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第四章 エンディングのその後の世界
祝福が過剰すぎです
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突然壇上に現れたのんちゃんに卒業生たちはもちろん教員たちも驚いてざわめいている。
驚いていないのはリークたちと学園長くらいかな。
学園長は不愉快と感心が入り混じった複雑な表情を浮かべてからサッと手を舞台袖に伸ばした。
「名前を呼ばれてから登壇するように。アロイス・エシャルロット。」
のんちゃんはニヤッと笑ってからペコっと頭を下げて舞台袖に引っ込んだ。
皆んなの注目を浴びたまま舞台袖に入りざわめきが静まるのを待ってから学園長は硬い表情で口を開く。
「アロイス・エシャルロット。前へ」
名前が呼ばれて改めてすまし顔で登場するのんちゃんはなんだか変な感じだ。
学園長がいやに慎重にアロイスの肩にマントをかけると急に全身にピリピリした刺激が走る。
私だけではなくそれは会場にいる人皆んなが多少の差はあっても感じているらしい。
お父様の眉間のシワが更に深まり公爵様は嫌そうに顔をしかめてからエリザベス様の手を握って安心させるように優しく撫でている。
一番心配だったのはルルの反応で目を見開き身体を前のめりにして壇上に見入っている。
「ルル、大丈夫?」
ゆっくりと頭をあげこちらに向き直ったアロイスを見守りながら声をかけるけどルルはこちらを振り返ることなく息を詰めて両手を握りしめている。
「すごい…見たこともない聞いたこともないすごい量の力。アロイスの魔力が霞んで見えなくなりそうなくらい。」
「アロイスの魔力が霞むって…」
そんな魔力持ってる人存在するの?
思った時、
『賢者アロイス、我々は其方を歓迎する』
声ではない。地から湧き上がってくるような、風が吹き抜けるような、水が流れ炎が燃え上がるようなそんな感覚から感じ取ったような言葉だった。
会場は静まり返り、よく見ると気を失っている人がたくさんいる。
慌てて自分の周りを見渡すとお父様はこめかみを押さえて俯いているしルルは突っ伏して気を失っている。
他の人たちも口元を押さえて気分が悪そうにしていたり俯いている。
唯一動けるらしい公爵様が頭を軽く振ってからエリザベス様を筆頭に周りの人たちを助け始めた。私も手伝おうとルルに回復魔法をかけるために立ち上がると目を丸くしてから苦笑いを浮かべる公爵様。
私、何かまずいことしたかな?
壇上では学園長も会場に力を行き渡らせている気配がするけれど、ルルがゆっくりと目を開いた時、急に強い魔力が柔らかい光と共に広がり瞬く間に皆んなが目を覚ましたり体調が回復したのか驚いた様子で身体を起こし椅子に座り直している。
壇上に目を向けると困ったような表情で杖を握るアロイスといつの間にか姿を現したリーダーがこちらに目を向け軽く手を振ってきた。
さすがアロイス。感心している間に学園長がテキパキと指示を下して卒業式は幕を閉じた。
「やれやれ、やっぱり最後までやらかしてくれるね。」
「まったくだ。要らんところまでお前に似てしまって。」
パーティー会場に向かいながらわざとらしいポーズで嘆いて見せる公爵様にお父様の鋭い合いの手が入る。
「嫌だなぁアラン、俺たちが似てないことはお互いに認識済みなんだ。」
公爵様の言葉にお父様は呆れたように首を振り私の隣へ移ってきた。
「来年はマリーベルがあの場に立つのだな。今から楽しみにしている。」
「はい、お父様に恥じない成績を取って卒業できるよう頑張ります。」
「いや、がんばらなくても大丈夫でしょう?さっきの精霊王たちの祝福の嵐にまで耐えたんだから。いや、うちのアロイスといいマリーちゃんといい二人を見てると世の中の価値観がおかしくなりそうだよ。」
すかさず再びお父様の隣に近づいてきた公爵様をお父様は迷惑そうに眺めている。
「そうそう、アラン気をつけた方がいいよ。
リチャードの奴マリーちゃんのことかな~り気に入っちゃってるんだから。
絶対学園に引き留めようとするよ。」
公爵様の言葉に眉をひそめてからお父様はこちらを見つめてくる。
「本当か?」
慣れているとはいえ眉をひそめたお父様はかなりの威圧感だ。
私は思わず後退りそうになりながら必死で笑顔を浮かべる。
「そんな、学園長先生は生徒全員に将来の活躍を期待していらっしゃいますから私だけ特別というわけでは…」
お父様は少し疑うような眼差しを向けてからため息をつく。
「まったくどいつもこいつも私から娘を引き離そうとするのだから困ったものだ。」
