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第三章 魔法学園
噂の人物は囲まれてます
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モヤが立ち込めた世界。不穏な気配に囲まれながら考える。
先ほどの女。確かに偽ニリーナだった。だとしたら何で俺たちの前世を知ってるんだ?
それに、これ。
俺は自分の手元を見下ろす。
どうやら先ほどの世界はただの幻覚ってわけじゃなさそうだ。
モヤが少しずつ晴れてきて鼻にツンとくる異臭がする。
「グルルルル」
獣の唸り声が自分を中心にすぐ側をまわっている。どうやら一匹や二匹ではなさそうだ。
息づかいが聞こえるほど近づいて来た時その姿がはっきりと見えてきた。
黒と白のまだらな毛色や真っ黒なもの、灰色がかったもの。足がおかしな形に曲がってしまったもの。目が見えていないようなもの。牙が異様に大きいもの。
四つ足で歩き唸り声をあげる彼らは皆どこかサバニアタイガーやヴェルフィアウルフの面影が感じられる。
唸り声をあげ、襲いかかるタイミングをはかっている彼らの後ろに小型犬ほどの大きさの真っ黒な毛色をしたサバニアタイガーが前足を綺麗に揃えて座っている。額からは幼いヴェルフィアウルフが持つものによく似た角が突き出しているが、その眼差しは隙が無く幼い様子が感じられない。
俺はジッとそいつに視線を向けた。
あちらもつり上がった鋭い眼差しで見つめ返す。
おれの周りを回っている奴は全部で8頭。
時折焦れたようにシュッと前足を出したりする奴もいるが奥にいる黒いサバニアタイガーがそのたびにピクリとヒゲを動かして牽制しているようだ。
(俺は争いを好まない。お前たちに危害を加えるつもりもない。)
襲いかかられる前に念話を試みる。
俺の周りを回っていた奴らはその瞬間飛びすさり腰が引けながらも唸り声をあげる。
念話を聞き取ることはできても自分から語れはしないのか?
俺はジッと奥に座る黒い奴を見続ける。あいつはおそらく念話ができるはずだ。
しばらく互いに微動だにせず見つめ合いが続いたが向こうが諦めたように後ろ足で耳をカリカリっとかいてからフンっと鼻を鳴らした。
(ずいぶん自信ありげだが我らに勝つ算段があるのか?)
ゆったりとした年配の男性の声だ。一瞬マリーの祖父さんくらいの男性が思い浮かんだ。
(算段というか…まぁ勝ち目はあると思ってる。
でもさっきから言ってるように誰かを傷付けるのはあまり好きじゃない。傷つけられるのもね。)
(ふむ…)
奴は艶やかな漆黒の長い尻尾をパタッパタッと動かしながら何やら考えこんでいる。
一方で唸り声をあげていた一匹が焦れたように異常に大きな口をクワッと開けて迫ってきた。
びっしりと並んだ歯が上下とも二重に並んでいる。
俺はとっさに右手に握りしめていたものに少ししか出せない魔力を注ぎ込む。
シュンッと音がして右手に立派な剣が現れる。
両刃で刃の幅が広く手元に近い中心に真っ黒の玉が埋め込まれていて縁が虹色に光を放っている。
「おぉ。」
思わず自分でも驚きの声が出てしまった。
そして向かってきた奴の首の付け根を平打ちする。
加減はしたつもりだけど相手は吹っ飛び地面に叩きつけられ伸びてしまった。
唸り声をあげていた奴らがビクッと一二歩遠ざかる。
伸びたやつに近づき体を舐めてクンクン言っている奴もいてなんだか罪悪感が湧き上がる。
それまで悠長にしていた黒い奴が目を瞬かせてからゆっくりと立ち上がりトコトコとこちらに進んできて俺の目の前に座った。
俺の周囲で唸っていた奴らも黒い奴の後ろに集まり疑うような警戒するような目を向けてくる。
(なるほどなるほど、この世界にいながらにしてそれほどの力を使えるというわけか。)
(いや、うん。まぁ、俺も知らなかった。)
(?まぁよい。そなた、我らを傷つけたくはないと申しておったな。)
(ああ。できれば静かにここから出たい。)
黒い奴が振り返りながら尻尾をピシッと地面に打ちつけると他の奴らは緊迫した空気を解いて今度は珍しいものを見るような眼差しで俺を見てくる。
(ならば出口へと案内いたそう。着いてまいれ)
スッと立ち上がり歩き始めた奴の後を追い後ろにゾロゾロ引き連れて俺は歩き始めた。
先ほどの女。確かに偽ニリーナだった。だとしたら何で俺たちの前世を知ってるんだ?
それに、これ。
俺は自分の手元を見下ろす。
どうやら先ほどの世界はただの幻覚ってわけじゃなさそうだ。
モヤが少しずつ晴れてきて鼻にツンとくる異臭がする。
「グルルルル」
獣の唸り声が自分を中心にすぐ側をまわっている。どうやら一匹や二匹ではなさそうだ。
息づかいが聞こえるほど近づいて来た時その姿がはっきりと見えてきた。
黒と白のまだらな毛色や真っ黒なもの、灰色がかったもの。足がおかしな形に曲がってしまったもの。目が見えていないようなもの。牙が異様に大きいもの。
四つ足で歩き唸り声をあげる彼らは皆どこかサバニアタイガーやヴェルフィアウルフの面影が感じられる。
唸り声をあげ、襲いかかるタイミングをはかっている彼らの後ろに小型犬ほどの大きさの真っ黒な毛色をしたサバニアタイガーが前足を綺麗に揃えて座っている。額からは幼いヴェルフィアウルフが持つものによく似た角が突き出しているが、その眼差しは隙が無く幼い様子が感じられない。
俺はジッとそいつに視線を向けた。
あちらもつり上がった鋭い眼差しで見つめ返す。
おれの周りを回っている奴は全部で8頭。
時折焦れたようにシュッと前足を出したりする奴もいるが奥にいる黒いサバニアタイガーがそのたびにピクリとヒゲを動かして牽制しているようだ。
(俺は争いを好まない。お前たちに危害を加えるつもりもない。)
襲いかかられる前に念話を試みる。
俺の周りを回っていた奴らはその瞬間飛びすさり腰が引けながらも唸り声をあげる。
念話を聞き取ることはできても自分から語れはしないのか?
俺はジッと奥に座る黒い奴を見続ける。あいつはおそらく念話ができるはずだ。
しばらく互いに微動だにせず見つめ合いが続いたが向こうが諦めたように後ろ足で耳をカリカリっとかいてからフンっと鼻を鳴らした。
(ずいぶん自信ありげだが我らに勝つ算段があるのか?)
ゆったりとした年配の男性の声だ。一瞬マリーの祖父さんくらいの男性が思い浮かんだ。
(算段というか…まぁ勝ち目はあると思ってる。
でもさっきから言ってるように誰かを傷付けるのはあまり好きじゃない。傷つけられるのもね。)
(ふむ…)
奴は艶やかな漆黒の長い尻尾をパタッパタッと動かしながら何やら考えこんでいる。
一方で唸り声をあげていた一匹が焦れたように異常に大きな口をクワッと開けて迫ってきた。
びっしりと並んだ歯が上下とも二重に並んでいる。
俺はとっさに右手に握りしめていたものに少ししか出せない魔力を注ぎ込む。
シュンッと音がして右手に立派な剣が現れる。
両刃で刃の幅が広く手元に近い中心に真っ黒の玉が埋め込まれていて縁が虹色に光を放っている。
「おぉ。」
思わず自分でも驚きの声が出てしまった。
そして向かってきた奴の首の付け根を平打ちする。
加減はしたつもりだけど相手は吹っ飛び地面に叩きつけられ伸びてしまった。
唸り声をあげていた奴らがビクッと一二歩遠ざかる。
伸びたやつに近づき体を舐めてクンクン言っている奴もいてなんだか罪悪感が湧き上がる。
それまで悠長にしていた黒い奴が目を瞬かせてからゆっくりと立ち上がりトコトコとこちらに進んできて俺の目の前に座った。
俺の周囲で唸っていた奴らも黒い奴の後ろに集まり疑うような警戒するような目を向けてくる。
(なるほどなるほど、この世界にいながらにしてそれほどの力を使えるというわけか。)
(いや、うん。まぁ、俺も知らなかった。)
(?まぁよい。そなた、我らを傷つけたくはないと申しておったな。)
(ああ。できれば静かにここから出たい。)
黒い奴が振り返りながら尻尾をピシッと地面に打ちつけると他の奴らは緊迫した空気を解いて今度は珍しいものを見るような眼差しで俺を見てくる。
(ならば出口へと案内いたそう。着いてまいれ)
スッと立ち上がり歩き始めた奴の後を追い後ろにゾロゾロ引き連れて俺は歩き始めた。
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