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第三章 魔法学園
さっそくクラスで浮きそうです
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入学式典はあっという間に終わった。
在校生挨拶に登場したエドワード王子に新入生のみならず在校生も色めき立つ中ルルは全く表情を変えずに無感動に王子を見上げている。
新入生代表に立ったのがセーラさんだったのには少し驚いたけど落ち着いた様子で挨拶をする彼女になるほど適任だな~と思った。新入生代表は座学と魔力の成績を合わせて最も優秀な者が行う。
「いくら優秀でも華がないですわね。」
「あら、そんなことを言ったらかわいそうじゃない?地味なお顔立ちなのは本人のせいではなくってよ。」
クスクス、クスクス。嫌になる。
声の方を見るとまたハフスさん達だ。セーラに何か恨みでもあるの?だとしても陰湿な感じが気に入らない。
ちょうど式典が終わり彼女たちに一言言ってやろうと身を乗り出した時。
「マリー」
聞き慣れた声に振り返るとアロイスが立っていた。
彼が歩くと自然に人がよけて道を作ってくれている。歩きやすそうだけどなんか、めちゃくちゃ目立ってますけど。
「朝は一緒に行けなくてごめん。どう?クラスは大丈夫そう?」
本人は人目を気にせず私の真正面に立ち心配そうに見つめてくる。
こうやってパリッとした服を着てるとやっぱり王子様にしか見えない。そして周りの視線が痛い。
「だ、大丈夫。大丈夫。ほら、もうお友達もできたし。セーラとルル。」
焦ってちょうど戻ってきたセーラと無関心そうにアロイスを見ていたルルの手をとる。
「ランタナ帝国第五皇女、ルルシア・フォン・ランタナ。マリーのユウジンだ。」
「アロイス・エシャルロットです。
レディ・ルルシア・フォン・ランタナ。お会いできて嬉しいです。
そしてセーラ・ローランド嬢。お二人がマリーベルの友人になってくださってとても心強いです。どうかよろしくお願いします。」
もう、心配性のお母さんみたいだからやめて!
私が顔を真っ赤にしてアロイスをにらみつけていると誰かが私の前に入り込んできた。
「初めまして、私ロベリア・ハフスと申します。マリーベル様のクラスメイトです。」
語尾にハートがついているような可愛い話し方。友達って言わなかっただけマシかな。
ハフスさんに続いて他にも何人か名乗り出ているご令嬢たち。アロイスは慣れた様子でにっこり微笑んだ。
「素敵なクラスメイトに恵まれたようで安心しました。
私の大切な婚約者ですので。彼女や友人たちに何かあったらエシャルロット家や王弟家が後ろにいることを思い出していつでも相談してください。」
顔はにこやかなままだけど言葉の裏がにじみ出ていてハフスさん以外の令嬢が青い顔で後ずさる。
「わあ、アロイス様って噂通りお優しい方なんですね。マリー様が羨ましいです。」
ハフスさんには全く通じてない上アロイス、マリー呼びになってるし。
「はは、優しいのはマリーにだけですよ。」
アロイスの言葉にさらに皆んなが後ずさる。
「いいな~こんなに愛されて。」
ハフスさん、いくらなんでも鈍感すぎません?
ちょっと感心している所にディルが慌てた様子でやって来た。
「アロイス様、マリーどうかしたの?」
「へ?どうもしないさ。マリーの友人とクラスメイトに挨拶してただけ。」
ディルは困った顔でアロイスの腕をひく。
「やめてあげてください。貴方はただでさえ目立つんですから。マリーのことは僕がしっかり見てますから。」
「なんだそれ、ずるいな。リノアに張り付かせるから心配しないで研修塔にいて大丈夫だ。」
アロイス、あなたムキになってる場合じゃないよ。なんか人が集まってきてるしこちらに向けられる視線も増えるいっぽうだし。
「はいはい、やめなさいアロイス。速やかにクラスへ戻る。」
どこからか現れたアンディーブ様の登場に令嬢たちから声なき悲鳴が出て男女問わずしゃがみ込んでしまう者が続出する。
「やれやれ、お前も初日から大変だな。」
ポンと肩を叩かれ振り返るとニヤニヤしたリークに呆れた顔をしたイライザ。そしてやはり呆れた表情を浮かべたリノアがいた。
少し離れた所にエドワード王子とカストルがいてルルとセーラと話している。
私はまじまじとリノアを見てしまう。
アロイスの作り出した幻影だそうだけどそこにいるとしか思えない。
表情の変化は今日はイライザに合わせているらしい。
「もう目立たずに学園生活を送るのは諦めた方がいいのかな…」
「諦めろ諦めろんなもん。だいたいそのピンク頭でスリジェ家の人間だって一発でバレんだから。」
「ピンク頭って言うのやめてってば~」
ひとしきり騒いでしまってからハッとして周りを見回すとクラスメイトの人たちはすっかり遠巻きになっていて視線をむけるとパッと顔を逸らされる。