「わぁ、アランが娘を溺愛してるのを表に出すなんて珍しい。」
お父様は笑いながら早足で離れて行った公爵様を真顔で追いかけて行ってしまった。
驚いていないのはリークたちと学園長くらいかな。
学園長は不愉快と感心が入り混じった複雑な表情を浮かべてからサッと手を舞台袖に伸ばした。
「名前を呼ばれてから登壇するように。アロイス・エシャルロット。」
のんちゃんはニヤッと笑ってからペコっと頭を下げて舞台袖に引っ込んだ。
皆んなの注目を浴びたまま舞台袖に入りざわめきが静まるのを待ってから学園長は硬い表情で口を開く。
「アロイス・エシャルロット。前へ」
名前が呼ばれて改めてすまし顔で登場するのんちゃんはなんだか変な感じだ。
学園長がいやに慎重にアロイスの肩にマントをかけると急に全身にピリピリした刺激が走る。
私だけではなくそれは会場にいる人皆んなが多少の差はあっても感じているらしい。
お父様の眉間のシワが更に深まり公爵様は嫌そうに顔をしかめてからエリザベス様の手を握って安心させるように優しく撫でている。
一番心配だったのはルルの反応で目を見開き身体を前のめりにして壇上に見入っている。
「ルル、大丈夫?」
ゆっくりと頭をあげこちらに向き直ったアロイスを見守りながら声をかけるけどルルはこちらを振り返ることなく息を詰めて両手を握りしめている。
「すごい…見たこともない聞いたこともないすごい量の力。アロイスの魔力が霞んで見えなくなりそうなくらい。」
「アロイスの魔力が霞むって…」
そんな魔力持ってる人存在するの?
思った時、
『賢者アロイス、我々は其方を歓迎する』
声ではない。地から湧き上がってくるような、風が吹き抜けるような、水が流れ炎が燃え上がるようなそんな感覚から感じ取ったような言葉だった。
会場は静まり返り、よく見ると気を失っている人がたくさんいる。
慌てて自分の周りを見渡すとお父様はこめかみを押さえて俯いているしルルは突っ伏して気を失っている。
他の人たちも口元を押さえて気分が悪そうにしていたり俯いている。
唯一動けるらしい公爵様が頭を軽く振ってからエリザベス様を筆頭に周りの人たちを助け始めた。私も手伝おうとルルに回復魔法をかけるために立ち上がると目を丸くしてから苦笑いを浮かべる公爵様。
私、何かまずいことしたかな?
壇上では学園長も会場に力を行き渡らせている気配がするけれど、ルルがゆっくりと目を開いた時、急に強い魔力が柔らかい光と共に広がり瞬く間に皆んなが目を覚ましたり体調が回復したのか驚いた様子で身体を起こし椅子に座り直している。
壇上に目を向けると困ったような表情で杖を握るアロイスといつの間にか姿を現したリーダーがこちらに目を向け軽く手を振ってきた。
さすがアロイス。感心している間に学園長がテキパキと指示を下して卒業式は幕を閉じた。
「やれやれ、やっぱり最後までやらかしてくれるね。」
「まったくだ。要らんところまでお前に似てしまって。」
パーティー会場に向かいながらわざとらしいポーズで嘆いて見せる公爵様にお父様の鋭い合いの手が入る。
「嫌だなぁアラン、俺たちが似てないことはお互いに認識済みなんだ。」
公爵様の言葉にお父様は呆れたように首を振り私の隣へ移ってきた。
「来年はマリーベルがあの場に立つのだな。今から楽しみにしている。」
「はい、お父様に恥じない成績を取って卒業できるよう頑張ります。」
「いや、がんばらなくても大丈夫でしょう?さっきの精霊王たちの祝福の嵐にまで耐えたんだから。いや、うちのアロイスといいマリーちゃんといい二人を見てると世の中の価値観がおかしくなりそうだよ。」
すかさず再びお父様の隣に近づいてきた公爵様をお父様は迷惑そうに眺めている。
「そうそう、アラン気をつけた方がいいよ。
リチャードの奴マリーちゃんのことかな~り気に入っちゃってるんだから。
絶対学園に引き留めようとするよ。」
公爵様の言葉に眉をひそめてからお父様はこちらを見つめてくる。
「本当か?」
慣れているとはいえ眉をひそめたお父様はかなりの威圧感だ。
私は思わず後退りそうになりながら必死で笑顔を浮かべる。
「そんな、学園長先生は生徒全員に将来の活躍を期待していらっしゃいますから私だけ特別というわけでは…」
お父様は少し疑うような眼差しを向けてからため息をつく。
「まったくどいつもこいつも私から娘を引き離そうとするのだから困ったものだ。」
「わぁ、アランが娘を溺愛してるのを表に出すなんて珍しい。」
お父様は笑いながら早足で離れて行った公爵様を真顔で追いかけて行ってしまった。
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