124 / 247
第三章 魔法学園
ルルの事情は複雑です
しおりを挟む
のんちゃんが帝国の言葉を所々挟みながらルルの事情を聞き出してくれた。
ルルが住むランタナ帝国の現皇帝には正妃の他に何人もの妃がいて、ルルのお母さんはその内の1人。帝国軍に侵略された小国の王女だったらしい。
大した後ろ盾もなく与えられた離宮でひっそりと暮らす王女の元を皇帝は気まぐれに訪れ
ルルのお兄さん、ソーマ第三皇子とルルが生まれた。
二人は皇子、皇女として認知はされているけど正妃や他の妃たちの子のように独立した宮はなくお母さんと同じ離宮で暮らし、勝手に出歩くことは禁じられていたらしい。
「望むならどんな教育も学べマシた。お金も品物も。デモ望まなければ何もない。」
それはそれで厳しい環境だよね。
ルルもお兄さんも自分から望んで色々なことを学んだらしい。
平和に暮らしていた日々が変わってしまったのは皇帝のある発言からだったそう。
「余が素質があると認めた者に皇帝の座は譲ろう。生まれた順や後ろ盾、家格は関係ない。余が認めたことが最大の後ろ盾となるのだからな。」
ここで問題なのが、皇帝の言葉がだれを示しているかだった。
帝国には三人の皇子様と四人の皇女様がいたけれどその内三人の皇女様は嫁いで帝国籍を外れている。
現在国に残っているのは正妃の子である第一皇子。
そして正妃の出身と対をなす家柄の帝国ではかなりの勢力を持つ家門の妃の子である第二皇子。
誰が見ても皇帝が示しているのはソーマ皇子とルルだった。
もともと後ろ盾もないのに皇帝の子を二人も産んだことで他の妃たちから嫌がらせを受けていたルルたちのお母さん、そしてルルたちは命の危険にさらされるようになった。
ソーマ皇子はまずお母さんの体調不良を皇帝に訴え祖国での療養を願い出た。皇帝はその訴えを認めたけれど付き添いとしてルルを同行させるのは認めなかった。
そこでソーマ皇子が考えたのがルルのイシェラ王国への留学だ。
帝国で魔力を持つ者はごくわずか。
正しく学ぶ機会を与えるべきだという皇子の願いは聞き届けられルルはイシェラ王国へ来ることになった。
「イシェラ王国の言葉教える。来た先生全く違う国の言葉教えたデス。
イシェラ王国近くなってきたトキおかしい気づいた。
村の人ブローチ交換。本もらった。勉強しまシタ。
付いてきた侍女、メイド、護衛、皆もともと一緒だったとチガウ。
食事に毒入る。私気づく。毒以外はどこまで避けられるか分からなイ。
眠れない。疲れる。マリーの側、安心。心地よい。光の魔力とすごく強い防御のチカラ感じる。」
そうか、それでルルは真っ先に私の隣に来たんだ。
「それだけと違う。マリー優しい。暖かい。友達って言ってくれた。嬉しかった。」
わぁ、何気なく発した言葉だったけどルルにとってはすごく特別な言葉だったんだ。
深く考えずに言ってしまったけど、友達って思ってるのは本当だから私も嬉しい。
「大丈夫だよルル。私が力になる。言葉も教えるし。護りも…」
のんちゃんに目を向けると彼女も深くうなずく。
「護りも安心して。それにルルの周りにいる人間もどうにかしなきゃだね。」
「二人とも、よく考えて発言していらっしゃるの?下手をすれば現皇帝妃たちを敵に回すことになるんですわよ?」
イライザが硬い表情でそう発言する。
「私が喋りすぎた。忘れてください。」
青くなったルルの言葉にイライザは首を振る。
「あいにく記憶力には自信がありますの。忘れることなんてできませんわ。
困っている人を見捨てるほど冷たくもありませんし。」
私たちの視線を集めたままイライザは立ち上がる。
「やるからには徹底的に、足元をすくわれるような事がないように警戒しなければいけません。ルル様の言葉に関しても隣国のマリーより私や新入生代表のセーラさんの方がいいでしょう。マリーからは護身術を学ぶ方が適材適所ですわ。
護りに関してはエシャルロット兄妹に任せればいいでしょうし。
帝国から付いてきた方たちが一人一人誰の手先なのか、最終目的はなんなのか調べなくては。こちらから監視をつけて…」
どうやらイライザが1番頼りになりそうだと私はルルに微笑みかけた。
ルルが住むランタナ帝国の現皇帝には正妃の他に何人もの妃がいて、ルルのお母さんはその内の1人。帝国軍に侵略された小国の王女だったらしい。
大した後ろ盾もなく与えられた離宮でひっそりと暮らす王女の元を皇帝は気まぐれに訪れ
ルルのお兄さん、ソーマ第三皇子とルルが生まれた。
二人は皇子、皇女として認知はされているけど正妃や他の妃たちの子のように独立した宮はなくお母さんと同じ離宮で暮らし、勝手に出歩くことは禁じられていたらしい。
「望むならどんな教育も学べマシた。お金も品物も。デモ望まなければ何もない。」
それはそれで厳しい環境だよね。
ルルもお兄さんも自分から望んで色々なことを学んだらしい。
平和に暮らしていた日々が変わってしまったのは皇帝のある発言からだったそう。
「余が素質があると認めた者に皇帝の座は譲ろう。生まれた順や後ろ盾、家格は関係ない。余が認めたことが最大の後ろ盾となるのだからな。」
ここで問題なのが、皇帝の言葉がだれを示しているかだった。
帝国には三人の皇子様と四人の皇女様がいたけれどその内三人の皇女様は嫁いで帝国籍を外れている。
現在国に残っているのは正妃の子である第一皇子。
そして正妃の出身と対をなす家柄の帝国ではかなりの勢力を持つ家門の妃の子である第二皇子。
誰が見ても皇帝が示しているのはソーマ皇子とルルだった。
もともと後ろ盾もないのに皇帝の子を二人も産んだことで他の妃たちから嫌がらせを受けていたルルたちのお母さん、そしてルルたちは命の危険にさらされるようになった。
ソーマ皇子はまずお母さんの体調不良を皇帝に訴え祖国での療養を願い出た。皇帝はその訴えを認めたけれど付き添いとしてルルを同行させるのは認めなかった。
そこでソーマ皇子が考えたのがルルのイシェラ王国への留学だ。
帝国で魔力を持つ者はごくわずか。
正しく学ぶ機会を与えるべきだという皇子の願いは聞き届けられルルはイシェラ王国へ来ることになった。
「イシェラ王国の言葉教える。来た先生全く違う国の言葉教えたデス。
イシェラ王国近くなってきたトキおかしい気づいた。
村の人ブローチ交換。本もらった。勉強しまシタ。
付いてきた侍女、メイド、護衛、皆もともと一緒だったとチガウ。
食事に毒入る。私気づく。毒以外はどこまで避けられるか分からなイ。
眠れない。疲れる。マリーの側、安心。心地よい。光の魔力とすごく強い防御のチカラ感じる。」
そうか、それでルルは真っ先に私の隣に来たんだ。
「それだけと違う。マリー優しい。暖かい。友達って言ってくれた。嬉しかった。」
わぁ、何気なく発した言葉だったけどルルにとってはすごく特別な言葉だったんだ。
深く考えずに言ってしまったけど、友達って思ってるのは本当だから私も嬉しい。
「大丈夫だよルル。私が力になる。言葉も教えるし。護りも…」
のんちゃんに目を向けると彼女も深くうなずく。
「護りも安心して。それにルルの周りにいる人間もどうにかしなきゃだね。」
「二人とも、よく考えて発言していらっしゃるの?下手をすれば現皇帝妃たちを敵に回すことになるんですわよ?」
イライザが硬い表情でそう発言する。
「私が喋りすぎた。忘れてください。」
青くなったルルの言葉にイライザは首を振る。
「あいにく記憶力には自信がありますの。忘れることなんてできませんわ。
困っている人を見捨てるほど冷たくもありませんし。」
私たちの視線を集めたままイライザは立ち上がる。
「やるからには徹底的に、足元をすくわれるような事がないように警戒しなければいけません。ルル様の言葉に関しても隣国のマリーより私や新入生代表のセーラさんの方がいいでしょう。マリーからは護身術を学ぶ方が適材適所ですわ。
護りに関してはエシャルロット兄妹に任せればいいでしょうし。
帝国から付いてきた方たちが一人一人誰の手先なのか、最終目的はなんなのか調べなくては。こちらから監視をつけて…」
どうやらイライザが1番頼りになりそうだと私はルルに微笑みかけた。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

