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第三章 魔法学園

婚約者の様子がおかしいです

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淑戦部を後にして寮に向かって歩いていると図書館から出てきたエドワード王子とアンディーブ様に出くわした。
のんちゃんは露骨に嫌そうな顔をしてしいる。


「リノア、なんでそんな顔するんだ。美人が台無しだぞ。」

「はいはい、お兄様そういうのいいから。」

頭に置かれた手を嫌そうに払い除けるのんちゃんをアンディーブ様は嬉しそうに眺めている。

「部活見学に行っていたのか?」

エドワード王子に尋ねられ私は慌ててうなずく。

「はい。淑女暗器戦闘部に私とルルは入部を決めました。セーラは歴史研究部に。」

「へえ。淑戦に歴史研究か…」

興味深そうに私たちに視線を向けてうなずく。

「どちらも魔力があまり関係ない部だな。」

言われて初めて気づいた。確かに、魔法学園だけあって部活は魔力に関係するものが多い。そしてやっぱりそういう部活の方が人気が高い。

「いいと思うよ。私も今度見学させてもらおうかな。」

「ええ!」

嬉しいような、見られたくないような気持ちが入り混じって変な声をあげてしまう。

そんな私にフフッと笑顔を浮かべてからエドワード王子とアンディーブ様は私たちを女子寮まで送ってくれた。

ルルやセーラと別れた後のんちゃんを私の部屋に招いておしゃべりをした。ひとしきり淑戦部の話をした後、聞きたかったことを思い出す。

「そうだ!のんちゃん。リークとエドワード王子ってゲームではあまり仲良くない設定じゃなかったっけ?」

「あぁ、そうそう。ゲームでは小さい頃のリークは魔力を上手く制御できないし人の本心に敏感だから周りには理解できないことで不機嫌になったりして手のかかるわがまま王子。兄は優秀なのにって言われまくって兄に引目を感じて距離を置いてたんだよね。」

「なんか、かわいそう。でもここではのんちゃんに出会ったから…」

「まぁそうだね。早くから魔力制御できてるし何よりアリアドネ妃とクリアフォルト王弟殿下がリークに本当のことを打ち明けたのが大きいんじゃないかな。エドワード王子と自分は従兄弟だって分かって少し肩の荷が下りたって前に話してたよ。
かえって甘えやすくなったんじゃないかな。」

「それもこれものんちゃんがアリアドネ妃に本当のことを話すように言ったからだね~のんちゃん本当にすごいな~」

のんちゃんは黙ってニコニコしながら私に近づき急に抱きついてきた。

「え?え?どうしたの急に?」

「いや、なんか改めて褒められると嬉しいなと思って。
明日からしばらく出かけるからちょっと充電させて?」

「出かけるってどこに?」

「ん~?ちょっと南の帝国に。」

え?待って。南の帝国ってそんな近所に買い物に行くみたいに気軽に行ける距離じゃないし。今、次期皇帝の件でもめてるんだよね?

「危ないんじゃない?それってルルの件で行くんだよね?」

のんちゃんは何も言わずに私の首元に顔をうずめている。

「わ、くすぐったい。やめてよ~あ、なんか痛い。噛み付いてない?ちょっと離して~」

もがいてもしばらく離してくれなかったけど最後にギュッと抱きしめてからのんちゃんは私を離してくれた。

「マリーはムードがないな~いつになったらこの先に進めるのやら。」

「へ?何のこと?」

のんちゃんはニヤリと笑ってからこちらに背を向け手を振って扉の方へ歩いていく。

「俺がいない間は大人しくしててね。授業は退屈かもしれないけど部活が楽しいだろうからそっちに集中してもらって。あっ。それと…」

扉の前でクルッと振り返りこちらを指差す。

「浮気すんなよ?」

「な、な、何言ってるの?しないよ!」

真っ赤になった私を笑いながらのんちゃんはヒラっと部屋から出て行き入れ替わりにアイリーンが入ってきてさっそく着替えを手伝ってくれる。

「マリー様お帰りなさいませ。席を外していて申し訳ありま…まぁ。」

私の後ろに回ったアイリーンが声をあげたので私は振り返り首をかしげる。

「どうかしたの?アイリーン。」

「い、いいえ。なんでもありません。」

アイリーンは困ったような顔を浮かべながら服を脱がせてくれる。
あ、もしかして。

「首のところ赤くなってる?さっきリノアに噛みつかれたみたいで。もう。ふざけて何してるんだか。」

「噛み付かれ?まぁ、それは大変ですわ。」

アイリーンが濡らした柔らかいタオルを首に当ててくれる。

「まったく。私が目を離したすきに大切なお嬢様になんてことを…いくら婚約者とはいえ自重していただかないと。」

眉間にシワを寄せて小声でぶつぶつ言っているアイリーンは何だかいつもより迫力があって声をかけられなかった。どうしたんだろう?
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