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第三章 魔法学園
意外な人物の登場です
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眩しい光が徐々におさまり光の渦が輝きを増す中、
「よし、成功。」
先ほどまでの甘い空気はどこへやら、のんちゃんは小さくガッツポーズをしている。
「の~ん~ちゃ~ん?」
相変わらず真っ赤なままふるふる震える手を握りしめて私が睨み上げるとのんちゃんは焦ったように両手を胸の前で振る。
「ごめんごめん。マリーに危害を加えずに心を乱す方法がこれしか思いつかなかったんだよ。」
「そりゃ乱れましたよ。乱れましたけどこんなやり方って!」
詰め寄った私とのんちゃんの間に青白い光が巻き起こる。
「気持ちは分かるが今はそれどころではないぞ」
現れたリーダーが尻尾でピシッと指した方を見るとホープが空中に浮かび上がった自分の顔くらいある光の渦を見上げて耳をパタパタさせていた。
「主よ、心を乱すだけでは足りなかったようだ。入り口は開かれたが竜は目覚めていなさそうだぞ。」
「やっぱりなぁ。じゃ、あれを使ってみるか。」
突然出現した光の渦に騒然とする会場内で冷静に偽ニリーナを包囲したままでいた騎士たちの一人にのんちゃんが何かささやいている。
騎士はスッと一礼して素早く扉から出て行った。
それを見ていたエドワード殿下たちが壇上から降りて私たちの側に来た。
アリアドネ妃だけは騎士たちに止められて不服そうな顔で壇上にとどまっている。
セーラ、イライザ、ルルも私を囲んで心配そうに労ってくれた。
特にイライザはアロイスと私の間に入ってアロイスを睨んでいる。
「話が違いますわ。マリーを抱きしめるだけだと言ってらしたのに。」
「いやぁ、抱きしめるだけじゃちょっと刺激が足りないかなと思って。」
ヘラヘラ頭に手をやったアロイスの胸にイライザの扇子が鋭い勢いでバシッとあたる。
やっちゃってくださいイライザ姉さん!
目を輝かせて両手を握りしめた私の両側からルルとセーラが優しく抱きしめてくれた。
「アロイスはもっと乙女心を学ぶべき。」
ルルの言葉に、いつも優しいセーラも困惑した表情でコクコクとうなずいている。
「まぁまぁ、アロイスだって好きでやったわけじゃないだろうし。」
「いや、好きだからしたんだよ。当たり前だろ?」
「いや、そういう意味じゃなくてだな。
お前、俺がせっかくフォローしてやろうとしてんのに。」
リークの言葉を聞いているのかどうか、のんちゃんは
「あっ、きたきた。」
とリークの肩越しに扉の方を向いて言った。
私たちもそちらに視線を向けると二人の騎士に挟まれて両手に拘束具を付けた人物が引っ張られるようにして会場に入ってきた。
「え!何で?」
その人物を見て私は目を丸くしてしまった。
エドワード殿下の素早い指示で会場内でざわついていた参列者が一か所に集められ、広く空いた場所に連れてこられた人は王宮の牢で処分がくだされるのを待っているはずのベルン先生だった。
「ベルン先生?」
「今は、昔もか。先生じゃねーよ。」
リークの言葉に反応したのかベルン先生が俯いていた顔をパッとあげた。
最後に見た時よりだいぶやつれて目は落ちくぼんで濃いくまがあるし、無精髭に髪もクシャクシャだ。
何故この場に連れてこられたのか分からないけどそれはキョロキョロしている本人も同じらしい。
しかし、壇上から自分を見下ろすアリアドネ妃を見つけた途端に彼は姿勢を正し虚だった目を輝かせた。
「アリア!やはり君が助けてくれたんだね?」
突然の言葉に私は???となったけどさすがアリアドネ妃は表情をみじんも変えずに静かにベルン先生を見つめている。
彼の両脇にいた騎士が不敬をとがめてひざまずかせると彼女はスッと一歩前に出る。
「私を愛称で呼ぶほど親しい仲の者ならばどのような姿になっていようと分かるはず…そなたは最近学園内で罪を犯した職員でしたね?
