166 / 247
第三章 魔法学園
淑戦部の裏の顔?
しおりを挟む
アスターさんが言ったネズミ…という言葉に私たちはピシッと姿勢をただす。
「皆さんはあの女のことはもちろんご存知でしょう?」
「えぇっと…ハフスさんたちをお世話していた侍女…ですよね?」
アスターさんの目が怖くて恐る恐る口にする。
アスターさんはそんな私に向かって苦笑いを浮かべ軽くうなずいた。
「そうですわ。
まぁ、家に鼠、国に盗人と申しますし彼女のような存在がいるのは仕方がないこと。と多少好きにさせていたのが間違いでした。」
膝に置かれたアスターさんの手がギュッと握られ震えている。
「あの女を捕まえてロベリア・ハフスを早急に見つけなければ私のかわいい後輩が国外に追放されてしまいますわ。」
「かわいい後輩?」
首をかしげる私たちにソリーさんがお茶菓子を配りながら説明してくれる。
「前年度まで淑戦に所属されていた私と同学年だったカディナ・ハフスさん。ロベリア嬢のお姉様です。」
「お姉様が淑戦に所属していたんですか?あの結婚が決まって学園をお辞めになったという?」
私の言葉にアスターさんはコクリとうなずく。
「カディナさんもとても素質のある方で文武にも長けていたし私としては学園を続けて欲しかったのですが、婚約者の方の強い要望でお辞めになったのです。
全く一人では満足に当主教育もこなせないような婿を迎えなければいけないなんてカディナもかわいそうに。」
後半は声が小さくてハッキリとは聞こえなかったけどアスターさんはカディナさんの結婚や退学を良く思っていないみたいだ。
「アスターさんはもしかして、カディナさんの結婚話が立ち消えることを期待なさってロベリアさんや侍女を野放しになさっていらしたのですか?」
珍しくセーラが口を開く。
アスターさんはちょっと肩をすくめて紅茶を一口飲んだ。
「どうでしょう。そうなればいいと思わなかったかと問われれば否ですわ。カディナにはもっと似合いの方と連れ添って欲しいし、結婚はもうしばらく待って一緒に働いてほしかったですから。」
「働く?」
今度はルルが首をかしげて尋ねた。
アスターさんはぐるりと私たちを見回してから紅茶をソーサーに戻して両手を組んだ。
「淑戦部はより淑女らしい礼儀作法を学び、なおかつ自身の身を守る護身術を学ぶ部活動と表向きはなっています。」
そうなんだ。知らなかった。見学に来た時からそんな雰囲気じゃなかった気がするけどな~
「退屈そうな部活動ですから見学に来る方も稀です。当然ですわよね、わざとそうしているんですから。
私たちは仲間になってくださりそうな人を選んで遠回しに勧誘しているんです。」
「仲間?ですか?」
どうしよう、何だか怖くなってきた。ルルも警戒するようにジッとアスターさんを見つめている。
「そんなに警戒なさらないで。あの女のようなおかしな宗教まがいのものではなくってよ。」
ふふっと小指を唇にあてて笑う姿は可憐な少女そのものに見えるけど…
「私たちは王家の影となるべく訓練を受ける候補生なのですわ。」
王家の影?
首をかしげる私と違いイライザが身を乗り出した。
「聞いたことがありますわ。使用人たちの中に紛れて活動する王家に絶対服従でありいかなる時も王家の方々の命をお守りする先鋭集団。」
アスターさんはイライザの言葉に花がほころんだかのような笑顔を浮かべてうなずいた。
「皆さんはあの女のことはもちろんご存知でしょう?」
「えぇっと…ハフスさんたちをお世話していた侍女…ですよね?」
アスターさんの目が怖くて恐る恐る口にする。
アスターさんはそんな私に向かって苦笑いを浮かべ軽くうなずいた。
「そうですわ。
まぁ、家に鼠、国に盗人と申しますし彼女のような存在がいるのは仕方がないこと。と多少好きにさせていたのが間違いでした。」
膝に置かれたアスターさんの手がギュッと握られ震えている。
「あの女を捕まえてロベリア・ハフスを早急に見つけなければ私のかわいい後輩が国外に追放されてしまいますわ。」
「かわいい後輩?」
首をかしげる私たちにソリーさんがお茶菓子を配りながら説明してくれる。
「前年度まで淑戦に所属されていた私と同学年だったカディナ・ハフスさん。ロベリア嬢のお姉様です。」
「お姉様が淑戦に所属していたんですか?あの結婚が決まって学園をお辞めになったという?」
私の言葉にアスターさんはコクリとうなずく。
「カディナさんもとても素質のある方で文武にも長けていたし私としては学園を続けて欲しかったのですが、婚約者の方の強い要望でお辞めになったのです。
全く一人では満足に当主教育もこなせないような婿を迎えなければいけないなんてカディナもかわいそうに。」
後半は声が小さくてハッキリとは聞こえなかったけどアスターさんはカディナさんの結婚や退学を良く思っていないみたいだ。
「アスターさんはもしかして、カディナさんの結婚話が立ち消えることを期待なさってロベリアさんや侍女を野放しになさっていらしたのですか?」
珍しくセーラが口を開く。
アスターさんはちょっと肩をすくめて紅茶を一口飲んだ。
「どうでしょう。そうなればいいと思わなかったかと問われれば否ですわ。カディナにはもっと似合いの方と連れ添って欲しいし、結婚はもうしばらく待って一緒に働いてほしかったですから。」
「働く?」
今度はルルが首をかしげて尋ねた。
アスターさんはぐるりと私たちを見回してから紅茶をソーサーに戻して両手を組んだ。
「淑戦部はより淑女らしい礼儀作法を学び、なおかつ自身の身を守る護身術を学ぶ部活動と表向きはなっています。」
そうなんだ。知らなかった。見学に来た時からそんな雰囲気じゃなかった気がするけどな~
「退屈そうな部活動ですから見学に来る方も稀です。当然ですわよね、わざとそうしているんですから。
私たちは仲間になってくださりそうな人を選んで遠回しに勧誘しているんです。」
「仲間?ですか?」
どうしよう、何だか怖くなってきた。ルルも警戒するようにジッとアスターさんを見つめている。
「そんなに警戒なさらないで。あの女のようなおかしな宗教まがいのものではなくってよ。」
ふふっと小指を唇にあてて笑う姿は可憐な少女そのものに見えるけど…
「私たちは王家の影となるべく訓練を受ける候補生なのですわ。」
王家の影?
首をかしげる私と違いイライザが身を乗り出した。
「聞いたことがありますわ。使用人たちの中に紛れて活動する王家に絶対服従でありいかなる時も王家の方々の命をお守りする先鋭集団。」
アスターさんはイライザの言葉に花がほころんだかのような笑顔を浮かべてうなずいた。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
ある公爵令嬢の生涯
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。
妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。
婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。
そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが…
気づくとエステルに転生していた。
再び前世繰り返すことになると思いきや。
エステルは家族を見限り自立を決意するのだが…
***
タイトルを変更しました!
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
完 あの、なんのことでしょうか。
水鳥楓椛
恋愛
私、シェリル・ラ・マルゴットはとっても胃が弱わく、前世共々ストレスに対する耐性が壊滅的。
よって、三大公爵家唯一の息女でありながら、王太子の婚約者から外されていた。
それなのに………、
「シェリル・ラ・マルゴット!卑しく僕に噛み付く悪女め!!今この瞬間を以て、貴様との婚約を破棄しゅるっ!!」
王立学園の卒業パーティー、赤の他人、否、仕えるべき未来の主君、王太子アルゴノート・フォン・メッテルリヒは壁際で従者と共にお花になっていた私を舞台の中央に無理矢理連れてた挙句、誤り満載の言葉遣いかつ最後の最後で舌を噛むというなんとも残念な婚約破棄を叩きつけてきた。
「あの………、なんのことでしょうか?」
あまりにも素っ頓狂なことを叫ぶ幼馴染に素直にびっくりしながら、私は斜め後ろに控える従者に声をかける。
「私、彼と婚約していたの?」
私の疑問に、従者は首を横に振った。
(うぅー、胃がいたい)
前世から胃が弱い私は、精神年齢3歳の幼馴染を必死に諭す。
(だって私、王妃にはゼッタイになりたくないもの)
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる