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第三章 魔法学園
事件発生です 2
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しゃがみ込んでいたハフスさんが驚くべき早さで立ち上がりカミル先生の胸にすがりつく。
「私はただルルシア皇女様におかげんを伺っていただけです。
そうしたら急にスリジェさんが怒って魔法で襲おうとしたんです。」
「はぁ?」
カミル先生はハフスさんの言葉に首をかしげている。
どうやら彼女の言葉を信じてはいないみたい。
「本当なんです。私は何もしてないのに。」
ハフスさんはカミル先生にくっついたままもう一人の先生にもキラキラした涙目で訴えている。
「本当で~す。スリジェさんがハフスさんに詰め寄ってんのを皆んな見てました。なぁ。」「ああ。」「すごい剣幕だったよね。」
クラスメイトが不自然な大声で騒ぐ中、
「違います!」「違う!」
っと必死に声をあげるセーラーとルルがいる。こちらに来ようとするのを阻止されているみたいだ。
「はぁ、全くいつかこんな騒ぎをひきおこすんじゃないかと思っていた。」
ガシッと強い力で腕を掴まれる。
「来なさい。学園内では身分は関係ない。周りに危険を及ぼす生徒は皆隔離しなきゃならん。」
あまりに唐突な展開に私は言葉を失ってしまう。
「ベルン先生、まずはマリーベル・スリジェの言い分も聞くべきでは?」
ハフスさんを引き離してカミル先生が私の腕を掴む先生の手を押さえて言ってくれる。
ベルン先生?なんの科目の先生だろう?
「そんなものは塔に隔離した後だ。かわいそうにこんなに震えているじゃないか。被害者の前でするべきことじゃない!」
ベルン先生はハフスさんを心配そうに見つめてから私の腕をグイッとひっぱる。
急に引っ張られたからバランスを崩して私は引きずられるように扉の方へ連れて行かれる。
「いい気味だ。」
憎々しげな声が背中にかけられる。何で?何でこんなに嫌われてるんだろう。私、何かした?クラスメイトとはいえほとんど関わったことない人ばかりなのに…
泣きそうになるけどグッと歯を食いしばる。
その時、戸口に息を切らせたディルが現れた。
「はぁ、はぁ、お待ち下さい。」
「なんだ、ディル・スリジェ。妹の不始末をもう聞きつけてきたのか?」
ディルはきっと顔を引き締める。
「マリーベルが何かしたのでしょうか?」
「何かしたか?お前の耳にも入っているだろう。日ごろから魔法を使って人を脅したり心を惑わせたりやりたい放題だと報告が入っている。今日はクラスメイトの一人を魔法で襲おうとしたそうだ。まったく。」
「ディル様…本当なんです。私、怖かった。」
ハフスさんがディルに訴えている。
「そんな話僕は耳にした事はありません。」
「そりゃ兄貴だからな。お前も既に魔力で操られているのかもしれない。魅了の魔力を使うことができるともっぱらの噂だ。」
「えぇ!うっそー」「マジかよ。魅了の魔力って本当にあるんだ。」「ってかそんなんで仲間作るとかマジで終わってんな。」「光の魔力ってそんなこともできるんだ。すげーでもこわっ」
ベルン先生の言葉でクラスが再び騒がしくなる。
「そんな噂はデタラメです。光の魔力に詳しい先生をお呼びするべきです。」
「わかったわかった後でな。とにかく騒ぎを起こした以上塔に入ってもらう。話は隔離したその場所で行う。そこをどきなさい。」
「どうしても塔に連れて行くとおっしゃるのなら僕も同行させてください。マリーは逃げたりしません。その手を離してください。」
ベルン先生はうるさそうにチッと舌打ちをすると
「魔力を使っても無駄だからな。」
と凄んでから突き放すように腕を離した。
ディルが優しく背後から受け止めてくれて真っ赤になった腕を痛々しそうに眺め肩を抱いてくれた。
「イチャついてないでさっさと来い!」
ベルン先生とカミル先生に前後を挟まれて私はディルと共に歩き出した。
頭は大パニックで皆んなから浴びせられた言葉が頭の中をぐるぐる回っている。
