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第三章 魔法学園

アリアドネ様は愛されてます

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「それにしてもロシェルは本当に手がかからないわね~今だってこうして大人しく一人遊びしてるし。」

部屋の中央に置かれた揺り籠からさっきからホワホワとシャボン玉のようなものが飛び出してくると思っていたらまさかの0歳児の一人遊びだった!

「え!え?まだお生まれになって半年経ってないですよね?」

「そうね~あと25日でちょうど半年。リークもこのくらいの時から泣きわめきながら氷の粒を飛ばしてたからあまり驚かないわね。」

私はすごく驚きですよ?アロイスが赤ちゃんだった頃もこんな感じだったのかな?

「そんなリークも何とか立派に育ってくれて……そうだ!イライザとのこと!詳しく話してよ~前からリノアの代わりを頼んでるからいい子なのはわかってるけどあの2人がどうやって進展したのか全然想像つかないのよね。どちらかというと言いたいことを言い合える関係って感じで恋愛感情がなさそうだったけど。


…それに、マリーも大変だったんでしょう?話せる範囲でいいから…もしよければ話してくれない?」

途中からいやに静かにそっとこちらを見ながらそう口にしたアリアドネ様を見て、先ほどまでのハイテンションは私を気遣ってくださったんだと気づき、何だか胸が熱くなった。

新しく入れ直してくれた紅茶を一口飲んでから私は学園での色々を話した。

初日からキラキラ集団に囲まれて大変だった話からセーラやルルと仲良くなったこと、淑戦部に入部したこと。
いつも一緒だったアロイスと初めて長い間離れ離れになったこと…
話しづらかったハフスさんやクラスメイト、ベルン先生の話までいつの間にかスラスラ話せていた。

アリアドネ様が適度に相槌をうちながら笑い、時には怒りながら聞いてくれたおかげだと思う。

ホープの話になり、見たい見たい!
っとはしゃぎながら頼まれて私は再びホープに出てきてもらった。

「こんにちは。」

元気に礼儀正しく頭を下げてみせたホープはどうやらまたこっそり私の魔力をつまみ食いしていたらしい。

「まぁ、話までできるなんて知らなかった。」

アリアドネ様は目を丸くしてからスッと車椅子から立ち上がり優雅に挨拶をされている。

さすが王弟妃様。美しい所作に見惚れてしまう。

その時、大きく扉が開かれクリアフォルト王弟殿下がいらっしゃった。

「アリア!立ち上がったりして大丈夫なのか?」

控えていた侍女たちが風のような速さでアリアドネ様の側に行き、かいがいしく再び車椅子に座らせた。

「クルート、いい加減にしてちょうだい。いつまでもこんな生活していたら歩けなくなってしまうわ。」

「そうしたら私がどこへでも運んであげるから心配しなくて大丈夫だ。」

にっこり微笑まれアリアドネ様は呆れたように肘置きに頬杖をつく。

「そんな笑顔で言ってもダメよ。
私だって少しは耐性がついたんだから。
早く回復して王弟妃としての職務をこなして胸を張って貴方の隣に立ち続けなくちゃ。」

「アリア…」

王弟殿下は私たちがいること忘れてるんじゃないかな。ホープも少し呆れた様子でまた私の中に入ってしまった。

殿下はというとウットリした顔でアリアドネ様の前に膝をつき両手をすくいとってキスを落としている。

「アゥァ~」

声がしてすぐロシェル様の揺り籠から大量のシャボン玉のようなものが王弟殿下に向かって吹き付ける。

プッとアリアドネ様が吹き出し殿下の静止も気に留めずに立ち上がり揺り籠からロシェル様を抱き上げた。

「最高だわ、私の息子。」

嬉しそうにロシェル様を抱きしめるアリアドネ様。

無表情でギュッとアリアドネ様にしがみ付きながら王弟殿下を見るロシェル様。

眉をひそめながら息子を見返す殿下。

何だか二人の間に火花が散って見えるのは気のせいだろうか?

侍女たちは慣れているのか素早く王弟殿下の分の紅茶もセッティングし、さりげなく私が座るテーブルへ三人を誘導する。

「そうだ、マリーに知らせることがあって来たのだった。」

紅茶を一口飲んだ王弟殿下は静かにカップを置いた。

「ロベリア・ハフスが学園内の自室に戻ってきているのをルームメイトが発見した。」

え?だってハフスさんは確かまだ王宮に留まっているはずじゃ…
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