162 / 247
第三章 魔法学園
噂の人物が目覚めます
しおりを挟む
ドシンっと盛大に尻餅をついて思わずイッテーと大声が出た。
痛みで目の前がチカチカしていたのが徐々におさまってくる。
ひんやりとした空間。岩の天井から絶え間なく雫があちこちから落ち、おそらく唯一濡れない場所だった巨大な平たい岩の上にたっぷりとしかれた枯葉とずり落ちた柔らかく温かい毛皮の敷き物。
ここに寝かされていた俺は毛皮ごと転がり落ちたらしい。
剥き出しのごつごつした天然石の地面に打ちつけた全身が痛い。
起きあがろうとしたけど痛いし身体が固まっているらしく動けない。
しばらくボーっと横たわったまま鍾乳洞のように尖った先から落ちてくる雫を眺める。
俺をここに隠せたということはソーマもおそらく無事なんだろう。
俺は日に焼けた人懐っこい暖かな笑顔を思い出す。
およそ一国の皇子らしくない見た目に性格もあっけらかんとしていて皇帝候補に示唆されて本人が一番困惑しているようだった。
宮廷内の足の引っ張り合いや企みに嬉々として参加するような性格ではなさそうだ。ルルの方がよっぽど策士に向いている。
ソーマはゲームではチラッとしか出てこなかった。エドワードルートの悪役として出てくるルルがヒロインをいじめ倒してでもエドワードの婚約者。王妃の座を狙った理由がソーマ皇子の帝国内での地位を確立するためだった。という事実が発覚、ヒロインが他のルートを選べば二人は和解しルルはエドワードと結婚。
でも残念ながらヒロインがエドワードとの好感度をある一定のところまであげるとソーマ皇子死去の知らせが届き廃人のようになったルルは帝国へと帰国。他国に人質同然で嫁がされる。
ちなみに自身の義理の姉がヒロインになるなんて許せないとルルの右腕よろしくヒロインに嫌がらせをしていたリノアは悪事が露見してルルと共に帝国へ送られルルの侍女として仕えるが帝国にいる間に暗殺される。ルルはエドワードルート以外では王妃になるハッピー?エンドなのにリノアだけはなぜこうも死に行く運命なのだろうか…
そんなことをつらつらと考えていたら目の前にずいぶんと透けた姿のリーダーがひょっこり現れた。
(大丈夫か?)
(あれ、リーダーずいぶん半端な姿だな)
(言い得て妙だ。
そなたの魔力量が足りなかったので力と実体のほとんどを彼方に置いてきた。
早く起き上がって魔力を注いでくれ)
(俺への扱い酷くない?
痛くて立ち上がれないんですけど…)
リーダーは長いしっぽをクルクル回してうっすらと笑ったような顔になる。
(我らの苦悩や葛藤をいともたやすく覆すと申したのだ。多少の八つ当たりぐらい多めに見よ。)
(ちぇっ。悪かったよ。もっと言い方を考えるべきだった。にしても本当に今動けないんだ。)
(癒しの力を使えばよいではないか。お主のマントに縫い付けられておる。)
俺は首だけ動かしてマントの裾、マリーが直してくれた部分を眺めた。確かにあの時、もしもの時の為に癒しの魔力のカケラを縫い込んでくれていた。
(いや~何か勿体なくてさ。今じゃないんじゃないかと思っちゃって使えないんだよな~)
(今使え。グズグズしているとあの女に見つかって厄介なことになるぞ)
リーダーがそう脅すから渋々俺はマントについた魔力のカケラを自分の中に取り込む。
じんわりと暖かく優しい熱が広がって強ばり固まっていた身体がみるみる軽くなる。
(さっすがマリー速攻で効くな。)
俺はスッと立ち上がって伸びをした。
清々しい気分だ。
ぐるっと辺りを見回すとどうやら滝の裏側にある洞窟らしい。光が差し込んできている側が緩くカーブしているから見えはしないけど滝が流れ落ちる音が聞こえている。
(さっさとしてくれ。あの女に見つからぬ様少ない力を駆使して気配を消してやっているのだぞ?)
