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第三章 魔法学園
アロイスのお土産は衝撃的です
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「主よ…」
リーダーに冷たい眼差しを向けられてもなおアロイスは笑い転げている。
リーダーはプルプルっと体を振ってから前足で器用に毛並みを整えていく。あっという間に身なりを整えてピシッと尻尾で地面を叩きアロイスをジッと見据える。
「主よ。笑っている場合ではないぞ。
そろそろあの者を取り出さなければあまりに長い間眠らせておくと何らかの支障が出るやも知れぬ。あの者は主ほど頑丈ではないからな。」
「ああ、そうだった。」
アロイスが面倒そうな顔をして部屋にいる私たちを見回してから更に説明を続けてくれた。
行方不明のハフスさんが異空間でアロイスと出会ってたなんて。
驚愕する私たちの前でアロイスはいとも簡単に横たわり眠るハフスさんを出現させた。
まさか、助け出しに行こうとしていた人物をお土産にぶら下げて帰ってくるとはさすがというか何というか…
陛下が指示を出し、長椅子を運び込ませると彼女はそこに寝かせられ両手と両足に枷がつけられる。
起きたら半狂乱になっちゃうんじゃないかな。
心配する私の肩をアロイスはポンっと叩く。
「心配な気持ちは分かるけど彼女がマリーたちに何したか分かってる?
マリーがもう気にしてなかったとしても俺は許さないから。あの空間を出て帰る道すがら精霊たちから詳しい話を聞いた時にはあの中に捨ててくりゃ良かったとどんだけ思ったか。リーダーに言われなかったら戻って捨てて来てたね。」
「主は婚約者殿のこととなるといささか感情的になりすぎる。
諫めるのに苦労したぞ。」
呆れた様子のリーダーに申し訳なさがこみあげてくる。
「それで、偽ニリーナの行方を淑戦部とイライザ、セーラだけで突き止めたんでしょう?
すごいよね。」
アロイスが満面の笑みを浮かべる中陛下とエライザ王妃の視線が私たちに突き刺さる。
「えぇっと…アハハ。うっうん。ちょっと頑張っちゃいました。」
冷や汗を流しながら答える。
「恐れながら陛下、妃殿下どうか彼女たちをせめないでくださいませ。
全ては私が言い出し始めたこと。
責は全て私に。」
陛下たちの背後からスッと現れたのはアスターさんだ。
王宮の侍女たちが着る黒いドレスに白いエプロンのお仕着せを着慣れた様子で着こなし前に進み出てきてスッと頭を下げる。
「咎めるつもりはないよ。まぁ本来なら勝手に危険なことをしたと説教すべきなんだろうが、今回は我々大人が体たらくだったせいでもある。学園内の秩序の乱れの隙をつかれた。」
エライザ王妃がハッキリとそう宣言してから陛下に目を向ける。
陛下もその視線にグッと黙り込みコホンと咳払いをしてから口を開いた。
「まぁ、もっと早くに我々を頼って欲しかったと言う気持ちもあるが将来を背負っていく若者たちの力を見せられ頼もしく嬉しくも感じた。
特にセーラ嬢、イライザ嬢には将来息子たちと共にこの国を背負ってもらうことになるからな。」
陛下の言葉にびっくりして私はセーラの方を向いた。
セーラは頬を染めうつむいている。
「恐れながら陛下。まだ選定の最中でございます。私がその一人に選ばれたことは身にあまる光栄とは存じますが他にも優れた素晴らしい候補者の方々がいらっしゃると伺っております。」
慎ましく頭を下げるセーラを陛下はジッと見つめている。
「非公式の場だそのようにかしこまらずともよいぞ。
確かに選定の最中ではあるが、我々は本人の希望を最優先にしたいと考えている。もちろんセーラ嬢の気持ちもな。」
ずっと無表情なエドワード様が表情は変えずにピクッと眉を動かした。
「リークとリノア嬢の婚約解消についてだが…」
陛下がゆったりとそう口にした時だった。
「婚約解消!リーク様が?!」