どうしよう。完全にクラスで浮いちゃう予感しかない…
せめてもの救いはこちらに小さく笑みを向けてくれているセーラと首をかしげているルルがいてくれていることだけだ。
在校生挨拶に登場したエドワード王子に新入生のみならず在校生も色めき立つ中ルルは全く表情を変えずに無感動に王子を見上げている。
新入生代表に立ったのがセーラさんだったのには少し驚いたけど落ち着いた様子で挨拶をする彼女になるほど適任だな~と思った。新入生代表は座学と魔力の成績を合わせて最も優秀な者が行う。
「いくら優秀でも華がないですわね。」
「あら、そんなことを言ったらかわいそうじゃない?地味なお顔立ちなのは本人のせいではなくってよ。」
クスクス、クスクス。嫌になる。
声の方を見るとまたハフスさん達だ。セーラに何か恨みでもあるの?だとしても陰湿な感じが気に入らない。
ちょうど式典が終わり彼女たちに一言言ってやろうと身を乗り出した時。
「マリー」
聞き慣れた声に振り返るとアロイスが立っていた。
彼が歩くと自然に人がよけて道を作ってくれている。歩きやすそうだけどなんか、めちゃくちゃ目立ってますけど。
「朝は一緒に行けなくてごめん。どう?クラスは大丈夫そう?」
本人は人目を気にせず私の真正面に立ち心配そうに見つめてくる。
こうやってパリッとした服を着てるとやっぱり王子様にしか見えない。そして周りの視線が痛い。
「だ、大丈夫。大丈夫。ほら、もうお友達もできたし。セーラとルル。」
焦ってちょうど戻ってきたセーラと無関心そうにアロイスを見ていたルルの手をとる。
「ランタナ帝国第五皇女、ルルシア・フォン・ランタナ。マリーのユウジンだ。」
「アロイス・エシャルロットです。
レディ・ルルシア・フォン・ランタナ。お会いできて嬉しいです。
そしてセーラ・ローランド嬢。お二人がマリーベルの友人になってくださってとても心強いです。どうかよろしくお願いします。」
もう、心配性のお母さんみたいだからやめて!
私が顔を真っ赤にしてアロイスをにらみつけていると誰かが私の前に入り込んできた。
「初めまして、私ロベリア・ハフスと申します。マリーベル様のクラスメイトです。」
語尾にハートがついているような可愛い話し方。友達って言わなかっただけマシかな。
ハフスさんに続いて他にも何人か名乗り出ているご令嬢たち。アロイスは慣れた様子でにっこり微笑んだ。
「素敵なクラスメイトに恵まれたようで安心しました。
私の大切な婚約者ですので。彼女や友人たちに何かあったらエシャルロット家や王弟家が後ろにいることを思い出していつでも相談してください。」
顔はにこやかなままだけど言葉の裏がにじみ出ていてハフスさん以外の令嬢が青い顔で後ずさる。
「わあ、アロイス様って噂通りお優しい方なんですね。マリー様が羨ましいです。」
ハフスさんには全く通じてない上アロイス、マリー呼びになってるし。
「はは、優しいのはマリーにだけですよ。」
アロイスの言葉にさらに皆んなが後ずさる。
「いいな~こんなに愛されて。」
ハフスさん、いくらなんでも鈍感すぎません?
ちょっと感心している所にディルが慌てた様子でやって来た。
「アロイス様、マリーどうかしたの?」
「へ?どうもしないさ。マリーの友人とクラスメイトに挨拶してただけ。」
ディルは困った顔でアロイスの腕をひく。
「やめてあげてください。貴方はただでさえ目立つんですから。マリーのことは僕がしっかり見てますから。」
「なんだそれ、ずるいな。リノアに張り付かせるから心配しないで研修塔にいて大丈夫だ。」
アロイス、あなたムキになってる場合じゃないよ。なんか人が集まってきてるしこちらに向けられる視線も増えるいっぽうだし。
「はいはい、やめなさいアロイス。速やかにクラスへ戻る。」
どこからか現れたアンディーブ様の登場に令嬢たちから声なき悲鳴が出て男女問わずしゃがみ込んでしまう者が続出する。
「やれやれ、お前も初日から大変だな。」
ポンと肩を叩かれ振り返るとニヤニヤしたリークに呆れた顔をしたイライザ。そしてやはり呆れた表情を浮かべたリノアがいた。
少し離れた所にエドワード王子とカストルがいてルルとセーラと話している。
私はまじまじとリノアを見てしまう。
アロイスの作り出した幻影だそうだけどそこにいるとしか思えない。
表情の変化は今日はイライザに合わせているらしい。
「もう目立たずに学園生活を送るのは諦めた方がいいのかな…」
「諦めろ諦めろんなもん。だいたいそのピンク頭でスリジェ家の人間だって一発でバレんだから。」
「ピンク頭って言うのやめてってば~」
ひとしきり騒いでしまってからハッとして周りを見回すとクラスメイトの人たちはすっかり遠巻きになっていて視線をむけるとパッと顔を逸らされる。
どうしよう。完全にクラスで浮いちゃう予感しかない…
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