「大丈夫。大丈夫だからね、マリー。」
肩を抱いて歩いてくれるディルの温もりだけを力に私はとぼとぼと前に進むしかなかった。
「私はただルルシア皇女様におかげんを伺っていただけです。
そうしたら急にスリジェさんが怒って魔法で襲おうとしたんです。」
「はぁ?」
カミル先生はハフスさんの言葉に首をかしげている。
どうやら彼女の言葉を信じてはいないみたい。
「本当なんです。私は何もしてないのに。」
ハフスさんはカミル先生にくっついたままもう一人の先生にもキラキラした涙目で訴えている。
「本当で~す。スリジェさんがハフスさんに詰め寄ってんのを皆んな見てました。なぁ。」「ああ。」「すごい剣幕だったよね。」
クラスメイトが不自然な大声で騒ぐ中、
「違います!」「違う!」
っと必死に声をあげるセーラーとルルがいる。こちらに来ようとするのを阻止されているみたいだ。
「はぁ、全くいつかこんな騒ぎをひきおこすんじゃないかと思っていた。」
ガシッと強い力で腕を掴まれる。
「来なさい。学園内では身分は関係ない。周りに危険を及ぼす生徒は皆隔離しなきゃならん。」
あまりに唐突な展開に私は言葉を失ってしまう。
「ベルン先生、まずはマリーベル・スリジェの言い分も聞くべきでは?」
ハフスさんを引き離してカミル先生が私の腕を掴む先生の手を押さえて言ってくれる。
ベルン先生?なんの科目の先生だろう?
「そんなものは塔に隔離した後だ。かわいそうにこんなに震えているじゃないか。被害者の前でするべきことじゃない!」
ベルン先生はハフスさんを心配そうに見つめてから私の腕をグイッとひっぱる。
急に引っ張られたからバランスを崩して私は引きずられるように扉の方へ連れて行かれる。
「いい気味だ。」
憎々しげな声が背中にかけられる。何で?何でこんなに嫌われてるんだろう。私、何かした?クラスメイトとはいえほとんど関わったことない人ばかりなのに…
泣きそうになるけどグッと歯を食いしばる。
その時、戸口に息を切らせたディルが現れた。
「はぁ、はぁ、お待ち下さい。」
「なんだ、ディル・スリジェ。妹の不始末をもう聞きつけてきたのか?」
ディルはきっと顔を引き締める。
「マリーベルが何かしたのでしょうか?」
「何かしたか?お前の耳にも入っているだろう。日ごろから魔法を使って人を脅したり心を惑わせたりやりたい放題だと報告が入っている。今日はクラスメイトの一人を魔法で襲おうとしたそうだ。まったく。」
「ディル様…本当なんです。私、怖かった。」
ハフスさんがディルに訴えている。
「そんな話僕は耳にした事はありません。」
「そりゃ兄貴だからな。お前も既に魔力で操られているのかもしれない。魅了の魔力を使うことができるともっぱらの噂だ。」
「えぇ!うっそー」「マジかよ。魅了の魔力って本当にあるんだ。」「ってかそんなんで仲間作るとかマジで終わってんな。」「光の魔力ってそんなこともできるんだ。すげーでもこわっ」
ベルン先生の言葉でクラスが再び騒がしくなる。
「そんな噂はデタラメです。光の魔力に詳しい先生をお呼びするべきです。」
「わかったわかった後でな。とにかく騒ぎを起こした以上塔に入ってもらう。話は隔離したその場所で行う。そこをどきなさい。」
「どうしても塔に連れて行くとおっしゃるのなら僕も同行させてください。マリーは逃げたりしません。その手を離してください。」
ベルン先生はうるさそうにチッと舌打ちをすると
「魔力を使っても無駄だからな。」
と凄んでから突き放すように腕を離した。
ディルが優しく背後から受け止めてくれて真っ赤になった腕を痛々しそうに眺め肩を抱いてくれた。
「イチャついてないでさっさと来い!」
ベルン先生とカミル先生に前後を挟まれて私はディルと共に歩き出した。
頭は大パニックで皆んなから浴びせられた言葉が頭の中をぐるぐる回っている。
「大丈夫。大丈夫だからね、マリー。」
肩を抱いて歩いてくれるディルの温もりだけを力に私はとぼとぼと前に進むしかなかった。
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