お姉様に恋した、私の婚約者。5日間部屋に篭っていたら500年が経過していました。
ごろごろみかん。
恋愛
「……すまない。彼女が、私の【運命】なんだ」
──フェリシアの婚約者の【運命】は、彼女ではなかった。
「あなたも知っている通り、彼女は病弱だ。彼女に王妃は務まらない。だから、フェリシア。あなたが、彼女を支えてあげて欲しいんだ。あなたは王妃として、あなたの姉……第二妃となる彼女を、助けてあげて欲しい」
婚約者にそう言われたフェリシアは──
(え、絶対嫌なんですけど……?)
その瞬間、前世の記憶を思い出した。
彼女は五日間、部屋に籠った。
そして、出した答えは、【婚約解消】。
やってられるか!と勘当覚悟で父に相談しに部屋を出た彼女は、愕然とする。
なぜなら、前世の記憶を取り戻した影響で魔力が暴走し、部屋の外では【五日間】ではなく【五百年】の時が経過していたからである。
フェリシアの第二の人生が始まる。
☆新連載始めました!今作はできる限り感想返信頑張りますので、良ければください(私のモチベが上がります)よろしくお願いします!

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

《メインストーリー》掃除屋ダストンと騎士団長《完結》
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説ダブルで100位以内に入れました。
ありがとうございます!
王都には腕利きの掃除屋がいる。
掃除屋ダストン。彼女の手にかかれば、ごみ屋敷も新築のように輝きを取り戻す。
そんな掃除屋と、縁ができた騎士団長の話。
※ヒロインは30代、パートナーは40代です。
沢山の♥、100位以内ありがとうございます!お礼になればと、おまけを山ほどかいております!メインストーリー完結しました!今後は不定期におまけが増えますので、連載中になってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる