悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

ゆりまき

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第三章 魔法学園

ロベリア・ハフスの行方 (アロイス視点)

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ひどく心地よい微睡の中。夢も見ずただ漂う。最高に気持ちよくて贅沢だ。

俺はウットリとその微睡に身を委ねていたのだが、急に耳障りな音が聞こえてきた。
前世でもこんな経験がある。
夜、気持ちよく寝ているときに限って近所の猫が騒ぐ声で起こされるあの不快な気持ちと同じだ。
別に猫は嫌いじゃない。
ただ何で今なんだ!って思うだけ。
他所でやってくれよそで。

今回もそうだ。せっかく気持ちよく昼寝してたってのにさ。

「うるせーな。何なんだよ。」

すごく嫌々目を開き身体を起こす。

ゆっくり辺りを見回すといつの間にかリーダーたちと出会ったあの空間に戻ってきていた。

(おっ。起こしたか。すまんな主よ。)

リーダーの声が響いてきてそちらを向いた時…

「えっ?ウソ!アロイス様?やだ~やっぱり運命なんだ。」

妙に甘ったるい声とともにフワッと花の香りがして柔らかいものが抱きついてきた。

まだ寝ぼけた頭でとっさに反応できず抱きつかれるがまま驚いて相手を見上げる。

「ロベリア・ハフス?」

そこには髪や服装は多少乱れているが相変わらずキラキラした目を向けてくるあのお騒がせな女がいた。

「わぁ、覚えててくださったんですね。嬉しい~」

「何でここに?」

「アロイス様~私すごく不安だったんです。
悪い奴に拐われてこの変な場所に閉じ込められたみたいで~
なんか不気味な生き物ばっかりだし。モヤがたちこめててどこにも道が見つからないし。
もう泣きそうでした~

でもでも、アロイス様にお会いできたから嬉しい~もうずっとここに居てもいいかも。」

ウルウルした目を向けてきて思わず巻きついた腕をほどき後ずさる。

「なんだ、先ほどまでキーキー金切声を上げて暴れ回っていたくせに。」

リーダーが、あきれたように言う。

「ヤダっこの不気味な猫まだいたんだ。シッシッあっち行ってよ。
アロイス様ぁ~この猫言葉をしゃべれてきみが悪いんですよ。」

「それは申し訳ない。俺のせいでもあるんだよな。リーダーが話せるのは。


俺は立ち上がり彼女と距離を取るとリーダーの隣に立つ。

(そなたのおかげで力が有り余っているからな。)

(そりゃ何より。ってかなんでコイツがここにいんだよ?)

(あの女が不要になってまた放り込んだんだろ。)

(はぁ~めんどくせぇ。コイツまで連れて出なきゃなんねーのか。)

リーダーはタッとジャンプして俺の肩に乗ってくる。

(置いて行けばよかろう。嫌ならばな。)

(そうもいかねーだろ。)

はぁっとため息をつく俺の右腕にロベリアがピッタリくっついてくる。

「アロイス様ぁ、どうなさったんですか?黙り込んじゃって。」

「いや、まさかハフス嬢がこちらにいらっしゃるとは思わず少し驚いてしまいました。」

我ながら作り笑顔が上達したなと思いつつ彼女の手を取る。

「どこかお怪我は?」

ロベリアは頬を染めキュッと手を握ってきた。

「そ、そういえば。何だか乱暴に掴まれたから腕が痛いし胸もドキドキしておかしいんです。
あっでもこれはアロイス様にお会いしたか…」

「それはいけない!」

俺は強引にロベリアの手を引く。

「さぁ、早くここに横になって。」

「ちょっちょっ、最後まで聞いてよ。じゃなかった。聞いてくださいませんか?アロイス様。」

俺はアンディーブから見て盗んだとっておきの笑顔を浮かべる。

「もちろんです。でもか弱いレディに辛い思いをさせたままお話しを聞くわけにはいかないでしょう。」

ロベリアはポーッとしたまま俺が横たわっていた霧を固めたソファに腰をおろす。

「さぁ。横になって休んでください。」

「ええ~でも~殿方の前で横になるのはちょっと…」

ああーイライラする!イライラする!!
大人しく横になれよ!

俺の気持ちを察してリーダーが俺の肩からロベリアの足元に着地する。

「きゃあ!気持ち悪い!ちょっこないでよ!」

飛びのいたロベリアがうまい具合にソファに足をあげる。

リーダーは涼しい顔でソファの前をウロウロしてみせロベリアは渋々ソファに横になった。

「おっしゃる通りにしましたわ。…アロイス様…私…と…お話し………」

声は少しずつ小さくなりすぐに寝息が聞こえてくる。

「お見事。」

リーダーが再び俺の肩に飛び乗る。

霧はみるみるロベリアを包んでいき姿が見えなくなる。

「はぁ、やれやれ。ヒーローを演じるのも楽じゃないな。」

ニヤリと笑顔を浮かべる俺にリーダーが首をかしげている。

「ヒーロー?どちらかと言うと悪役ではないか?」

「なんだよひでーな。てかこのソファ誘眠効果付きなのか。便利だな~戻ったら陛下に勧めてみようかな。
で、アイツらは?」

俺の言葉が聞こえていたかのようにもはや聞き慣れた唸り声が近づいてくる。
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