181 / 247
第三章 魔法学園
無邪気なホープにハラハラです
しおりを挟むアロイスの説明を聞きながら改めて偽ニリーナ様って何者なんだろう。とア然としてしまった。
自ら異空間を創り出してそこに精神体を閉じ込めることができるなんて…
アロイスが規格外で本当に良かったと心の底から思う。
そして、ホープとリーダー、他にもたくさんのヴェルフィアウルフとサバニアタイガーが彼女の実験のせいでひどい目に遭ったなんて許せない。
得体が知れない恐怖よりも今は怒りの方が上回っている。
「ひとつ疑問なんだが…」
アロイスがリーダーと知り合い絆を結んだ経緯を聞くとエライザ王妃が考え込んだ様子で声をあげた。
「リーダーとマリーの連れている…」
「ホープと名付けましたエライザ様。」
視線で尋ねられて急いで答える。
「ホープとリーダー、双方は創り出された存在とはいえ伝説の聖獣であることに変わりないのだろうか?」
この質問にアロイスは首をかしげているし、私もホープは否定してるけど本当のところはよくわからない。
「あたしゃ聖獣として認めたほうがいいと思うけどね。
他の仲間に比べて魔力量も知性も比べ物にならないほど高い。
野放しにしておける存在じゃないことは確かだ。
それに…
いくら寛容な神々でも自らの意思に反する存在が生まれることを良しとはしないだろう。
偽ニリーナが聖獣を生み出そうとし始めたのはずいぶん前からさ。
それが今になって成功してるのはやっぱりお前たちが関係してんだろうよ。」
フーッと吐き出された煙をホープが興味深そうに眺めている。
「聖獣に釣り合うものが現れたからこそ彼女の実験は成功したということか?」
陛下の言葉にニリーナ様は首を傾げる。
「さぁね、神々の崇高な考えがまるっと分かるわけじゃないからね。でもまぁ、何らかの意味はあるんだろうよ。
本来なら出会うはずのなかったコイツらが出会って、魔力の相性もピシッとハマってて」
(ホープ聖じゅじゃないけど聖じゅってこと?)
(う、うん。たぶんそうみたい。)
(ふ~ん。)
ホープはバサっと翼を広げて伸びをしてから私の左肩に頭をのせる。
(まぁ、どっちでもいいかな。
ホープはホープだし。マリーと一緒なら何でもいいよ)
かわいいなぁ、もう。
コツンと頭をくっつけてスリスリする。
周りが呆気にとられていて我にかえる。まずい、陛下たちの前だった。私たちの話すことは聞こえてないんだし突然変なこと始めたと思われたよねきっと。
真っ赤になって小さくなるとリーダーが私の前までちょこちょこと歩いてきた。
(なるほど、魔力が溢れて変異しないように新たに魔力を貯めることができる翼を加えたのか。奴らもなかなか考えたものだな。)
ジッとホープを見つめているリーダーから聞こえてきた声は年輩の男性…つまりお祖父ちゃんの声みたいでびっくりした。
(リーダーはホープとおんなじだけどすごく小さい。すごいね~)
ホープの言葉にリーダーはニヤッと笑ったように見えた。
(そなたと我では生きた時間が違いすぎる。まぁ、同じ変わり者同士協力していこう)
(仲良しになろうってこと?もちろん。よろしくねリーダー)
ホープが口を大きく開けてベロンっとリーダーの顔を舐めた。
小さなリーダーが飲み込まれるんじゃないかと私はヒヤヒヤだ。
(ホープ。体格差!体格差があるからね。
えっとつまりホープの方が体が大きいから気をつけて優しく接して!)
アロイスは毛が逆立ってしまったリーダーを見て笑い転げてるし、もう!笑ってる場合じゃないでしょ?
自ら異空間を創り出してそこに精神体を閉じ込めることができるなんて…
アロイスが規格外で本当に良かったと心の底から思う。
そして、ホープとリーダー、他にもたくさんのヴェルフィアウルフとサバニアタイガーが彼女の実験のせいでひどい目に遭ったなんて許せない。
得体が知れない恐怖よりも今は怒りの方が上回っている。
「ひとつ疑問なんだが…」
アロイスがリーダーと知り合い絆を結んだ経緯を聞くとエライザ王妃が考え込んだ様子で声をあげた。
「リーダーとマリーの連れている…」
「ホープと名付けましたエライザ様。」
視線で尋ねられて急いで答える。
「ホープとリーダー、双方は創り出された存在とはいえ伝説の聖獣であることに変わりないのだろうか?」
この質問にアロイスは首をかしげているし、私もホープは否定してるけど本当のところはよくわからない。
「あたしゃ聖獣として認めたほうがいいと思うけどね。
他の仲間に比べて魔力量も知性も比べ物にならないほど高い。
野放しにしておける存在じゃないことは確かだ。
それに…
いくら寛容な神々でも自らの意思に反する存在が生まれることを良しとはしないだろう。
偽ニリーナが聖獣を生み出そうとし始めたのはずいぶん前からさ。
それが今になって成功してるのはやっぱりお前たちが関係してんだろうよ。」
フーッと吐き出された煙をホープが興味深そうに眺めている。
「聖獣に釣り合うものが現れたからこそ彼女の実験は成功したということか?」
陛下の言葉にニリーナ様は首を傾げる。
「さぁね、神々の崇高な考えがまるっと分かるわけじゃないからね。でもまぁ、何らかの意味はあるんだろうよ。
本来なら出会うはずのなかったコイツらが出会って、魔力の相性もピシッとハマってて」
(ホープ聖じゅじゃないけど聖じゅってこと?)
(う、うん。たぶんそうみたい。)
(ふ~ん。)
ホープはバサっと翼を広げて伸びをしてから私の左肩に頭をのせる。
(まぁ、どっちでもいいかな。
ホープはホープだし。マリーと一緒なら何でもいいよ)
かわいいなぁ、もう。
コツンと頭をくっつけてスリスリする。
周りが呆気にとられていて我にかえる。まずい、陛下たちの前だった。私たちの話すことは聞こえてないんだし突然変なこと始めたと思われたよねきっと。
真っ赤になって小さくなるとリーダーが私の前までちょこちょこと歩いてきた。
(なるほど、魔力が溢れて変異しないように新たに魔力を貯めることができる翼を加えたのか。奴らもなかなか考えたものだな。)
ジッとホープを見つめているリーダーから聞こえてきた声は年輩の男性…つまりお祖父ちゃんの声みたいでびっくりした。
(リーダーはホープとおんなじだけどすごく小さい。すごいね~)
ホープの言葉にリーダーはニヤッと笑ったように見えた。
(そなたと我では生きた時間が違いすぎる。まぁ、同じ変わり者同士協力していこう)
(仲良しになろうってこと?もちろん。よろしくねリーダー)
ホープが口を大きく開けてベロンっとリーダーの顔を舐めた。
小さなリーダーが飲み込まれるんじゃないかと私はヒヤヒヤだ。
(ホープ。体格差!体格差があるからね。
えっとつまりホープの方が体が大きいから気をつけて優しく接して!)
アロイスは毛が逆立ってしまったリーダーを見て笑い転げてるし、もう!笑ってる場合じゃないでしょ?
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】ヒロインであれば何をしても許される……わけがないでしょう
凛 伊緒
恋愛
シルディンス王国・王太子の婚約者である侯爵令嬢のセスアは、伯爵令嬢であるルーシアにとある名で呼ばれていた。
『悪役令嬢』……と。
セスアの婚約者である王太子に擦り寄り、次々と無礼を働くルーシア。
セスアはついに我慢出来なくなり、反撃に出る。
しかし予想外の事態が…?
ざまぁ&ハッピーエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる