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第三章 魔法学園

浄化魔法って意外に危険です

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「ニリーナ様!」

私がベンチに駆け寄ろうとすると、

「「「ニリーナ様?!」」」

と皆んなが驚きの声をあげる。そっか、ディルと私以外はニリーナ様と面識ないもんね。

「ま、マリー。ニリーナ様ってニリーナ様ってあの賢者ニリーナ様?」

イライザが私の肩をつかむ。痛いよイライザ。

「え?そうだよ。アロイスのお師匠様でもある。賢者ニリーナ様。」

「う…そでしょ。アロイス様がどなたかに師事していらっしゃるとは聞いていましたがまさかニリーナ様に…」

あれ?皆んなには言ってなかったっけ?

「あぁ、面倒だから私がアロイスを鍛えてる話は内密で頼むよ。
滅多に鍛えてやろうなんて気にはならないからさ。」

私にくっついて皆んなもニリーナ様の側に近づく。

「まぁでも上手いことやったじゃないか。生徒たちに染み込んでた毒気だけ抜いて。」

「でも、かえって怖いんです。
私ははっきり覚えてるのに皆んなは何だか他人事みたいで…」

「あぁ、もっと強く浄化すりゃ皆んな泣いて謝ってきたかもね。許しを乞いお前の信者みたいになっちまったかも。それこそ洗脳みたいにね。それが魅了魔法と混同される原因でもあるけど。
人の感情や心に影響を与える魔法はさじ加減が難しいもんさ。」

想像してブルッと身震いしてしまう。
他人事にされてる方がマシかな。

「浄化って私いつも肩こりをとったり傷口を消毒するのに使ってました…あと緊張をほぐしたり、頭がモヤモヤしてる時とか…」

「ケッ贅沢な使い方してんね。まぁそれで問題が起きてないんだから上手く自分で調整できてたんだろ。」

「あ、でもこないだイライザを気絶させてしまって…」

私がそっとイライザを横目で見るとイライザはブンブン首を横に振っている。

「あれはもともと寝不足だったのですわ。
急に緊張が抜けて眠ってしまっただけで気絶ではありません。」

「まぁ、後遺症もなさそうだし。大丈夫じゃないかい?にしてもあんたみたいな若いお嬢さんが寝不足たぁね。美容に良くないと周りに騒がれそうなもんだ。」

ニリーナ様にジッと見つめられてイライザは何故か顔を青ざめさせて緊張で固まっている。

ニリーナ様はしばらくそうした後、ニヤッと笑ってまた煙管を口にくわえた。

「なるほど、あんた真面目で思い詰めやすそうだ。自分で悪い方にばっかり考えてね。

もっと周りを信じてちゃんと打ち明けるんだね。黙り込んでちゃ今回みたいに変にこじれるばっかりだ。」

「は、はい。分かりました。」

イライザは何度もガクガクうなずいている。

「レディー・ランタナ。あんたもだ。一人で足掻いて変な方向へ突っ走るんじゃないよ。まぁそろいもそろって大人に頼らない子供ばっかりだね。
自分の親じゃなくたっていいんだ相談できる大人の1人や2人ぐらい確保しとくんだね。」

二人そろってキラキラした眼差しがニリーナ様に向けられる。

「あ~無駄無駄。あたしを頭数に入れんじゃないよ。
面倒ごとはデェっ嫌いさ。子供の色恋沙汰なんざつゆ程も興味ないし。」

「色恋沙汰?!」

驚いて二人を見るとルルは無表情だけどイライザは真っ赤になって慌てている。

「色、色、色恋沙汰なんて!何のことでしょう?」

「心当たりがないなら結構。とにかく、頼るんならあたしじゃなくて他をあたっとくれ。
私は図体だけでかくなった奴らの尻拭いで忙しいんだよ。全くどいつもこいつも面倒ごとばっかり持ち込んできやがって。
あのバカ弟子も探さにゃならないしね。」

「アロイス!私も探しに…」

「あ~やめやめ。あんたが動くと余計なことが増えるから大人しくしてな。
大丈夫、命に別状はない。それは保証してやらあね。
むしろ体力がどんどん回復してるみたいなのさ。全く姿くらませて何してんだか。」

ニリーナ様は胸元から懐中時計のような物を引っ張り出してパカっと蓋を開き首をかしげている。

あれにどうやらアロイスの状態が見えているらしい。
ホッとしたけど、どこにいっちゃったんだろう…アロイス。
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