フワフワと透けたリーダーが近づいてきて俺の額に自分の額をくっつけてきた。
俺は目を閉じてリーダーの体に力を注ぎ込む。リーダーの小さな体はすぐに魔力で満たされたけどどうも魔力の循環がうまく行っていない箇所がある。
ちょうど心臓の辺りだ。冷え切って強ばり固まったようなその箇所に自分の中に滞留していた癒しの魔力を移しこむ。
目を閉じていても分かるくらい強い光が数秒間輝き続けた。
痛みで目の前がチカチカしていたのが徐々におさまってくる。
ひんやりとした空間。岩の天井から絶え間なく雫があちこちから落ち、おそらく唯一濡れない場所だった巨大な平たい岩の上にたっぷりとしかれた枯葉とずり落ちた柔らかく温かい毛皮の敷き物。
ここに寝かされていた俺は毛皮ごと転がり落ちたらしい。
剥き出しのごつごつした天然石の地面に打ちつけた全身が痛い。
起きあがろうとしたけど痛いし身体が固まっているらしく動けない。
しばらくボーっと横たわったまま鍾乳洞のように尖った先から落ちてくる雫を眺める。
俺をここに隠せたということはソーマもおそらく無事なんだろう。
俺は日に焼けた人懐っこい暖かな笑顔を思い出す。
およそ一国の皇子らしくない見た目に性格もあっけらかんとしていて皇帝候補に示唆されて本人が一番困惑しているようだった。
宮廷内の足の引っ張り合いや企みに嬉々として参加するような性格ではなさそうだ。ルルの方がよっぽど策士に向いている。
ソーマはゲームではチラッとしか出てこなかった。エドワードルートの悪役として出てくるルルがヒロインをいじめ倒してでもエドワードの婚約者。王妃の座を狙った理由がソーマ皇子の帝国内での地位を確立するためだった。という事実が発覚、ヒロインが他のルートを選べば二人は和解しルルはエドワードと結婚。
でも残念ながらヒロインがエドワードとの好感度をある一定のところまであげるとソーマ皇子死去の知らせが届き廃人のようになったルルは帝国へと帰国。他国に人質同然で嫁がされる。
ちなみに自身の義理の姉がヒロインになるなんて許せないとルルの右腕よろしくヒロインに嫌がらせをしていたリノアは悪事が露見してルルと共に帝国へ送られルルの侍女として仕えるが帝国にいる間に暗殺される。ルルはエドワードルート以外では王妃になるハッピー?エンドなのにリノアだけはなぜこうも死に行く運命なのだろうか…
そんなことをつらつらと考えていたら目の前にずいぶんと透けた姿のリーダーがひょっこり現れた。
(大丈夫か?)
(あれ、リーダーずいぶん半端な姿だな)
(言い得て妙だ。
そなたの魔力量が足りなかったので力と実体のほとんどを彼方に置いてきた。
早く起き上がって魔力を注いでくれ)
(俺への扱い酷くない?
痛くて立ち上がれないんですけど…)
リーダーは長いしっぽをクルクル回してうっすらと笑ったような顔になる。
(我らの苦悩や葛藤をいともたやすく覆すと申したのだ。多少の八つ当たりぐらい多めに見よ。)
(ちぇっ。悪かったよ。もっと言い方を考えるべきだった。にしても本当に今動けないんだ。)
(癒しの力を使えばよいではないか。お主のマントに縫い付けられておる。)
俺は首だけ動かしてマントの裾、マリーが直してくれた部分を眺めた。確かにあの時、もしもの時の為に癒しの魔力のカケラを縫い込んでくれていた。
(いや~何か勿体なくてさ。今じゃないんじゃないかと思っちゃって使えないんだよな~)
(今使え。グズグズしているとあの女に見つかって厄介なことになるぞ)
リーダーがそう脅すから渋々俺はマントについた魔力のカケラを自分の中に取り込む。
じんわりと暖かく優しい熱が広がって強ばり固まっていた身体がみるみる軽くなる。
(さっすがマリー速攻で効くな。)
俺はスッと立ち上がって伸びをした。
清々しい気分だ。
ぐるっと辺りを見回すとどうやら滝の裏側にある洞窟らしい。光が差し込んできている側が緩くカーブしているから見えはしないけど滝が流れ落ちる音が聞こえている。
(さっさとしてくれ。あの女に見つからぬ様少ない力を駆使して気配を消してやっているのだぞ?)
フワフワと透けたリーダーが近づいてきて俺の額に自分の額をくっつけてきた。
俺は目を閉じてリーダーの体に力を注ぎ込む。リーダーの小さな体はすぐに魔力で満たされたけどどうも魔力の循環がうまく行っていない箇所がある。
ちょうど心臓の辺りだ。冷え切って強ばり固まったようなその箇所に自分の中に滞留していた癒しの魔力を移しこむ。
目を閉じていても分かるくらい強い光が数秒間輝き続けた。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
婚約破棄ならもうしましたよ?
春先 あみ
恋愛
リリア・ラテフィール伯爵令嬢の元にお約束の婚約破棄を突き付けてきたビーツ侯爵家嫡男とピピ男爵令嬢
しかし、彼等の断罪イベントは国家転覆を目論む巧妙な罠!?…だったらよかったなぁ!!
リリアの親友、フィーナが主観でお送りします
「なんで今日の今なのよ!!婚約破棄ならとっくにしたじゃない!!」
………
初投稿作品です
恋愛コメディは初めて書きます
楽しんで頂ければ幸いです
感想等いただけるととても嬉しいです!
2019年3月25日、完結致しました!
ありがとうございます!
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした
ひなクラゲ
恋愛
突然ですが私は転生者…
ここは乙女ゲームの世界
そして私は悪役令嬢でした…
出来ればこんな時に思い出したくなかった
だってここは全てが終わった世界…
悪役令嬢が断罪された後の世界なんですもの……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる