は君に染め変えられたようだ。」
潤んだ眼差しと輝く笑顔でまくしたてられ身を乗り出してくるので思わず背もたれに張り付くように身を逸らしてしまう。
「そ、そのように言っていただけるのは大変光栄です。
しかし皇帝陛下や他の方々も一目惚れで説得できるわけがありません。」
するとソーマ皇子はようやく落ち着いた様子で自分の背もたれにもたれかかり視線を私から逸らした。
「嫌な言い方をすれば君はとても利用価値が高い。
治めるのが大変な炎の谷の精霊たちと円滑にやっていけるような人間は君以外見つからないだろう。
さらに、私が国内の有力な家の娘を嫁に取ると私を皇帝に担ぎ上げようと画策する輩が現れる。そんなつもりがなくとも第一皇子に反意があるのではと疑う連中も現れる。
他国出身で、力が強すぎない子爵家の貴女はとても都合が良いんだ。」
スッと早鐘のようにうるさかった胸の音が止んだ気がした。
都合が良い。なるほど。
考えてみたら悪い話じゃないのかもしれない。
私は自分の魔力のことを言い訳に炎の谷がある彼の領地にとどまって暮らしていけばいい。
面倒な貴族同士の社交活動や皇子の妃としての仕事は彼がそのうち迎えるであろう別の妻にやってもらえばいい。
彼の一目惚れだと言う言葉が本当だったとして、そんな一時の感情はすぐ覚めるだろう。
それまでの間割り切って楽しく過ごすのも良いのかもしれない。
私だって本当のところは、彼のことをほとんど知らない。ただルルシアの写真を見た時から好ましく思っていただけ。
なんだ、私だって彼と変わらないじゃない。
緊張に強張っていた身体がゆっくり解けていくのが自分でも分かる。
結局のところ私も彼に一目惚れしているんだ。中身なんか全然知らないけど、その輝く笑顔を見てるだけでなんだか幸せな気持ちになるからそれでいいんじゃないかしら。
大体、この私がどっかのピンク頭みたいにうじうじ悩んだりしてるのはてんで似合わない。
『周囲の説得はお願いします。私そういう面倒くさいこと苦手なので。』
私が帝国語を間違えて言っているとでも思ったのかソーマ皇子は一瞬怪訝な顔をした後、ぱっと顔輝かせて立ち上がった。
「それは求婚を受け入れてくれると言う事で良いのか?」
「周りが説得できればの話です。特にルルシアは手強いと思いますよ。」
「あの子が反対するわけがない。」
どこからそんな自信が出てくるのか。ソーマ皇子は足元に膝まずくと私の手を取り、そっと口づけをした。
『私を受け入れてくれてありがとう。ロベリア・ハフス。
絶対に後悔はさせないから。』
力強い眼差しが私を見上げてくる。
「言っておきますが、社交活動や皇子妃の仕事をこなすつもりもありませんよ?」
後悔させない。
あまりロマンチックとはいえないその言葉は、
愛し抜くとか、幸せにするとかフワフワした掴みどころのない言葉よりもよほど真っ直ぐに私の胸に突き刺さった。
「君を煩わせたくはないし、私も社交活動に興味はない。代わりの者がいくらでもいるしな。」
彼はニコニコしながら立ち上がると目を白黒させながら待機していたメイドに祝杯のグラスを用意させる。
後悔させない…か、本当でしょうね?
彼の言った代わりの者という言葉がすこし引っかかったが、まるで子供のようにはしゃぐ彼の笑顔を前にするとなんだか全てがどうでもよくなってしまい私はようやく飾りではない笑顔を浮かべることができた。
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