急に響き渡った大声にびっくりして振り返ると長椅子に寝かされていたハフスさんが勢いよく起き上がった所だった。
リーダーに冷たい眼差しを向けられてもなおアロイスは笑い転げている。
リーダーはプルプルっと体を振ってから前足で器用に毛並みを整えていく。あっという間に身なりを整えてピシッと尻尾で地面を叩きアロイスをジッと見据える。
「主よ。笑っている場合ではないぞ。
そろそろあの者を取り出さなければあまりに長い間眠らせておくと何らかの支障が出るやも知れぬ。あの者は主ほど頑丈ではないからな。」
「ああ、そうだった。」
アロイスが面倒そうな顔をして部屋にいる私たちを見回してから更に説明を続けてくれた。
行方不明のハフスさんが異空間でアロイスと出会ってたなんて。
驚愕する私たちの前でアロイスはいとも簡単に横たわり眠るハフスさんを出現させた。
まさか、助け出しに行こうとしていた人物をお土産にぶら下げて帰ってくるとはさすがというか何というか…
陛下が指示を出し、長椅子を運び込ませると彼女はそこに寝かせられ両手と両足に枷がつけられる。
起きたら半狂乱になっちゃうんじゃないかな。
心配する私の肩をアロイスはポンっと叩く。
「心配な気持ちは分かるけど彼女がマリーたちに何したか分かってる?
マリーがもう気にしてなかったとしても俺は許さないから。あの空間を出て帰る道すがら精霊たちから詳しい話を聞いた時にはあの中に捨ててくりゃ良かったとどんだけ思ったか。リーダーに言われなかったら戻って捨てて来てたね。」
「主は婚約者殿のこととなるといささか感情的になりすぎる。
諫めるのに苦労したぞ。」
呆れた様子のリーダーに申し訳なさがこみあげてくる。
「それで、偽ニリーナの行方を淑戦部とイライザ、セーラだけで突き止めたんでしょう?
すごいよね。」
アロイスが満面の笑みを浮かべる中陛下とエライザ王妃の視線が私たちに突き刺さる。
「えぇっと…アハハ。うっうん。ちょっと頑張っちゃいました。」
冷や汗を流しながら答える。
「恐れながら陛下、妃殿下どうか彼女たちをせめないでくださいませ。
全ては私が言い出し始めたこと。
責は全て私に。」
陛下たちの背後からスッと現れたのはアスターさんだ。
王宮の侍女たちが着る黒いドレスに白いエプロンのお仕着せを着慣れた様子で着こなし前に進み出てきてスッと頭を下げる。
「咎めるつもりはないよ。まぁ本来なら勝手に危険なことをしたと説教すべきなんだろうが、今回は我々大人が体たらくだったせいでもある。学園内の秩序の乱れの隙をつかれた。」
エライザ王妃がハッキリとそう宣言してから陛下に目を向ける。
陛下もその視線にグッと黙り込みコホンと咳払いをしてから口を開いた。
「まぁ、もっと早くに我々を頼って欲しかったと言う気持ちもあるが将来を背負っていく若者たちの力を見せられ頼もしく嬉しくも感じた。
特にセーラ嬢、イライザ嬢には将来息子たちと共にこの国を背負ってもらうことになるからな。」
陛下の言葉にびっくりして私はセーラの方を向いた。
セーラは頬を染めうつむいている。
「恐れながら陛下。まだ選定の最中でございます。私がその一人に選ばれたことは身にあまる光栄とは存じますが他にも優れた素晴らしい候補者の方々がいらっしゃると伺っております。」
慎ましく頭を下げるセーラを陛下はジッと見つめている。
「非公式の場だそのようにかしこまらずともよいぞ。
確かに選定の最中ではあるが、我々は本人の希望を最優先にしたいと考えている。もちろんセーラ嬢の気持ちもな。」
ずっと無表情なエドワード様が表情は変えずにピクッと眉を動かした。
「リークとリノア嬢の婚約解消についてだが…」
陛下がゆったりとそう口にした時だった。
「婚約解消!リーク様が?!」
急に響き渡った大声にびっくりして振り返ると長椅子に寝かされていたハフスさんが勢いよく起き上がった所だった。
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