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番外編
嵐の前の穏やかな?お茶会
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「アッハハ、すごいや。やっぱり夢はデカく。望みは高く持つべきだよね。
彼女、お望み通り大物を釣り上げたじゃない。」
「ソーマ釣り上げられてない。大体ソーマ魚じゃない。アロイス失礼!」
王族専用の食事室でいつもの面々、アロイス、マリー、ルル、セーラに自分、そして共に学園を訪れていたリーク殿下とイライザが集まる中、説明を聞き終えて笑い出したアロイスにルルが猛然と抗議する。
「マリーなんでアロイス呼んだ、また事態が混乱する。アロイスがいると嵐が起こる。」
八つ当たり気味にマリーに絡み始めたルルの肩にそっと手を置くが彼女はこちらを振り返らない。
「呼んでなくても来るのがアロイスだから~」
マリーは困ったような表情を浮かべながらもどこか嬉しそうだ。
ルルは目を吊り上げたまま黙り込む。
彼女の言葉に納得したらしい。
「だいたいさ、2人を引き合わせたのってルルじゃない。
全然気づかなかったの?」
アロイスの遠慮のない言葉が聞こえた途端におもわず彼女の肩から手を離しそうになった。
ピリピリッと静電気を帯びているかのような怒りが瞬時に彼女の全身から発せられたのだ。
ルルはキッとアロイスを睨む
「引き合わせてない!帰国の時連れて行ったのはソーマに合わせるためではなかった。
他にも何人か連れて行ったし。」
そう、あの時、婚約の締結と両国の交流を兼ねてのルルの一時帰国。
自分はもちろん学院生や研究棟の者、国からの使者らを引き連れて帰国した。ルルはマリーも連れて行きたがったが、聖女を学園外に出すにはまだ危険があると許可が降りなかったのだ。
ならばとルルはロベリア・ハフスを連れて行くと言って譲らなかった。
「私まだ信用できてない。マリーの側に居させたくない。」
そうしてロベリアも同行者の一員になったのだが…
「ルル、その様子じゃソーマにきちんと話を聞いてないんだろう。
突然だったし、戸惑うのもわかるけど、きちんと話を聞いてみたらいいじゃないか。彼女のどこを気に入ったのか、大体そう簡単に騙されるようなやつじゃないって1番わかってるのは妹であるお前なんじゃないのか?」
リークのたしなめるような口調にピリついていた彼女は急に元気をなくす。
しばらく俯いていたが小さくうなずいてから、ゆっくり席を立ち上がった。
早速兄上の元へ向かうらしい。
しょんぼりした彼女の肩を抱えながらみんなに小さく会釈をしてからその場を立ち去る。
「のんちゃんはやっぱり気づいてたんじゃないの?もっと早く伝えてたらルルがあんな風に急にショックを受けることもなかったのに。」
「騒動になるのが目に見えてるのに、部外者から話を聞いたら、その方がショックが強いよ。まぁうまくいくように頑張ってみるし」
背後から聞こえる言葉にルルが再び怒りを爆発させるのではないかと不安になったが、彼女はそれどころでは無いようで2人のやり取りは全く耳に入っていないようだった。
彼女、お望み通り大物を釣り上げたじゃない。」
「ソーマ釣り上げられてない。大体ソーマ魚じゃない。アロイス失礼!」
王族専用の食事室でいつもの面々、アロイス、マリー、ルル、セーラに自分、そして共に学園を訪れていたリーク殿下とイライザが集まる中、説明を聞き終えて笑い出したアロイスにルルが猛然と抗議する。
「マリーなんでアロイス呼んだ、また事態が混乱する。アロイスがいると嵐が起こる。」
八つ当たり気味にマリーに絡み始めたルルの肩にそっと手を置くが彼女はこちらを振り返らない。
「呼んでなくても来るのがアロイスだから~」
マリーは困ったような表情を浮かべながらもどこか嬉しそうだ。
ルルは目を吊り上げたまま黙り込む。
彼女の言葉に納得したらしい。
「だいたいさ、2人を引き合わせたのってルルじゃない。
全然気づかなかったの?」
アロイスの遠慮のない言葉が聞こえた途端におもわず彼女の肩から手を離しそうになった。
ピリピリッと静電気を帯びているかのような怒りが瞬時に彼女の全身から発せられたのだ。
ルルはキッとアロイスを睨む
「引き合わせてない!帰国の時連れて行ったのはソーマに合わせるためではなかった。
他にも何人か連れて行ったし。」
そう、あの時、婚約の締結と両国の交流を兼ねてのルルの一時帰国。
自分はもちろん学院生や研究棟の者、国からの使者らを引き連れて帰国した。ルルはマリーも連れて行きたがったが、聖女を学園外に出すにはまだ危険があると許可が降りなかったのだ。
ならばとルルはロベリア・ハフスを連れて行くと言って譲らなかった。
「私まだ信用できてない。マリーの側に居させたくない。」
そうしてロベリアも同行者の一員になったのだが…
「ルル、その様子じゃソーマにきちんと話を聞いてないんだろう。
突然だったし、戸惑うのもわかるけど、きちんと話を聞いてみたらいいじゃないか。彼女のどこを気に入ったのか、大体そう簡単に騙されるようなやつじゃないって1番わかってるのは妹であるお前なんじゃないのか?」
リークのたしなめるような口調にピリついていた彼女は急に元気をなくす。
しばらく俯いていたが小さくうなずいてから、ゆっくり席を立ち上がった。
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「のんちゃんはやっぱり気づいてたんじゃないの?もっと早く伝えてたらルルがあんな風に急にショックを受けることもなかったのに。」
「騒動になるのが目に見えてるのに、部外者から話を聞いたら、その方がショックが強いよ。まぁうまくいくように頑張ってみるし」
背後から聞こえる言葉にルルが再び怒りを爆発させるのではないかと不安になったが、彼女はそれどころでは無いようで2人のやり取りは全く耳に入っていないようだった。
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