牢にて刑を言い渡されるのを待つ身だと記憶しています。」
ベルン先生は顔をあげ、オロオロした様子で両手をばたつかせている。
「失礼いたしました、アリアドネ妃殿下。
つい昔を思い出してしまいまして。
貴女と私は共に学園で学んだ仲。学年は二つ離れていましたが、私はずっと貴女を見守っていました。何度か手紙も送りました。返事はいただけませんでしたが…
貴女は華やかでたくさんのご友人に囲まれていらっしゃいましたし。」
アリアドネ妃は首を少し傾けて思い出そうとしているみたいだけど、ベルン先生はその姿にショックを受けているようだ。
「私が卒業する際にも手紙を出しました。貴女の飛び抜けた才能は私と共にあるべきだと。貴女が卒業するまで待ってもよいと。
やはり返事はいただけなかった。
貴女は毎日のように会いに行く私に挨拶以上の言葉を交わそうとはしなかった。
いつも美しく才能あふれる者ばかりを周囲に侍らせて………
あいつもそうだ。」
唐突に指をさされて私はびっくりしてしまった。
「お前たちはいつも美しさと才能で人を魅了しながら惨めな気持ちにさせるんだ。
お前を見るたびに俺に振り向いてくれなかったアリアを思い出して不快だった。後見人としてアリアに気にかけてもらえているのも気に入らなかった。」
ギラギラした目でにらまれて固まってしまった私をのんちゃんがそっと抱きこんで見えないようにしてくれる。
「ほら、またそうやって守られている。
私にはいなかった。陰口から守ってくれる人は。
父のような才能を持たず美しいものを愛でる姿を気味が悪いとささやかれ、誰も近づいてこようとしなかった。
この世界は不公平なことばかりだ。溢れるほど恵まれている者がいる一方で私のように日陰にばかり立たされる者がいる。
この私が!何故そんなめにばかりあうんだ。
間違っているのはこの呪われた世界のほうだ!」
姿は見えないないけどベルン先生が段々とヒートアップしているのが声だけでわかる。
私を抱きしめるのんちゃんの手に更に力が込められた時、急にたくさんの悲鳴が聞こえてきた。
「キャァ」
「なっ、何だあれは?」
「早くあいつをつまみ出せ。騎士たちは何をしてるんだ!」
渦巻く風も巻き起こり好奇心に負けてもぞもぞとのんちゃんの腕から顔を出すと驚くべき光景が広がっていた。
床に押さえつけられたベルン先生から黒いモヤのようなものが大量に吹き出して光の渦の中に吸い込まれている。
そっとのんちゃんを見上げると険しい表情で黙ってその場を見守っているようだ。
ええっと…いったい何がどうなってるの?
「よし、成功。」
先ほどまでの甘い空気はどこへやら、のんちゃんは小さくガッツポーズをしている。
「の~ん~ちゃ~ん?」
相変わらず真っ赤なままふるふる震える手を握りしめて私が睨み上げるとのんちゃんは焦ったように両手を胸の前で振る。
「ごめんごめん。マリーに危害を加えずに心を乱す方法がこれしか思いつかなかったんだよ。」
「そりゃ乱れましたよ。乱れましたけどこんなやり方って!」
詰め寄った私とのんちゃんの間に青白い光が巻き起こる。
「気持ちは分かるが今はそれどころではないぞ」
現れたリーダーが尻尾でピシッと指した方を見るとホープが空中に浮かび上がった自分の顔くらいある光の渦を見上げて耳をパタパタさせていた。
「主よ、心を乱すだけでは足りなかったようだ。入り口は開かれたが竜は目覚めていなさそうだぞ。」
「やっぱりなぁ。じゃ、あれを使ってみるか。」
突然出現した光の渦に騒然とする会場内で冷静に偽ニリーナを包囲したままでいた騎士たちの一人にのんちゃんが何かささやいている。
騎士はスッと一礼して素早く扉から出て行った。
それを見ていたエドワード殿下たちが壇上から降りて私たちの側に来た。
アリアドネ妃だけは騎士たちに止められて不服そうな顔で壇上にとどまっている。
セーラ、イライザ、ルルも私を囲んで心配そうに労ってくれた。
特にイライザはアロイスと私の間に入ってアロイスを睨んでいる。
「話が違いますわ。マリーを抱きしめるだけだと言ってらしたのに。」
「いやぁ、抱きしめるだけじゃちょっと刺激が足りないかなと思って。」
ヘラヘラ頭に手をやったアロイスの胸にイライザの扇子が鋭い勢いでバシッとあたる。
やっちゃってくださいイライザ姉さん!
