悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

ゆりまき

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第三章 魔法学園

ヒロインはかやのそと (のんちゃん視点)

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すっかり慣れた足さばきでいつもより豪華なドレスを汚さないように急いで移動する。

マリーはルルとリタさんが見守ってくれているから少しは安心できる。
本当は俺がそばにいたいけど、ってか面倒だから俺の収納空間に入ってて欲しい。何しろちょっと目を離すとすぐ事件に巻き込まれてるんだから…

ぶつぶつ呟いていたらリーダーに冷ややかな眼差しを向けられた。

分かってるよ。流石にまずいって分かってるからやらないんじゃないか。

迎賓館のリークたちが暮らしている棟まで移動してくると使用人も増え少し空気がざわめいている。

まぁ今日はエドワードの記念すべき日だ準備も入念だろうし陛下や王妃様、王弟殿下の代理でアリアドネ妃もいらっしゃるはずだ。

そんなことを考えながら俺に気づいて素早く案内してくれる侍従の後に続き客間へ案内される。

「よ~アロイス。」「リノア、貴女また私たちを騙しましたわね?」
「とてもお似合いです。リノア姿も今日で見納めですかね?」

入った途端にリーク、イライザ、ディルに声をかけられる。

それぞれ晴れの場に相応しい装いをしているけどそれより俺の目をひいたのは部屋の壁際にずらりと並んだ騎士たちと部屋の片隅に静かにたたずんでいる5、6人の治療士たちだ。
騎士たちは皆、陛下付きの精鋭部隊だし治療士たちも高度魔法を身につけた高位治療士ばかりで流石の俺も目を見張る。

「見納めなんて寂しいこと言わずにこれからもたまにはリノアとしてお茶会しましょうよ~」

アリアドネ妃の声がしたけど姿が見えない。

キョロキョロしていたら、
「ここよ、ここ。」

と治療士たちの間から白い腕がブンブン振られているのが見えた。

俺はみんなにニコッと笑いかけてから治療士の集団に近づく。

さすが高位治療士たちだけあって俺の素性(賢者の称号)が隠しきれなかったらしく皆神妙な面持ちで深々と礼をとり取り囲むようにしていたアリアドネ妃の前から退いてくれた。

「お会いできて嬉しいです。アリアドネ妃殿下。」

「やぁね、お母様でしょう?リノアちゃん。」

パチンとウィンクされてどんな時も相変わらずだなぁとおかしいやらホッとするやらでなんだかんだで自分も緊張しているんだなと自覚した。

「お母様、今日という晴れの日にお目にかかれて嬉しいです。」

よく王弟殿下が許してくれましたね。と言外に問うてみる。

「本当よ。今日の出席の許可を取るのにどれだけ苦労したか…」

言いながら素早く部屋にいる騎士や治療士たちを見回す。
なるほど、ただの式典にしては人数が多すぎると思った。

「まぁ治療士たちは私がすすんで連れて来たんだけど。貴女の万が一を考えてね。」

にっこり笑顔を向けてくれたけどこれでイライザが怒っていた理由が分かった。

「皆が知る必要はなかったのでは?」

少しとがめるように小声で囁いてみたけどアリアドネ妃はヒョイと肩をすくめて見せる。

「情報操作は良くないわ。彼らにも知る権利がある。
これから起きる戦いに共に臨むのだから。」

いつのまにかイライザたちもすぐそばに近づいてきていた。

「確かに貴方は強い。だからいつも一人で危険を背負いこもうとするわね。
そうして周りを守ってくれるのはありがたいけど同時にとても寂しいことだわ。」

リークがポンっと俺の肩に手を置きイライザもすぐ隣で何度もうなずいている。

「少しは周りにも頼ってもらわなきゃ。」

「相手が異形の主。神に近い存在だとしても?」

俺の言葉に部屋の空気が凍り緊張が走る。

「相手が強ければ強いほど周りの助けが必要でしょう?」

まったく揺らがないアリアドネ妃の眼差し。
本当に、この人すごいよな。

俺は潔く降参することにしただけど一つだけ心配がある。

「分かりました。俺の作戦を全部正直に話します。
でもマリーには…悪いけどマリーにだけは話せません。」

「分かってるわ。知らない状態で挑まなきゃいけない。それが彼女の今日の役割だからね。」

アリアドネ妃の返事に俺は心底ホッとした。

ないとは思うけどもう話を聞いてしまっていたりしたら今日の作戦を大幅に変えなければいけないところだった。
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