目を輝かせて両手を握りしめた私の両側からルルとセーラが優しく抱きしめてくれた。
「アロイスはもっと乙女心を学ぶべき。」
ルルの言葉に、いつも優しいセーラも困惑した表情でコクコクとうなずいている。
「まぁまぁ、アロイスだって好きでやったわけじゃないだろうし。」
「いや、好きだからしたんだよ。当たり前だろ?」
「いや、そういう意味じゃなくてだな。
お前、俺がせっかくフォローしてやろうとしてんのに。」
リークの言葉を聞いているのかどうか、のんちゃんは
「あっ、きたきた。」
とリークの肩越しに扉の方を向いて言った。
私たちもそちらに視線を向けると二人の騎士に挟まれて両手に拘束具を付けた人物が引っ張られるようにして会場に入ってきた。
「え!何で?」
その人物を見て私は目を丸くしてしまった。
エドワード殿下の素早い指示で会場内でざわついていた参列者が一か所に集められ、広く空いた場所に連れてこられた人は王宮の牢で処分がくだされるのを待っているはずのベルン先生だった。
「ベルン先生?」
「今は、昔もか。先生じゃねーよ。」
リークの言葉に反応したのかベルン先生が俯いていた顔をパッとあげた。
最後に見た時よりだいぶやつれて目は落ちくぼんで濃いくまがあるし、無精髭に髪もクシャクシャだ。
何故この場に連れてこられたのか分からないけどそれはキョロキョロしている本人も同じらしい。
しかし、壇上から自分を見下ろすアリアドネ妃を見つけた途端に彼は姿勢を正し虚だった目を輝かせた。
「アリア!やはり君が助けてくれたんだね?」
突然の言葉に私は???となったけどさすがアリアドネ妃は表情をみじんも変えずに静かにベルン先生を見つめている。
彼の両脇にいた騎士が不敬をとがめてひざまずかせると彼女はスッと一歩前に出る。
「私を愛称で呼ぶほど親しい仲の者ならばどのような姿になっていようと分かるはず…そなたは最近学園内で罪を犯した職員でしたね?
牢にて刑を言い渡されるのを待つ身だと記憶しています。」
ベルン先生は顔をあげ、オロオロした様子で両手をばたつかせている。
「失礼いたしました、アリアドネ妃殿下。
つい昔を思い出してしまいまして。
貴女と私は共に学園で学んだ仲。学年は二つ離れていましたが、私はずっと貴女を見守っていました。何度か手紙も送りました。返事はいただけませんでしたが…
貴女は華やかでたくさんのご友人に囲まれていらっしゃいましたし。」
アリアドネ妃は首を少し傾けて思い出そうとしているみたいだけど、ベルン先生はその姿にショックを受けているようだ。
「私が卒業する際にも手紙を出しました。貴女の飛び抜けた才能は私と共にあるべきだと。貴女が卒業するまで待ってもよいと。
やはり返事はいただけなかった。
貴女は毎日のように会いに行く私に挨拶以上の言葉を交わそうとはしなかった。
いつも美しく才能あふれる者ばかりを周囲に侍らせて………
あいつもそうだ。」
唐突に指をさされて私はびっくりしてしまった。
「お前たちはいつも美しさと才能で人を魅了しながら惨めな気持ちにさせるんだ。
お前を見るたびに俺に振り向いてくれなかったアリアを思い出して不快だった。後見人としてアリアに気にかけてもらえているのも気に入らなかった。」
ギラギラした目でにらまれて固まってしまった私をのんちゃんがそっと抱きこんで見えないようにしてくれる。
「ほら、またそうやって守られている。
私にはいなかった。陰口から守ってくれる人は。
父のような才能を持たず美しいものを愛でる姿を気味が悪いとささやかれ、誰も近づいてこようとしなかった。
この世界は不公平なことばかりだ。溢れるほど恵まれている者がいる一方で私のように日陰にばかり立たされる者がいる。
この私が!何故そんなめにばかりあうんだ。
間違っているのはこの呪われた世界のほうだ!」
姿は見えないないけどベルン先生が段々とヒートアップしているのが声だけでわかる。
私を抱きしめるのんちゃんの手に更に力が込められた時、急にたくさんの悲鳴が聞こえてきた。
「キャァ」
「なっ、何だあれは?」
「早くあいつをつまみ出せ。騎士たちは何をしてるんだ!」
渦巻く風も巻き起こり好奇心に負けてもぞもぞとのんちゃんの腕から顔を出すと驚くべき光景が広がっていた。
床に押さえつけられたベルン先生から黒いモヤのようなものが大量に吹き出して光の渦の中に吸い込まれている。
そっとのんちゃんを見上げると険しい表情で黙ってその場を見守っているようだ。
ええっと…いったい何がどうなってるの?
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